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僕のツクール愛 ~サウンドノベルツクール編~

 僕のツクールシリーズの始まりは SFCで発売された RPGツクール2です。兄の友人が我が家に遊びに来た時 持ってきて、兄と共にハマったからです。

 ですが、RPGツクール2でツクールの虜となった僕は、RPGだけでなく色んなツクールに手を伸ばしたことがありました。

 その中で 今の自分に影響が強く表れたと感じるのが……これ!

 サウンドノベルツクール2です!

 その名の通り サウンドノベルが作れるゲームの2作目です。

 影響された部分と言うのは、サンプルゲーム、つまりソフトの中にあらかじめ収録されているお手本の作品です。

 僕は自分で小説を書くのですが、恥ずかしながら 普段ほとんど小説を読まないのです。せいぜい初めの頃の読書体験はラノベの『キノの旅』や『フルメタルパニック!』ぐらい……

 と、思っていたのですが、その少し前からありました ありました。

 それがサウンドノベルツクール2のサンプルゲームだったのです。

 僕が手にしたのはPS版だったので 収録されていたのは

『卒業証書』『おもいでの花』『地下の記憶』『逆版パラダイス』の四作ですね。

 特に『卒業証書』は元々 伊集院光さんのラジオ番組内の企画から始まり、リスナーの方々からのお便り(もちろん1997年頃の この時代は手書きのハガキですよ ハガキ!)の中から 何千通というシナリオをベースに、伊集院光さん自ら編集しておはなしを創られたものです。

 ゲームの節目節目に多数の選択肢が設置されており、選んだ選択肢によって ストーリー展開は二転三転していきます。

 卒業式を迎えた高校生男子の恋愛から始まり、あるものは悲劇的なもので終わり、あるものは物語のジャンルごと変わったのでは、と思うほど意外なもので終わったり。まあ~その展開や文章の端々のエキセントリックなこと!!(褒めています)

 20通り以上のエンディングがありますが……ほぼ全てのルートが主人公にとってカワイソウな終わり方だった気がします……もうちょい報われてもよかったのでは(苦笑)

 他の作品も秀逸でした。

 『おもいでの花』は変数を効果的に活用した 本格的な恋愛ADVです。こっちは割りとリアルな高校生の恋愛。

 恋愛とは何ぞや? という年齢であった上に、恋愛ADVをやるのは全くの初心者であった僕には 誰かと結ばれるエンディングには辿り着けませんでしたw BADエンドや恋愛と関係ないエンディングばっかりw ゲームデータを開いて 中身を見てみたりしましたが まだ変数を理解していなかった僕には サッパリ。どう選択肢を選べばどのフラグを立てて恋仲になれるのかを解読できなかった。今 やってみたら 多少は違うのかな? 

 『地下の記憶』はこれまた本格的なサスペンスもの。SF要素もあります。多分 この作品と『おもいでの花』辺りが初心者には参考になるんじゃあないかな……。記憶を失った主人公が 自らの記憶を取り戻し 失踪した女性を救うために怪しい地下の施設に潜り込む……というモノ。シリアスな推理モノで、迅速かつ大胆な行動次第でGOOD ENDへとたどり着きます。こちらは(身も蓋も無いかもしれませんが)しらみつぶしに選択肢を試し続ければなんとか攻略できました。

 最後の『逆版パラダイス』は、当時のファミ通編集部の編集者の方々がリレー方式で制作された…………ナンセンスとしか言いようがない カオスなギャグ作品ですw これも『卒業証書』とはまた違った趣でストーリー展開が2転、3転し、超展開に超展開を重ねる すっごくたのしいおはなし(褒め言葉)となっています。パロディ満載で 当時の編集者の偉い人を公然とネタ扱いする辺りが ゲーム編集者らしいというか 何と言うか…………w

 以上の4作が……僕がまともに小説を読む前に読んだ最初の小説(サウンドノベル)だったと思います。

 読書体験としては特殊かもしれませんが、『サウンドノベル』という形式上、ある程度情景を視覚で捉えられ、音もリアルに流れる。そういう捕捉的な表現もあったおかげか、物語の理解がすんなりと頭に入って来た気がします。案外、読書体験の初心者が読書をするには、サウンドノベルは良いのかもしれませんね。

 ただ、サウンドノベルに限ったことでは無いですが、表現できる媒体を少なく限っているものというのは……一見すると伝わりにくいですが、その分想像の余地があると言えます。

 音楽ならば 音から感じるイメージだけで情景やストーリーを想像したり、小説ならば、文面から情景や音を想像する。

 メディアミックスして表現を補完する愉しみもあるかもしれませんが、限られた媒体表現から想像して楽しむという『旨味』もあるはずなのです。総合芸術などで『全部』を保管してしまうのは、よほどの完成度でなければその『旨味』が損なわれるでしょう。

 それでも、アートやデザインを鑑賞するのに、全くの初心者ならどうすれば……となれば、ある程度伝わりやすい表現媒体が良い、と言う部分もあると思います。サウンドノベルは内容を味わう『旨味』をほどほどに残した良い媒体……かも。

 それにしても、個人的には本当にツクールシリーズに救われてますねー。RPGを好きになり、サウンドノベルから小説を(ほんの僅かな読書体験ですが)読み込み、さらに別の媒体へ…………ツールが自分の中の可能性を広げてくれる、という体験。貴方にもあるでしょうか???

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