アイラ流の生牡蠣を味わってみたい
旅のエッセイがわりと好きで、気が向くと本棚から取り出してぱらぱらとページを繰ってみる。先日たまたま引っ張り出したのは村上春樹の「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」だ。
スコットランド〜アイルランドと、いわゆるシングル・モルト聖地巡礼記とも言えるエッセイだが、この中にアイラ島で生牡蠣を食べるシーンがある。ここに書かれている、ボウモア蒸留所のマネージャーが教えてくれたというアイラ島ならではの食べ方が垂涎ものなので、引用して紹介する。
なんともそそる文章である。今すぐ生牡蠣とシングル・モルトを用意して真似してみたい。
一方で、これは真似のしようがないという思いも強い。というのは、今すぐに自宅や東京のオイスター・バーでこの食べ方をトレースしてみても、きっとその味は再現されないだろうという確信があるからだ。アイラ島の牡蠣は「味がストレートで塩辛い(ソルティー)」とも書かれているし、それでなくとも、現地の空気感やムードまで含めて再現するのは当然のことながら不可能だ。
この本の「あとがきにかえて」というページにもこう書かれている。
本当にその通りだと思う。要するに、「僕もシングル・モルト巡礼の旅にアイラ島に行って現地で同じ食べ方を試してみたいな」ということに尽きる。
大好きなキルケニーもいつの間にか日本では飲めなくなってしまったし、スコットランドとアイルランドには蒸留所やパブを探訪する旅に行きたいとかねがね思っていたが、その思いを改めて強くした次第。老後の(といっても足腰がちゃんとしているうちの)楽しみばかり増えて困る、今日この頃である。
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