『WAVES』トレイ・エドワード・シュルツ監督。テイラーが微笑めば、世界は煌めくのです絶対に。(2020/7/14)
しょっちゅう死にたかったもんです青春時代は。毎回それなりに「真剣に死ぬ気」なんですけど、生命力とか性欲とかが勝手に溢れる頃合いでもあって、結局生き延びました。悩んでも悩んでも、自力で「答え」までたどり着くほどの精神力と勇気が足りなかったおかげかもしれませんね。「答え」を出しちゃった秀才は何人か天国に行っちゃいました。
逃げる場所はどこかに必ずあるのに、逃げられないと思い込む。永遠の絶望を感じる。悩んでいる自分が世界の端っこに小さく閉じ込められている気分になる。しかし、若い体は「行動」を求めます。走り出せ!叫べ!壊せ!悩むな怒れ!一通り暴れて傷だらけになって涙も枯れ果てて、でも、それでも生きようとする自分に笑えてくる瞬間が訪れた気がします。恋だったか夢の入り口だったか小さな成功だったか、何だか嬉しくなれそうな予感が多分あったのでしょう。
『WAVES』はタイトルも美しい。同じ波は1つとしてない。どうしようもない荒波でも、過ぎるまでは膝を抱えていればいい。やがて、テイラーが微笑めるようになった時には、柔らかな波が煌めいているのだから絶対に。