#4 『てん』 ピーターレイノルズ
グダグダな子にどう対応するか
絵を描く時間に、ぐだぐだしていたり、ふざけていたりして、絵を描かずに時間が終わってしまった場合。そのクラスの先生は何というか?
ふつうの学校の先生だったら、きっと
「早く描かなきゃダメでしょ」
「なんで描かなかったの?」
「なんでもいいから描いてみなさい」
って感じの対応になる。
でも、この本の主人公ワシテの「せんせい」はちょっとちがう。
と。何も描いていない真っ白な紙だから。
さすがにいじけ気味なワシテは、マーカーを紙に押しつける。
さて、その後、先生はどう対応したのか?
結果は、ぜひ実際に読んでほしい。深く考えなければ1分で読める本だから。
言葉にすることしないこと
穿った見方をすれば、この先生の対応は、自分の職務を終わらせたかっただけかもしれない。
でも、言葉では肯定も否定もせず、態度で肯定の意を示したことに価値があると思っている。それと、先生がワシテの絵を見て、
とじっくり考えたところにワシテの心に届く伏線があると思う。
いずれにしても、この後、ワシテは絵の世界を探究していき、他の人から称賛されるようになる。
そして、自分に憧れる年少の子どもに対して、ワシテは自分がしてもらったのと同じような態度で接する。よい教育が連鎖していく。
短い話に、いろんな教訓が含まれたいい話で、うちの指導のバイブルでもある。
その一言が、人生をその子の人生を変えるかもしれない
おえかきの時間に限定した状況ではない。
日々、子どもがグダグダしていることはある。いや、グダグダしていないときでも、ある瞬間にどんな言葉をかけるかは大切だろう。
冒頭のワシテが絵を描かなかったときの先生の対応で、その後のワシテの人生は変わった。
教育には、人を生かしたり殺したりするような力はない。でも、その子の人生を変えるような力はある。よく変わることもあれば、そうでないこともある。
だから、安易に言葉をかけてはいけないし、自分が発した言葉について、振り返る習慣が「せんせい」側の大人に必要なのだと思う。
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