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樹
2021年2月5日 07:07
「月で暮らしてたなんて、かぐや姫みたいですね」たぶん、何気ない感じで言えたと思う。「…そうだね」しばらく沈黙が流れた。この沈黙が、どういう意味の沈黙なのかと、俺はあれやこれやと考えを巡らせていた時、「でも、あの話は、実に興味深いよね?」顧問が、低い声でつぶやくように言った。「あの話って?」「かぐや姫です」「興味深いですか?童話ですよ?」 今の言い方は、ちょっと素っ気なさ過ぎ
2020年12月24日 18:11
幼い頃、姉は、こう言っていた。「月で暮らしていた時、私達は今よりもずっと小さかったのよ。大人になっても手のひらの大きさほどしかなかったの。だから、私たちの暮らしていた建物も、これくらいの大きさしかなかったのよ。」身振り手振りで、まるで見てきたようにすらすらと話す姉の話は、寝る前に読んで貰ったことのある「かぐや姫」を思い出させた。確か「かぐや姫」は、光る竹の中に収まるほどに小さかったと書いて