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【初】フランス語撮影、初日に学んだこと。

この度、あるオーディションに受かり、嬉しいことに【初めてフランス語で演技する】仕事を手に入れました☆

パリ在住1年目の終盤から、徐々にフランス語のオーディションにも挑戦し始め、2年目初頭にはフランス語演劇の大きなオーディション機会を得るも、「言語力」が理由で役はもらえず。最近では、英語や日本語と同じくらいフランス語でオーディションすることは増えていったものの、やはり答えは「NO」ばかりで、(道は長いなあ…)と思っていた頃でした。

このお仕事は、映画や演劇ではなく、ある教育機関のトレーニング動画の中で演じるビジネス系のお仕事です。

でも、初めてフランス語で演じる上に、初めて制作会社を通したガッツリ有給のお仕事なので、全て真新しい経験…!

今日は5日間ある内の、撮影初日で、たくさん学びや発見があったので書き残します。

1.フランス文化、ここにも。(笑)

今まで、学生映画や個人プロジェクトなど、いわゆる制作会社ではない「インディペンデント映画」に関わってきたのですが、「撮影」とは常に時間オーバーするものだと経験してきました。

「La Feuille de Service (FDS)」と呼ばれるタイムテーブルに、一応各シーンにどれくらい時間を割いて、何時に撮影終了するかが記してあるも、一度も時間通りに終わったことはなし。結局2時間以上オーバーして夜中になって、「ま、こんなもんだよね」って1杯ビールを飲んでは、疲れ果てて帰宅するのが「普通」。

だからこそ、制作会社と働くとどうなるのかな~とワクワクしていた今日。

そもそもFDSには、8:30開始・17:00終了と書いてあったので、予定からしてかなり「定時」。

でも撮影にはやはり色々と遅れが生じて、午前中の時点で約1時間ビハインド。

すると、お昼休憩後に、DOP(Director of Photography:監督の間隣でずっと仕事する人)がイライラし始めて、なんと。

「もっと早く動こう!俺は17時以降は残らないからな!」と宣言。

え、まじかwww

補足すると、フランスの仕事文化は「プライベート重視」。ランチタイムも、週末も、祝日も、ゼーーーッタイに働きません。何を言われようとも。

でもまさか、撮影現場にも当てはめるとは、正直想像を超えてきたw

さらに。
「16時までには切り上げないと」とかDOPが途中から言い始めて、
「でもFDSには17時までって書いてあるヨ…?」と監督がボソッと守りに入ると、
「撮影後に動画をパソコンにアップロードしないといけない時間もあるだろ!ハッピーアワー行けなくなるぞ!」って。

ハッピーアワーが気になってたんかい!w
本当に自由だな、この国。いや、それが好きなんだけど。私はそれでいいよ?でもやっぱり、ツッコみたくなる。

結局、午後は巻きに巻いて、本当に、予定より1時間早い16時終了(笑)

そしたら!現場あるある「あ、あのシーン取り忘れてた!」が発生

みんなの顔がくーもーるー…。
監督「でも、今日撮っておかないと他の日がもっと遅くなるし…」

ということでパパっと撮ることに。

テイク1後、もちろん何か問題があって、「ココとココ直して、はい、もう一回」と監督。
そしたら次はDOPだけじゃなく、AD(監督助手)が「えー、1テイクだけって言ったじゃんー(嘆)」と。

AD、君までwwww

そもそも、1シーン1テイクで終わらせるって、よほどシンプルなシーンか、よほど運が良くないとほぼないこと。いや、そりゃあ数テイクするでしょ!w

結局16:30終了。それでも予定より30分も早いことに私は、なんか物足りなさを感じたけど(笑)

フランス文化、撮影現場にも現る。

2.フランス語と私の闘い、続く。

初めてフランス語で演技するお仕事ということで、言語面でもやはり学びあり。

役をもらって、家でセリフを覚えてる段階から、オーディションと違ったプレッシャーが存在。

まだフランス語はめちゃ頭使わないと出てこないから、そもそもセリフ覚えるのに日英より時間がかかるし、セリフを覚えても「役に乗せて言えるようになる」まではもっと時間がかかる。

オーディションの時は、じっくり準備に時間をかけながらも、最悪しくったら自分に返ってくるだけで、「もうやるしかない!」的な意気込みで行くこともあった。

けど今回は、既に私に「託してくれた」セリフであり、役である。撮影日に間違えたら、それだけ撮り直しが増えてチーム全体にも影響するから、オーディションより責任感がずっと重かった。

そして撮影当日。
基本的に大丈夫だったけど、いくつか長めのセリフで、どうしても口が回らなかったり、しくったセリフが。

それは、撮影現場ならではのセット・プロップの問題だったり、相手のアドリブに合わせる必要性だったり、(上記の通り時間が押していて)「もうミスするなよ、時間がないぞ!」的なキリキリした雰囲気だったりがあって、練習した環境より全然余裕がなかったから(笑)

これは他の言語でももちろん同じだけど、「練習した50%しか発揮できない」と思って、もっと磨くべきだった。
まああと4日間撮影があるので、今後の良い学び。

そしてもう一つ:ネットワーキング。

今回は、他のフランス人役者が全員、私よりかなり年上で、恐らく事務所も入ってて、フランス映画やドラマにも出ているそうなキラキラメンツだった。撮影の合間にも、事務所からの電話に出ては「あとでかけ直すね」みたいな会話してて、これ以外にも色々オーディションや仕事があるんだろうなーという雰囲気。

そして、彼らは朝から今週あるオーディションだったり、共通の知り合いのキャスティングディレクターだったり、隈なく情報交換をしていた。

私も、知りたい…。会話、入りたい…。
でも、私の言語力では、まだその会話は一切理解できなかったし、フランス映画やドラマや著名人の固有名詞が出てきた時点で、全然知らないから話にならない。

日常の他の場面なら、「教えて!」って入っていけるけど、撮影現場は時間がないところ。
彼らは、各テイク間の数分、監督とDOPがカメラを調整してる時にササっと話して、テイクの準備ができたら演技する、の繰り返し。
さすがにその中で「今、何の話してたの?」とか聞ける雰囲気ではない。
結局、今日は全然情報収集も、ネットワーキングもできず。

最近はオーディション・リハーサル・撮影の監督の指示はフランス語でも理解できるようになってきたけど、次超えるべき壁はこれなのか…と身をもって感じた今日。

フランスで役者をしていくって、やっぱり思ったより道は長い。
というか、道を進めば進むほど、先がもっと続いているのが見える感じ。

でも、今日も真新しいことが経験できて本当に楽しかった。
来週も同じくらい経験・発見がありますように♪

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