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「大衆の注目」をハックする、アテンション・エコノミーの問題点とは

アテンションエコノミーとは


アテンションエコノミーとは人々の注目や関心が経済的価値を持ち、それ自体に貨幣的意味や重要性を持つという経済学の概念のことです。

日本語では「関心経済」「注意経済」と呼ばれています。

1960年代後半、ノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモンは、情報経済において「アテンション(関心)」が通貨のように取引されると予言し、アメリカの社会学者マイケル・ゴールドハーバーは人々の関心や注意が通貨のような価値を持つネットの経済原理で、無料のオンラインサービスに向けるアテンションを集めて広告を閲覧させることで貨幣価値を持つと主張しました。

もっとも、この経済モデル自体はインターネットの話だけではありません。

大衆の注目を経済の主役とする、アテンションエコノミーは新聞社が広告を入れた時代から始まったといわれています。

誇張されたニュースや悪意のあるゴシップ、扇情主義的な見出しで人の目を引く方法などは、イエロージャーナリズムのころから盛んに用いられて、戦時において感情に訴えかけ、逆に知性に訴える部分は最少にされるよう、プロパガンダとして最適化されていきました。

そうした広告モデルが、ラジオ、テレビを経て、インターネットのビジネスへと受け継がれており、今では少しでも関心を貰おうとするSNSアフィリエイターやインフルエンサーによるバズマーケティングが関心経済の終着となっているのが現状です。


インフルエンサー主導の関心経済モデル

アテンションエコノミーのデメリット

ところが、世界のデジタル化が進むにつれ、プラットフォームの都合によって、人の弱さにつけ込む情報をそれぞれだけにクラスタ化された結果、一人一人都合の良い『真実』の生成を加速させている、という問題が明るみになってきています。

纏めサイトによる対立や分断を用いた炎上騒動、SNSインフルエンサーによるコンプレックスや愛国心をハックしたアクセス稼ぎ、恣意的な引用や性的な仄めかしで感情を揺さぶる、ピエロ的なカウンターパート…例を挙げるときりがありません。

「客観的事実」と「主観的真実」

ちなみにですが、「事実(Fact)」「真実(Truth)」は違います。

「事実」とは、本当にあった事や、現実に存在することを指す言葉です。

哲学での使い方は別にして、一般的には論理的必然性をもたず、客観的なりうるものとして規定されています。

本当にあった事や、現実に存在することを指す言葉が「事実」であるのに対して、「真実」には根拠があっても人の主観が紛れ込んでおり、必ずしも「事実」とは言えない場合に使います。

量子論や哲学的な問い質しを挟むとややこしくなるのですが、ここでは主観的なものを「真実」、客観的なものを「事実」とします。

https://eigobu.jp/magazine/jijitsu-shinjitsu

政治社会学者の津田正太郎によると、ニュースの提供元が紙媒体からデジタル媒体へと変化し、さらにウェブメディアは責任主体がはっきりしないことが多いため、責任問題が生じにくく、旧時代的なプロパガンダが行いやすくなったと述べており、氏のアテンションエコノミー自体は未知の領域にいるわけではないという意見には自分も同意です。

情報操作の操縦桿を握るのが、国家や大企業であった時代から、個人のインフルエンサーに変わりつつある時代の隆盛に過ぎないともいえるでしょう。

総務省の情報通信白書によりますと、情報過多の時代には、限られたアテンションが資源になり、プラットフォーマーは可能な限り多くの時間、多くのアテンションを獲得するため偽・誤情報の拡散やインターネット上での炎上を助長させる構造を有している問題点にも触れています。

アテンションエコノミーは現代のライフスタイルに合った経済活動として大きな実績を上げている一方で、「大衆の注目」を裏技的にハッキングする人達によってさまざまな問題点が生じていることも事実です。

たとえば

  1. 情報の優劣よりも「人々の関心・注目」に価値を見いだす

  2. 大衆は専門家よりも有名人の発言を優先する

  3. オーバーな見出し煽り記事「クリック至上主義」

  4. 人々の「ニュース離れ」と「情報のエンタメ化」によるモラルの低下

などが挙げられます。

昨今では「確証バイアス」や「ラベリング」の認知の歪みなどによる社会的な影響が唱えられていますが、実はこれらのマニュアルは戦時中のプロパガンダと殆ど変わりありません。

(エドワード・バーネイズは心理学者フロイトの甥であり「広報の父」と知られており、本書は現在に通底する情報戦のネタバレのようになっています。エンタメ分野にも応用できるのでオススメの一冊です)

とくにSNS社会では、事実の確認よりも状況をいち早く察知して場の空気を読み、同調することに重きを置く風潮が多く見られる傾向があります。

そのため、特に共感を求める傾向の強い女性をターゲットにしたジェンダー論争などがアフィリエイトの種になりやすいです。

さまざまなジャンルで分断や対立が起きていますが、どちらのポジションについてもユーザーに益はないばかりか、クリックするだけで分断と対立を助長させ、時間と労力に多大な損失を発生させてしまいます。

過度に匿名掲示板やSNSに依存しすぎないよう、デジタルデトックスをおこなうなど、使うときのルールを自分で決める必要があります。

アテンションをハックしているサイト主やインフルエンサーは誰が運用しており、利益になる都合のいい真実が優先されているのかを、ユーザーは一度考えてみるといいでしょう。

自分がnoteを選んだ理由

ちなみに自分はXを一切使用しておらず、最近はnoteに絞っています。

noteのみで記事を作成している理由は、アクセス数よりも「情報の質」に価値がつく場所だからという考えからです。

tiktokやyoutubeで情報発信を試みたこともありますが、何分飽きっぽく、「視聴時間>発信時間」になりがちなので、これらは作業視聴以外を除いて週末に時間を決めて、まとめて見ることが殆どです。

旬の話題に触れることもありますが、ポリシーとして記事を新しく見てくれた人に対して、それがたとえポジティブなものでなくとも、「気付きのプレゼント」となればいいな、と思って続けています。



当noteでは四柱推命による人生相談をマシュマロにて受け付けています。
推しの命式を鑑定して欲しい、というものでも構いません。
記事を起こすのに時間はかかりますが、期間限定中は無料で出来ますので、良かったら生年月日時とご相談を添えてリクエストしてみてください。


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