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詩「墜落者」

20240205

岩陰で ハッチが開く 夜のこと
異星の彼は 深呼吸する
ボロボロの 脱出ポッド 乗り捨てて
彼は慌てて コンビニに行く

レジ袋 3円払う 余裕なく
彼は両手に 菓子を詰め込む
アパートの 階段の音 五月蝿くて
耳を塞いで 菓子が散らばる

ドアを開け 中に入ると 気配する
何も居ないが 彼にはわかる
下を見て 首が曲がって 上を見て
どちらも白い 壁が広がる

パキパキと 悲鳴をあげる 首元に
触れる刃先に 一筋の赤
隣人は ハゲ散らかした モルモット
謎の薬品 打たれて眠る

菓子を開け 口に入れると 弾け飛ぶ
虫歯を抜いて テーブルに置く
虫歯には わかるはずない 憂鬱と
虫歯の想い わからない彼

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