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tomekantyou1
Moon Sick Ep.2
幼い頃、姉は、こう言っていた。
「月で暮らしていた時、私達は今よりもずっと小さかったのよ。大人になっても手のひらの大きさほどしかなかったの。だから、私たちの暮らしていた建物も、これくらいの大きさしかなかったのよ。」
身振り手振りで、まるで見てきたようにすらすらと話す姉の話は、寝る前に読んで貰ったことのある「かぐや姫」を思い出させた。
確か「かぐや姫」は、光る竹の中に収まるほどに小さかったと書いてあったはずだ。作者不明のあの物語は、本当にただの童話だったのか?実際に起きた話では無かったのか?だから、千年以上経った今でも語り継がれているのでは無いのか?
あれは、高校で天文部に入って、天体望遠鏡を担いで出かけて行こうとしていた時のことだ。
「そんなものでわざわざ覗かなくても、月のことが知りたいなら、教えてあげるのに…」
姉が、後ろから声を掛けてきた。
「月の何を教えるって?」
俺は自転車のペダルに足を乗せたまま、後ろに立つ姉を振り返った。
【御礼】ありがとうございます♥