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【増補版】ペルソナ浸透事例で読み解く!UXリサーチを全社活用するatama plusの大切にすること

こんにちは。atama plusというAI×教育のスタートアップでUXリサーチャー/UXデザイナーをしていますnozawaです。

先日、ポップインサイトさん主催のウェビナーで「ペルソナ浸透事例で読み解く!UXリサーチを全社活用するatama plusの大切にすること」というテーマでお話をさせていただきました。

1時間のイベントに初めて登壇しましたが、Twitterやアンケートでポジティブな声をたくさんいただき大変嬉しかったです!

セミナー中に頂いたたくさんの質問にお答えしきれなかったこともあり、他の予定があって参加できなかったという声も頂いたので、セミナー動画と追加の質疑応答をセットにした増補版としてnoteを書くことにしました!


どんなセミナーだったの?

お話したこと
・atama plusってどんな会社?
・UXリサーチを全社活用してるって実際にはどんな状態なの?
・ペルソナを浸透させているatama plusの大切にしてる3つのこと
   ・オンボーディングに投資する
   ・伝え方をアップデートし続ける
   ・ワークショップを活用する

実務のご参考になればと思い、社内のslackや実際に使っている資料を公開しましたので、セミナーに参加できなかった方はぜひ録画をご覧ください!
(ポップインサイトさんが動画を編集してくださり、本編・質疑ともにチャプターがついています)

セミナー本編の動画(約40分)

セミナー質疑の動画(約20分)

セミナー中にお答えできなかった質問を以下のようにカテゴリ分けしました

・ペルソナオンボーディングについて
・atama plusのUXリサーチとプロダクト開発について
・その他のご質問

ペルソナオンボーディングについての質問

Q.ワークショップで見てもらうインタビュー動画はどうやって作っているんでしょうか?仮想?実際のインタビュー動画?

A.ペルソナを作成するために行った実際のインタビュー動画の中から、「これはとてもわかりやすかった」と感じたものを1本選び、無編集のまま1.5倍速で見てもらっています。

Q.ワークショップに関して、インタビューを使った個人ワークとは従業員の方にどんなことをしていただいているのでしょうか?

A.インタビュー動画を見ながらオンラインのホワイトボードツールのMiroにユーザーについて「学んだこと」や「知らなかったこと」を書き出してもらいます。実際のワークショップで書き出してもらったサンプルをシェアしますが、毎回たくさんの気づきを参加者が書き出してくれます!(リモートでもワークショップ可能です)

ワーク用のホワイトボードにこの付箋を貼っておいて口頭でお願いするくらいの工数で説明します。

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書き出してもらったサンプル

ペルソナオンボワークサンプル

atama plusのUXリサーチとプロダクト開発についての質問

Q.ペルソナを明確に定めると追加の機能開発の意思決定も行いやすいと感じました。一方で、ペルソナを定めるからこそ様々な角度のニーズを解像度高く拾えてしまうとも思います。追加機能の実装有無の判断、優先順位付けはどのように行われてますか?

A.おっしゃるとおりです。atama plusではユーザーから寄せられたニーズや自分たちでサービスを使って感じたアイディアをあげるためのSlackチャンネルがあり、4年間で14,000件以上の投稿が寄せられています。これに対し、atama plusではスクラムという開発フレームワークを取り入れており、プロダクトオーナーという開発機能の優先順位とリソース戦略に責任を持つ役割を立てています。プロダクトオーナーは、ビジネスチーム、サービス品質を担保するSRE部門や経理部門など必要な部門と連携しながら、機能のROIなど総合的に検討してプロダクト開発する機能の優先度を考えます。

Q.UXリサーチの際に、社外ユーザーをヒアリング対象者にする場合、どんな目的でのリサーチを行なっていますか?

A.リサーチの目的は様々です。よく行うのは、課題整理、仮説生成、仮説検証、効果測定を目的としたヒアリングです。ビジネスチームのメンバーがよく塾への現場訪問を誘ってくれるので現場感覚を養うために同行してお話を聞くこともあります。

Q.御社では全体のプロジェクトの軸になってたりしますか?一般的にプロジェクトの軸は開発やビジネスなのかなと。

(UXリサーチがプロジェクトの軸なのかというご質問として回答します)

A.まず、atama plus内ではビジネス、プロダクト開発、社内業務の生産性アップやカルチャー醸成など様々なプロジェクトが行われています。プロダクト開発以外のプロジェクトにおいても、プロジェクトを成功させるためにプロジェクトの初めにも進行中にも振り返り時にもユーザーの声を聞くこと、行動を観察することをよく行っています。atama plusではプロダクト開発チームだけでなくビジネスチーム、マーケティングチームやコーポレートチームなど全社的にユーザーを知ることで課題やソリューションについての解像度を上げる考え方を大事にしています。

その他のご質問

今回のイベント&特別企画は主にペルソナの活用についてお話しました。ペルソナの作成方法やatama plusの基本情報についてもご質問をいただいたので、回答します!

Q.ペルソナの作成についてリサーチ結果からどのようにペルソナへ落とし込みをしていますか?UXデザイナーが一貫して行うのか、またはみんなで一緒にデータを見て定義しますか?

A.UXリサーチを担当したメンバー(1人か多くても3人まで)がペルソナに落とし込み、UXリサーチチーム、プロダクトオーナー、CEOの稲田がレビューをしています。上位者の承認を取るためではなく、様々な視点や高い現場感を持ち全社的な戦略を担当しているメンバーとすり合わせを行うためにレビューを実施しています。

Q.ペルソナは実際に存在しそうな人物像を優先するのか、それともビジネス上達成したいことを達成するにはこういった人物像だよねということを優先するのか、どういった意見を優先して取捨選択していますでしょうか?

A.まず、ペルソナを作成する際にはセグメントを選択する必要があります。セグメントの選定にはビジネス上の重要度を優先します。一般的なターゲット戦略として、「ボリュームゾーンを狙う」、「ニッチを狙う」、「インフルエンサーを狙う」などが存在します。さらに、「どのくらいセグメントの大きさを取るのか?」も重要です。(例えば、「ニッチといっても、どのくらいのニッチさを狙うのか?」をイメージいただければと思います)。atama plusでは、セグメントの選定は大まかにビジネス上の理由で行い、それをもとにUXリサーチチームのメンバーがビジネスチームや関係するチームにヒアリングを行ってプロダクト開発に必要な情報を収集・整理してペルソナを形作っていきます。その際には「ビジネス上、こういう人にいてほしい」ではなく、そのセグメントのユーザーは「実際にはこういう人」ということをヒアリング・現場観察・デスクリサーチなどの手法を通じて、裏付けを行うことを大事にしています。

Q.複数ペルソナがあり得るという事は、UXデザインにおける成果物も複数パターン分を作成するという事でしょうか

A.atama plusの場合、成果物が複数になることは基本的にはありません。ある課題を解決するために、講師向けのプロダクトにはこういう機能を実装し、生徒向けプロダクトには別の機能を実装することはあります。ペルソナとは別に個別のパーソナライゼーションをする施策なども行うこともありますが、1つの成果物を作りそれを使ったパターン展開をしています。

Q.atama plus様では、UXユニットのメンバーのそれぞれの人数、男女比割合を教えて頂けますか?

A.サイトでUX Unitをはじめ、全メンバーのプロフィールを公開しています。最新の情報を掲載しておりますので、ぜひ見ていただければと思います。atama plusに入社してから2年が経ちますが、性別について特別考えたことはありません。会社が個人の多様性を大事にしていると感じています。

個人の多様性についてはatama plusのカルチャーコードでも言及していますので、よろしければご覧ください。atama plusでは、製本して全メンバーに渡しています。また、PDF版をオンラインでもご覧いただけます。


質問回答は以上となります。少しでもみなさまの実務のお役に立てれば幸いです!

謝辞

最後に、今回セミナーの機会をいただいたポップインサイトさんへの感謝をお伝えしたいと思います。1時間のセミナー登壇は初めてで、緊張して泣きそうな状態でしたが、セミナー開催までのオペレーションがとてもスムーズで、当日の事前打ち合わせではお送りしたスライドのスライドノートまで読み込んでご参加いただき、大変心強かったです。ZoomでUXリサーチの経験年数を取るアンケートの設計を2通り考えていて迷いましたが、ポップインサイトさんに相談したところすぐに「社内でどっちが答えやすいか聞いてみます!」とご対応いただけるなどバックアップしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました!

最後に

atama plusのUXリサーチや開発チームについてのマガジンもありますので、よろしければそちらも見ていただければ幸いです。


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