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64. 事実より小説の方が奇なり。

「ザリガニの鳴くところ」が本も映画もヒットしているという噂を、
かなりのタイムラグを経てこの間鑑賞した。

冒頭にある「この少女を生きてください」
「ように」「を通じて」など、一単語ないだけで、物語に吸い込まれていく。

「アイズ・オン・ユー」を見た後だったので、これも実話何ではないかと、終始目を疑った。

1969年、ノースカロライナ州の湿地帯で、裕福な家庭で育ち将来を期待されていた青年の変死体が発見された。容疑をかけられたのは、‟ザリガニが鳴く”と言われる湿地帯でたったひとり育った、無垢な少女カイア。彼女は6歳の時に両親に見捨てられ、学校にも通わず、花、草木、魚、鳥など、湿地の自然から生きる術を学び、ひとりで生き抜いてきた。そんな彼女の世界に迷い込んだ、心優しきひとりの青年。彼との出会いをきっかけに、すべての歯車が狂い始める…。

Amazon Prime Videoより引用

終始、差別と育児放棄が当たり前の世界で、一人取り残された少女の姿は、胸打たれました。

強くなろうとして強くなったことよりも、生きるためには、そうするしかなかったという苦渋の決断。

裁判が始まり、物語は回想とともにゆっくり進行するその、ゆっくり具合がまた見続けるのがキツくなるほどに心が痛い。

SFでもエッセイでもない。

おそらく、時代設定の当時では、そういう価値観に晒された人がいたのかもしれない。そう思うだけで、人の侵してきた罪にゾッとする。

その年代を問わず文豪の文章力というのか、言葉、散文は読者の心を惹きつけている。
しかし、その小説よりもやはり現実の方が、奇怪なことが良くも悪くも起こるもの。やっぱり現実の方がと思わないこともない。
しかし、この作品には、映画も含めて、実話なのではないだろうかという、説得力とリアリティがすごい。


しかし、実話の中でも、戦争映画はより、頭の中にこびりつくほどに、
心を抉られる。

先日見た、「ラーゲリより愛を込めて」を鑑賞した。
これは第2次世界大戦終結後のもとにしたお話である。
「ザリガニの鳴くところ」とは対照的に、いや対照的となるのだろうか。
この作品に登場する二宮和也が演じている山本幡男は実在の人であり、実話をもとにした映画となっている。

ショーシャンクのように希望にまっすぐで、しかし、戦場のメリークリスマスや数ある戦争映画のように生生しい描写で、捕虜収容所の生活を描いている。

そこでも幡男の口から苦しみながら吐露した言葉が頭にこびりつく。

「戦争って酷いものですね・・・」

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