SDGs/ESG。スタートアップでできることは?未来ある社会のためのイノベーションと責任行動投資。(Clubhouse 第26回目2021年9月19日(日))
Clubhouseで毎週 日曜日 正午から「スタートアップ奥義」として、グローバル人材が開催する「スタートアップジャーニー」をテーマとした部屋です。一般的に知られてないスタートアップのこと(奥義)についてオープンに話します。国内外の資金調達、採用、市場展開からファウンダーと投資家の関係管理、チームの精神保健などまで幅広くディスカッションをしよう!起業を考えている方、起業を悩んでいる方、ちょっとだけ興味を持った方でも大歓迎です。
Moneytreeのポール チャップマンさんと、メリービズの工藤博樹の二人ではじめた、この番組には
高階 匡史さん:NTTドコモ・ベンチャーズ Managing Director
中畑 裕子さん:サスティナシード株式会社 創業者・代表取締役CEO、株式会社ナック社外取締役
ナリン・アドバニさん:entomo共同創業者、日本ユニシス社外取締役、等多数のスタートアップの役員・エンジェル投資
今回は、第26回目の放送として、2021年9月19日(日)に開催された回の主だった内容をここにまとめます。
今回は前にリスナーの方から頂いたテーマを取り上げて話します。
SDGs/ESGについてそれぞれが取り組んでいることについて
工藤:メリービズの大きなテーマとしては「ビジネス・働き方」を取り上げている。「メリービズ」という企業名は「メリー(Merry)」でハッピーという意味。「ビズ(Biz)」はビジネス、ということで「ビジネスを楽しく!」を目指している。
原体験としては、母は今年75歳だが、当時は珍しく女性として働いていた。しかし、自分が生まれたタイミングでキャリアを続けることを諦めた。ずっとそれがひっかかっており、「時代が違えばどうなっていただろう?」と考えずにはいられない。
女性に限らず、性別、住む地域、年齢、国籍、障がいがある無し、等に関係なく、自分の良さ・経験・スキルを活かし、働ける世の中をつくっている。メリービズのスタッフはたまたま90%ほど女性だが、男性もいる。そして障がい者もいる。これも最近まで知らなかった。特に意識することなく、当たり前にいる。
シングルマザーとかの場合は「貧困」に陥るケースもあり、働くをリベライズする一貫で「貧困」「ジェンダー平等」等のテーマにも取り組めている。
ポールさん:マネーツリーとしては「フィナンシャルインクルージョン」をテーマの一つにしている。
金融の知識そして正しい情報がないと、いい意思決定ができないのでは?金融機関ごとに分かれてしまっている自分の情報はユーザー観点から利用しづらい。「データポータビリティー」ということで多くの金融機関を跨って自分のデータを管理し、自分の情報を携帯できる。
マネーツリーとしては、多くの金融機関と連携し、安全に個人のデータにアクセスできる、データプラットフォームをつくっている。
一方で、銀行口座を開けない国もある。日本では、今働いている方が定年の年齢を迎えても年金が足りないという計算もある。全ての方に、正しい情報を提供し、より良い生き方ができるようにしている。
なぜ今SDGs/ESGがこれほど取り上げられているのか?海外の動きは?
中畑さん:今回のテーマについて、そもそもSDGs/ESGがどういう流れで取り上げられているのか?について少し話す。
来年、東京証券取引所の株式市場が改変される。3つの構造になる
・プライム
・スタンダード
・グロース
このなかで「プライム」にはいった企業は「サステナビリティレポート」が必須になる。
ESGの「G」は「ガバナンス(governance)」を指す。
レポートのなかでESGに対応をどうしているか?また対応していない場合はなぜ対応していないのか?これを書く必要がでてくる。
海外を中心して、これが当たり前になってきている。
ナリンさん:シンガポールでは、SDGs/ESGを意識したファンドがでている。マレーシアとかではイスラム圏に対応したバンキング。ESGを意識したVCも。
身近で関係した話を2つ。
1つ目。メンタルヘルスのサービスを立ち上げた方いた。患者が心理学者とオンラインで接する。社会的にとても良い取り組みなので投資した。創業者も利益を重視するより、社会に必要なサービスを意識して立ち上げたサービスだが、投資家の理解がなく、なかなか大変。
2つめ。上場企業の社外役員をしているが、社外役員の他の3名はESGの専門家。その方々と話していると、日本の企業はまだまだサステナビリティを意識していない、とのこと。
日本で正しく理解されていないESG
中畑さん:香港できいた話では、ボードに女性がいないと上場できない。
今までは経済を追求しすぎた結果。
1997年京都議定書では気候変動に関して約束がされた。その後COPでの話し合いを経て、2015年のパリ協定が締結された。そこで2030年までの温室効果ガス排出量についての目標が決められた。
これがビジネスではESGのEの箇所に繋がっている。
ただ、多くの企業が具体的に目指すべき行動指標が分かっていないように思う。「CSR活動をやっていれば良いんじゃない?」という声も耳にしたことがあるが、これでは不十分。
ESGでやるべきことはSASB(サステナビリティ会計基準審議会)が用意する基準に示されている
ハーバードビジネススクールのサスティナブルビジネス戦略コースで学んだが、ESGのなかで大事な基準はSASB(Sustainability Accounting Standards Board(サステナビリティ会計基準審議会))が提示している。
日本語訳がまだできていない部分もあるが、ここをしっかり理解することが必要。曖昧なものではなく、ちゃんとしたガイダンス、11セクター77業種の基準を策定している。
※ Clubhouse後にいろいろ調べて有用そうなリンクを添付します。
JPX >ESG情報開示枠組みの紹介>SASBスタンダード
SASBが提供している各業種ごとに注目すべき箇所を示したマップ(SSLがちょっと古い気がするが)
(さて、話に戻ります)
サスティナシード(SustainaSeed)を起こした理由
中畑さん:行動ピラミッド、戦略、ソーシャル・イノベーション、とSDGs/ESGでやるべきことはいっぱいあった。
やらないといけないけど、ひとりでは大変。
やりたい人、助けたい人を助ける。そんなクラウドファンディングプラットフォームをつくろうと考えるようになった。
SDGs/ESGは企業の業績・パフォーマンスにおいては?
ゲスト:ゆうこさん(中畑さん)、SHE LOVES TECH 2021の日本決勝おめでとうございます!
いまいるミシガンは空気がキレイで大切にしたいと思う一方で、個々のプライベートな会社にやらせて良いの?という意見も。
企業としてのコストベネフィットはどうやって見出していくのか?
ナリンさん:なかなか難しいが、S&Pが上場している企業をトラッキングしている。そして最近、ESG500というESG基準で選んだ企業をトラッキングしている。1年間をS&P全体とESG500を比較するとESG500の方が2-3%パフォームしている結果が。
ゲスト:まだ因果関係は判断しづらい。ESGを大切にしている企業だからパフォームするのか?パフォームするにはESGを大切にする必要なのか?
ナリンさん:社会的なプレッシャーはわるいことではない。
また、長期的に見られることは、地球だけでなく、会社の経営も長期的な視座をもっている
ポールさん:スタートアップの投資家は、スプレッドシートを分析する。
ESGの取り組みは投資家に評価してもらえるか?
将来の収益性をどうやって考えているのか?
中畑さん:スタートアップの事業によってはお金にはなるが環境を荒らすというのもある。お金になれば良いという投資家もいれば、利益だけに注目するのは良しとしない投資家もいる。ビジネスでは成長性・収益性がだせるのが大前提だが、機関投資家はESGを重視しており、投資家自身の責任も問われるようになってきている。
私は「トリプルボトムライン」の指標がシンプルで好きである。
a. Profit (利益)
b. People(人々)
c. Planet(環境)
の3点。
ビジネスなので収益は必要。ただし、事業に関わる全てのステークホルダーへの考慮も必要である。
そして環境も、今までは遠い話のようだったが、毎年日本では洪水が発生するようになり、明らかに温暖化の影響を受けていると言える。消費者も環境を意識しており、環境破壊の原因に真摯に取り組まない企業は選ばれないようになるだろう。
私達にできることはいっぱいある。就職(「エンプロイヤー・オブ・チョイス)・購買も意思表示である
ゲスト:アメリカで20年ほど働いている。「エンプロイヤー・オブ・チョイス(選ばれる企業)」というのがキーワードに。
シリコンバレーはエンジニアの取り合いになっている。ひとの勝負になってくる。エシカルでない会社はひとを集められないように。
特に、ミレニアム世代はそこをよくみている。そういう世代の人材を惹きつけられるのか?
従業員だけでなく、消費者からも選ばれる。「後進国の労働者を搾取しているので買わない」等、消費者もみている。
シェアリングサービスのU社はCEOがよくない、なのでそのサービスを利用しない。
ゲスト:「クリエイティング・シェアード・バリュー(Creating Shared Value)」というのがマイケル・ポーターによって提唱された。
事業で環境に負荷をかけたのでお返しをするのが今までだったが、それを本業で実現しないといけない。
現在、福島県で水素ボイラーの実証事件をやっている。これも福島県の立地もあり、福島県、NEDO、経済産業省、等の支援をもらっている。
ただ、最終的には重油のボイラーと比較優れていく必要がある。
製造業におけるバリューチェーンを通してのサステイナビリティ
ゲスト:製造業においては、例えば自動車会社に部品を収めている企業だと、原材料メーカーに対して監査をしているか?というのが問われる。
中畑さん:製造業ではサプライチェーンにおいても責任が生じている。
保有していない工場だから許される状況ではない。
さらに、コードオブコンダクト(code of conduct)というものがある。
国によっては法整備がされていなく、12歳の労働が法的に認められる場合もある。それでも、そのエリアでは合法でもその会社では認められない。
児童労働、有害物質の排出、等、監査が必要。
これにトップの署名が求められる。現場の管理者ではなく、企業のCEOに署名してもらう。全てのサプライヤーが合意しないと取引しない。これは消費者がプッシュしている。
ゲスト:サスティナシード(SustainaSeed)のミッションを知りたい
中畑さん:なぜはじめたか?
読んでいた本のなかで白人男性、有色女性がハードル走を走ろうとしているが、ハードルの厳しさが全然異なる。そしてその絵の下に
What's the matter, its the same distance!
意訳:どうしたんだ?同じ距離だろ?
この差は日本の方がひどいだろう。世界ジェンダーギャップ指数では世界のほぼビリ。
私はたまたま上場企業の役員だったが、日本では女性役員は7%しかいない。
前はボランティア活動をしていたが、届けられる範囲が狭すぎる。
それを解決するのはビジネスをするしかないな、と考えた。
自分が助けたいというエリアでやっている方を応援したい
ジェンダーギャップを解消したい!と最初におもった。SDGsの5番目の項目「ジェンダー平等」だった。
でも、やりながら、他の社会的な課題も含めたい、包括的にと考え、そのキーワードが「サステイナビリティ」だった。
プラットフォームを通してひとが集まる。
クラウドファンディングのグローバル市場は34 billion USD(約3.7兆円)
SDGs 市場はグローバルで 20 Trillion USD(約2,200兆円)
ある。
続きは後半編で!
まだまだ続きます!
後半編を近々書きます!
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