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脳と心の仕組みをハックして行動を変える

初めまして。大村拓輝と申します。僕は今プロコーチになるためにMindset Coaching Schoolで学んでいます。ちなみに僕がプロコーチを目指すきっかけは以下にまとめています。

そんなコーチングの導入として、前回はコーチングの歴史と原則についてまとめました。

今回はまた別の角度から、コーチングにおけるマインド(脳と心)の仕組みについてまとめたいと思います。

まずはじめに認知科学とは?

このコーチングを理解する上で重要になる、認知科学についてまず解説します。認知科学は、文字通り人間の認知に焦点をあてた学問であり、人間の認知の働きを「情報処理」の観点で捉え、外部刺激と行動の間に、何かしらのマインド(脳と心)の「情報処理」が存在していると考えます。この情報処理を担う部分を内部モデルといいます。

例えば、ゴールデンレトリバーのような大型犬を見つけて、可愛いと思って近づくのか、昔追いかけられた恐怖を思い出して逃げるのか、同じ情報入力でも行動が人によって変わります。これは人それぞれの内部モデルの情報処理が介在しているからです。

この内部モデルを変えずに、行動だけを変えようとするアプローチが世の中には散見します。行動をいくら頑張って変えようとしても、内部モデルが変わらないと結局本当の意味で行動は変わりません。

コーチングのアプローチ

コーチングは、クライアントの内部モデルを書き換えることにより、行動に変化を起こしていきます。本コーチングのプロセスで一番重要なことは、ゴール設定です。ゴール”達成”、ではなく、ゴール”設定”です。設定することそのものに大きな意味があります。ゴール設定の条件などについては前回の記事をご参照ください。

ゴールに向かうために

現状の外のゴールに向かっていく上で一番大切なものが、エフィカシーです。エフィカシーは、自分が現状の外のゴールを達成できる!と自分で評価する能力のことをいいます。平たく言い換えると、明確な根拠はないけど、なんとなく自分ならできる気がするという感覚です。

例え話として、男子陸上100mの世界では、日本人にとっては100mを10秒を切ることは今まで現状の外のゴールでした。1968年のメキシコオリンピックで、アメリカ人のジム・ハインズが9秒台を出して優勝し、初めての公式記録となりました。​​以来、ウサインボルトをはじめとする海外選手が次々と9秒台の記録を叩き出す中、日本人選手は1998年に伊東浩司選手が10秒00を出し、9秒台に迫まりましたが、そこからずっと記録は更新されずでした。その壁を約20年後の2017年に桐生選手が9.98秒でぶち破りました。それからたった2年でサニブラウン選手、小池祐貴選手、そして山縣亮太選手が続いて9秒台の壁を越えました。桐生選手が破ったことで、「日本人でもできるじゃん。だったら自分もできるでしょ」と日本人選手のエフィカシーが上がって、現状の外のゴールを続々と達成されたのだといえます。

これまで現状の外のゴール設定と、それを達成するのに最も大切なことはエフィカシーであるということをまとめました。ここからはマインド(脳と心)の仕組みについて説明します。

人はほとんど世界を見ていない

まず初めに、私たちの脳の機能としてRAS(Reticular Activating System)というものが備わっています。RASは五感を通して入力された情報から、何を脳に届けて認識させるかを選択しています。

例えると門番のようなイメージで、脳が情報でパンクしないように、必要のない情報は積極的にシャットアウトして、自分にとって重要だと思う情報だけを脳に通します。そしてRASによってシャットアウトされた情報は認識することができないので、スコトーマ(盲点)になり、見ることも聞くこともできません。実は僕たちは世界を見ているようで、スコトーマだらけで見ていないのです。例えば、僕は去年の9月に子供が産まれたのですが、街中で赤ちゃんが目にとまるようになりました。今までも同じように赤ちゃんがいたと思うのですが、僕の中で重要性が上がったので、RASによって初めて認識に上がるようになりました。

僕たちが無意識で息を吸ったり、心臓を動かしたりしているように、RASも無意識で通過させる情報をコントロールしています。無意識なら自分でコントロールすることが不可能だと思うかもしれませんが、実は意識的に影響を与えることができます。それがゴール設定です。現状の外のゴールを設定することで自分の無意識にとっての重要性が変わります。重要性が変わることで、RASが脳に通過させる情報が変化し、今まで認知できていなかったスコトーマが外れ、入力される情報そのものが変わります。これは言葉だけだと何を言っているのかよくわからないかもしれないので、ゴール設定を通して体験するのが一番手っ取り早いですね。

人は変わらないことに全力を注いでいる

RASによって重要な情報だけに囲まれており、自分の無意識にとって居心地がいいところをコンフォートゾーンといいます。そのコンフォートゾーンを維持しようとする機能がホメオスタシスです。何か自分に変化が起こると、それを元の状態に戻そうとするために、ホメオスタシスが様々な変化を起こしていきます。

例えば、甲府市の35℃を超える暑さの中でも、-10℃の寒さの中でも、人間の体温は36℃前後で維持されます。汗の気過熱により体温を下げたり、体を震えさせて体温を上げるなどして、生命に必要な体温を維持することに全力を注ぎます。このような働きがホメオスタシスであり、実は身体レベルに限らず、脳の情報処理にも影響を及ぼすことがわかっています。

例えば僕の場合、以前は朝起きるのはいつもミーティングが始まる15分前とかで、だいたい8:45とかでした。ある日早起き生活を始める決心をして、6:30に起きるようにしました。1日2日となんとか続くのですが、3日目になると身体もなんとなくだるくて眠いし、いつもの8:45でいいじゃん。。。となって元の生活リズムに戻ってしまいました。典型的な3日坊主です。これは8:45に起きるのがコンフォートゾーンの僕にとって、ホメオスタシスにより元の生活に戻されてしまった例です。このようにホメオスタシスは身体的な維持機能のみならず、脳の情報処理にも影響を与え、行動を一定に維持しようする機能も働いているのです。

現状を維持する力をハックする

実はコンフォートゾーンは脳の機能上、1つしか取ることができません。ゴールを設定していない場合は、現状維持がゴールとして無意識に認識されるので、今の自分を維持するために重要なものがコンフォートゾーンに設定されます。僕の早起き習慣化失敗の例はゴール設定を変えずに取り組んでしまったため、コンフォートゾーンである8:45起きの生活に戻されてしまいました。

ゴールを設定して、ゴール世界の臨場感を高めることで、未来側にコンフォートゾーンをずらすことが可能です。そうするとRASによってスコトーマが外れ、ゴール世界の自分にとって重要な情報が飛び込むと同時に、未来側のコンフォートゾーンが起点となり、そこに戻すためのホメオスタシスの機能が働きます。未来側の僕が朝6:30に起きる生活が当たり前であるならば、勝手に目が覚めてしまい、8:45まで寝ていられなくなってしまいます。実際に僕はゴール設定によって、8時過ぎから仕事を始めるリズムになり、7:00には目が覚めるようになりました。コンフォートゾーンは脳の機能上1つしか取れないことを逆手にとって、未来側に設定してしまうことにより、無意識によってゴールに向かっていくことができるのです。

言葉が自己イメージをつくる

ゴール設定をした後に、ゴール世界の臨場感を高める方法が、セルフトーク(=自己内対話)です。私たちは実は、1日に3万~5万回ほど自分で自分に語りかけています。セルフトークによってセルフイメージが形成され、セルフイメージがコンフォートゾーンを決めています。

気をつけなければならないのが、ネガティブセルフトークです。例えば以前の僕の場合、「ミーティングが始まる15分前に起きれば間に合う」「ギリギリまで寝て、身体を休めるのがいい」「ダラダラするのが僕らしい」などのセルフトークが鳴り響き、それによって「僕は朝に強くない」というセルフイメージが形成されていたため、8:45に起きるのが僕にとってのコンフォートゾーンでした。

セルフイメージの形成過程は、言葉が映像を作り、映像が感情を喚起し、感情によって自己イメージが形成されます。そのためコンフォートゾーンを決める原因となるのは、自分が自分に語りかけるセルフトークです。逆を言うとセルフトークを変えてしまえば、コンフォートゾーンが結果的にズレます。

結局ゴール設定が一番大切

以上が、マインド(脳と心)の仕組みです。マインドの仕組みを踏まえた上でも、現状の外側にいく唯一の方法は、ゴール設定です。現状の外側のゴールを設定し、RASによってスコトーマが外れ、達成に向けたプロセスが脳の無意識の働きによって勝手に見えるようになります。そして、ゴール世界の臨場感をセルフトークで高めることで、コンフォートゾーンがずれて、ホメオスタシスにより勝手にゴール世界側に引っ張られます。実はこの時、人間のクリエイティビティが最も発揮できる状態になります。僕の場合、「ごみという概念をなくす」というゴール設定してから、とにかくごみに詳しい人にZOOMで話を聞きまくる、気になった会社の代表にFacebookとLinkedinでメッセージしてみる、この人と対談してみよう、などなど、設定した時には想像もつかなかったプロセスが勝手に見えてきて、今の資源循環の仕事につながっています。

終わりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。今回はコーチングにおいて重要なマインド(脳と心)の仕組みを解説しました。知識として手に入れることはもちろん重要ですが、僕はそこに行動が伴って初めて知識の意味が生まれると考えています。またこれからコーチングセッションを提供していく予定ですので、気になる方はぜひ直接ご連絡ください。TwitterでもFacebookでもどちらでも大丈夫です。一緒に自分1人の頭では想像もつかない未来に行けることを楽しみにしています。

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