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SexyZoneに学ぶコピーライティングの本質


『嵐に学ぶマーケティングの本質』という本を拝読し、ふと思った。嵐にマーケティングを学べるなら、SexyZoneにはコピーライティングを学べるな。
「セクシーサンキュー」とか「許せない!」とか。

とうことで、書いてみようと思ったのがこの記事である。


私は、コピーライターで、『キャッチコピーの教科書』など3冊のコピーライティングの本を出版している。2020年秋に40歳を過ぎてSexyZoneにハマった新規オタクです。(沼落ちの経緯はこちらの記事に)。

SexyZoneを語る上で、「言葉の力」は外せない。SexyZoneの魅力を借りながら、「人を振り向かせ」「夢中にさせ」「一時的ではなく、長く愛される」言葉について考えてみたい。


本質①:短い言葉で振り向かせる


コピーライティングの基本は、「短い言葉で振り向かせる」ことです。いきなり長い説明をしても誰も聞いてくれない

たくさんあふれている情報の中から、目に留めて、手を止めてもらわないと、スルーされていく。「え?何!?どういうこと?」と振り向かせることが大事です。

SexyZoneがすごいのは、ケンティー(中島健人くん)の「セクシーサンキュー」や菊池風磨くんの「許せない!」など、一度聞いたら耳に残る、忘れられない、なんだろう? と引っかかる言葉があること。

セクゾがテレビに出ていると、彼らの話す言葉がテロップになることが多いことに気づきます。テレビやYouTubeでいうテロップ。雑誌でいう「見出し」になるような言葉がポンポン出てくるイメージ。

前の記事でも触れましたが、私は菊池風磨くんの言葉の使い方が大好きです。一瞬聞いたときには、プッと吹き出してしまうんだけど、後から考えたら深いな、すごいな、と思うこと多数。YouTubeの『ジャニのちゃんねる』でも、「小学生の恋愛じゃないんだから」「七五三みたいな表情」「座敷童の歩幅」「バイオハザード金庫」など比喩が秀逸。

そして、ケンティーは、「短縮してキャッチーな言葉を作る」力が抜群。先日(7月3日)のNHKシブヤノオトでも、デビュー当時に、人前でうまく笑えなかったことを「デビルスマイル」と呼び、「デビスマ」と略していました。

なんでこんなに言葉が出てくるんだろう。コピーライティングの神様たちです。


本質②:相手の目線で、相手が言って欲しいことを言う

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コピーライティングの基本2つめは、「自分が言いたいこと」ではなく「相手が今言って欲しいことを言う」です。

自分はこんなにすごい、この商品はここが他と違うんだ!と叫んでも誰も聞いてくれません。そうではなくて、「これはあなたにとって、こういいんです」「これを使うと、こんな未来になれます」と相手がイメージできるようなことを伝える。自分が言いたいことを、相手が知りたいことに変換するのです。

そのためには、今、相手が何を望んでいるか、本人が気づいていないことまで察知することが大事です。

「相手が今、言って欲しいことを伝える」で思い出すのは、10年前のデビュー当時の「伝説の握手会」でしょう。8万人のファンに対して、ケンティーが一人ひとり違う言葉を投げかけた、という伝説。

初めて会えた喜びを口にしたファンには「夢の中で会ったじゃん」、靴が脱げてしまった女の子に「気をつけて、シンデレラ!」とその瞬間に口から出てくるってどういうこと。雑誌『MORE』(2021年8月号)のインタビューでは、その時のことについて、「握手会ってひとり1秒ぐらいで終わってしまうんですよね。でも、その1秒のためにみんなは何時間も並んでくれているわけで。その感謝の思いをこめて、ひとりひとりの1秒を“特別な1秒“にしたかった」と語っているケンティー。相手の目線に立って、相手が今欲しい言葉を伝える。しかも8万人に。そこまではできなくても、相手の状況を鑑みて相手が欲しい言葉を考える習慣をつけていたいものです。

「ファンが欲しいもの」を届けてくれる、という意味では、松島聡くんの「ブログ」もまさにそう。ジャニーズ事務所のモバイルサイト内にある有料のブログの中で、いつも「ファンはこれが知りたかったの!」という情報を、ベストなタイミングで届けてくれます。松島聡くんが、「(ファンが)それが知りたかった!」と思う情報をベストタイミングで届けてくれるのは、松島くん自体がきっと、いちばんのSexyZoneのファンだから、だと思うのです。ファンと同じ目線に立って、ファンのみんなは今これが知りたいんだろうなと考えて、写真を撮ったり動画をあげたり、言葉をくれたりする。「相手目線に立って」は、松島聡くんから学べます。

そして、もうひとつ、これも毎週唸っているのが、佐藤勝利くんのラジオ。(bayFMで毎週金曜日の21:30〜「Sexy Zone 佐藤勝利のVICTORYROADS」)。この中に、「想談部屋」というコーナーがあります。勝利くんがいつも、「そうだんべやのそうは、相手の相の下に心と書きます。相という字の下に心を書くと“​想う”という漢字になります。」といって、相手を思うことを大事に、リスナーからの相談に「寄り添ってくれる」コーナー。これが、絶妙。

相談コーナーというと、アドバイス的なものを想像しそうですが、勝利くんの場合、何よりも、まず受け止めてくれる感がすごい。それも「わかる、わかる〜」とかではなくて、自分の立ち位置からは、わからないこともある、その上で、相手の状況をしっかり考えて想像して答えてくれている感じがするのです。文章でもなんでも、「その気持ち、わかる!」と簡単に言われ過ぎると冷めるもの。相談している人が、気持ちをわかって欲しいのか、アドバイスが欲しいのか、そこから考えて、まさに「寄り添っている」感じが、すごく聞いていて安心できるのです。マジで24歳?大人過ぎんか。


本質③:マネしたくなるから、話題になる

キャッチーな言葉が、話題になっていくには、人が「自分も使いたくなること」が大事です。思わず自分も言ってみたくなる。

「セクシーサンキュー」は、ケンティーが、誰も笑ってくれなくても、ずっとずっと何年も言い続けて、今やSexyZoneの代名詞になったフレーズ。音楽番組では、他のアーティストの方が言ってくれたり、バラエティ番組では芸人さんが率先して使ってくれたりします。「セクシーサンキュー」から派生した言葉も数知れず。先日の音楽番組では、登場に遅れたとき「セクシートラブル」と言っていたケンティー。グループの名前に葛藤もあっただろうに、ずっとずっと何年も言い続けて浸透させてきたのは、まさに「じわじわと売れていく」ブランディングの真髄です。一回言ってウケなかったからと諦めてはダメなのです(はじめて「セクシーサンキュー」と言ったときに、ジャニーさんだけは笑ってくれた、とインタビューで答えていたので、それが支えになったのかも)

菊池風磨くんの代名詞「許せない!」も、ドッキリ番組だけでなく、いろんな場面でマネしたくなるフレーズ。これ、「許せない」って、すごく良くできたフレーズだな、と思うのです。

「許さない」だったら、相手に対する否定感が強すぎる。あなたのやったことを、私は許しません、というニュアンスになり、怖い。でも、「許せない」だと、相手を否定しているのではなく、「この状況が」という、今自分の置かれている状況自体を否定しているニュアンスになります。風磨くんの魅力は、自分を「俯瞰」できることだと思うのですが、まさに俯瞰。主観的に「僕はあなたを許さない」ではなくて、「(なぜかこんな風になってしまった)この状況が許せない」。うまいなー。一文字違うだけで全然印象変わるもんな。俯瞰力、恐るべし。

思わず使いたくなる言葉なんて、そうそうなかなか生み出せませんが、「セクシーサンキュー」と「許せない」を掘り下げていくとヒントが見えてきた気がします。


本質④:むずかしいことを、わかりやすく伝える

コピーライティングの本質、4つめは、「むずしいことをわかりやすく伝える」です。

これはもう、マリウス葉さんが、雑誌『SPUR』でやっていた連載がお手本です。『SPUR』というファッション雑誌でマリウスが担当していたのは、より良い社会について考える連載「One step at a time」。

世界で今何が起こっているのか。環境問題、政治、戦争、紛争、食糧危機、そしてSDGs。「むずかしいな」「よくわかんない」「今の自分とは関係ない」と思ってしまいそうな話題も、マリウスなりの視点で切り込んで、読者が「あ、私と関係ある」「私に向かって言っているんだ」と思える。自分ごととして考えたくなる連載でした。10歳でジャニーズ事務所に入り、ドイツから来日していきなりデビュー。そんな中で「アイドルという、人に多くのことが伝えられる自分だからこそ、伝えられることがある」と、勉強を続けてきたマリウス。『SPUR』の連載では、毎回、ゲストに対して、質問をたくさん用意して臨んでいたそうです。記事を読むと、環境問題や飢餓や紛争、食糧不足、「国」とはなにか、自分のアイデンティティとは、など、むずかしい問題も、自分自身の言葉で話し、質問されている様子がわかります。

アイドルでここまで、自分の意見を、自分の言葉で伝えられるってすごいな、と胸にグッときました。自分とは何者か。視野がどこまでも広くて、でも「知」に対して謙虚。わからないことを、わかった気にならず、ずっと問い続けることに意味がある。そんなことをマリウスから教えてもらっている気がしました。

「疑問を持つことや、批判すること、発想力やクリエイティビティもそうなんですけど、そういうことって生まれつき備わっているものではなくて、学んで獲得するスキルなんだと思います」SPURにあったマリウスの言葉。

連載のタイトルであった「One step at a time」は、“一歩ずつ進もう”という意味でマリウスの一番好きな言葉だそう。



SexyZoneから学ぶポイント:身近な場所で練習する


さ、ここまで、「SexyZoneに見るコピーライティングの本質」を書いてきましたが、じゃあどうやればこんなふうに「人を振り向かせ」「夢中にさせ」「一時的ではなく、長く愛される」言葉が生み出せるのかを考えてみました。

まずは、「身近な場所で練習する」。これです。

ファンの方たちでは有名な話(?)なのかもですが、「許せない!」は、ドッキリGPでドッキリをかけられたときに、いきなり出てきた言葉ではなく、2019年に風磨くんと勝利くんがレギュラーで出ていた番組「アオハル​TV」のロケの中で生まれたフレーズだそう。

それ以外にも、ファンとしてみていると、ああこの言葉、ファンクラブサイトの動画の中で言っていたな。それをテレビで言ってる!ウケてる!わぁ、みたいなことがあります。

話の面白い人は、いわゆる鉄板ネタを持っています。それは、大舞台で突然振られて出てくるのではなく、自分のホーム(受け入れてもらえる場)で話して、フィードバックをもらって、改善して、もっと面白くして話す、という繰り返し。

私たちが、情報発信をするときも、このスタンスはいかせます。キャッチコピーを考える時も、自分の頭の中で考えた「これはいける」と思ったものをドーンと出すのではなく、隣の席の人にちょっと見せてみる。Twitterで呟いて反応を見る。反応を見て、フィードバックを受けて、改善する。そうすれば、言葉の力はどんどん磨かれていきます。


SexyZoneから学ぶポイント:人は、ストーリーに共感する


SexyZoneの魅力はなんといっても、「未完成」なうちにデビューして、すべてを見せるしかなかったことでしょう。人は完璧だから惹かれるんじゃない。葛藤も苦悩も、うまくいかないことも、そこに自分を重ねて、そこから這い上がっていく様に惹かれるのです。

10周年を機にいろんなインタビュー記事を読みました。ジャニーズ史上最年少でデビューし、周りからはエリートと言われても、自分たちの中には「こんなはずじゃなかった」という焦りがあったこと。年長のふたりの葛藤。年下ふたりの感情。その間にずっとセンターとして立ち続けた勝利くんの思い。

5人のキャラクターが、違うからこそ、誰に感情移入するかで見えてくる景色が変わります。そこがまたSexyZoneの魅力。何通りも楽しめる感じがします。

noteもそうですが、誰でも、自分の思いを発信して、文章や動画や音声や様々なコンテンツで気軽に出せるようになりました。今はもう「完成形を出す」よりも「未完成を育てていく」時代なんだと思います。

未完成さ。伸び代。突っ込みどころ。余白。このままどこまでいくんだと思わせる期待感。

私が、40歳を過ぎて、初めてジャニーズアイドルにハマり、「SexyZoneって最高だよ」とこうしてシコシコ記事を書いているのも、彼らのために何かできることがあるならしたい、という衝動なのです。今まで、俳優さんやアーティストを好きになったときはどちらかというと「こんな人を好きな私、かっこいいでしょう」みたいな気持ちがあった気がします。この人を応援している自分イケてる、というような(今気づきました)。でもセクゾは違う。なんだか、いても立ってもいられなくなるような、応援することで自分も何かをもらっているようなそんな感覚なのです。

それが、未完成をずっと見せ続けてきてくれた彼らの、魅力なんだと思います。


SexyZoneから学ぶポイント:最後は、人間性


コピーライティングとは何か、あれこれ書いたけれど、最後は結局、「ひと」なんだと思います。何を言おうと、どんな行動をしようと、その人自体が魅力的でなければ、全て上滑り。

読者や視聴者は、「何が書いてあるか」「何を言っているか」の裏に、その人の考えや、在り方、人柄を受け取っているのです。ブランドや企業でも同じです。

キャッチーな言葉だけなら、誰だって言える。

彼らが魅力的なのは、彼らの「人間性」が魅力的だから。

ケンティーのドラマが7月6日(火)からスタートする。ドラマの脚本家の先生が書かれていたTwitter。


以上。セクゾのオタクであり、コピーライターが本業の私が、思うことを100%主観で勢いで書きました。ファンの方からしたら「わかってねーなー」ってことも多いかと思います。でも、これは今現時点での私思い。それ以上でもそれ未満でもない。

最近「SexyZone」が気になるかも?という方はぜひこちらのアプリを。無料でメンバーがお勧めする曲が聞けたり、新曲の試し聞きができたりします。

ライブ見てみたい!というかたは、ツアーの最終日が配信されます。(私は大阪でツアー参戦しました。配信も娘と見ます!)

セクゾの曲が気になる方は、オフィシャルYouTubeに、MVいっぱい上がってます。最新のものから順に過去に辿っていくと、子育てを巻き戻しているような感覚(なんやそれ)に浸れます。


3ヶ月前に書いた沼落ちの記録

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