あなたは、わからなさを楽しめる人か ~ リサーチ・ドリブン・イノベーション発刊にあたっての想い②
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あなたは、わからなさを楽しめる人か ~ リサーチ・ドリブン・イノベーション発刊にあたっての想い②

Hirokazu Oda (Dan)

4/20に発売予定の『リサーチ・ドリブン・イノベーション;「問い」を起点にアイデアを探究する』

多くの方に予約いただき、おかげさまで商品開発カテゴリでも1位を獲得することができました!
(その後も1~3位をうろうろしています)


まだ発売までひと月以上ありますが、前回に引き続き、本に込めた想いを、本に書ききれなかった部分も含めてご紹介していこうと思います。

▼前回記事


わかることの限界と、わからないことの可能性

イノベーティブなアイデアを実現しようとした時、皆さんは何から始めるでしょうか?

ある人は、徹底的に生活者を調査し、その人の目線に立ってその人が潜在的に欲しがっているものを探ろうとするかもしれません。
ある人は、自分たちの持っている特徴的な技術シーズを生かせる領域を探すために、トライを繰り返しているかもしれません。
ある人は、自分の中で悶々と考え、アイデアが浮かんでくるのを待っているかもしれません。

アイデアを生み出すためのアプローチは数多く存在します。そして、そこに正解はないといっても過言ではなく、どういったアプローチでも、イノベーティブなアイデアが生まれる可能性はあるでしょう。

しかしながら、誰もが思いつかなかったアイデアを生み出すことができる人には、ある共通点があると考えています。それは「わからない」ことに興味や関心を持てることです。


人は誰しも、理解を通じて、複雑なものごとを紐解いていきます。大人になるにつれ、人はより効率的に情報を処理するために、さまざまな判断を素早く行うためのアルゴリズムを獲得していきます。答えが内容な厄介な問題であればあるほど、さまざまな理解を積み重ねた先に、新しい答えが見えてくるはずです。

一方で、だからと言ってわかることばかりを探していると、自分が「わかりやすい」ことにばかり焦点がいってしまう、いわゆるバイアスに囚われた状態に陥ってしまいます。

よく子供の方が発想が豊かであると言いますが、特殊な発想スキルを持っているということではありません。子供にとっては「わからないこと」ばかりが存在している世界であり、そこに目を向けられるからこそ、大人はハッとさせられるのです。


そもそも、イノベーティブなアイデアとは、今まで誰もが思いつかなかったところに、新しいアイデアを見出すことです。わかることを積み重ねていったとしても、自分がわかっていることの隣にあるわからないことを探っているばかりでは、なかなか新しいアイデアは生まれてきません。

むしろ自分が今までわからないことにさえ気がついていないような、新しい「わからなさ」と積極的に出会っていくことが求められるのです。そこに可能性は存在しています。

無知の技法という書籍の中で「未知の未知」という考え方が紹介されています。自分が知らないことさえ知らないことを意味する言葉ですが、知らないことをわからないことに置き換えても、同じことがいえるでしょう。

まさに新しい未知との出会いなくして、イノベーションは実現しないのです。

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あなたは、わからなさを楽しめる人か

今回の書籍では、安斎の前著『問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション』に続く考え方として、「価値探究型の問い」という考え方を紹介しています。

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現状と目標となる理想の状態の間に、解くべき課題を設定していく「課題解決型の問い」に対して、関心を軸に、人間や社会の本質について探究する問いを立てるのが「価値探究型の問い」です。

わからないことに対して興味を持ち、そこを探るためにサーチライトを向けてみる。表紙のイラストは、実はここから着想を得ています。


わからなさはある種の暗闇です。そんな中に、ライトを向け、手がかりを得ながら進んでいく。進んで行った先にまた新しいわからなさが立ち上がり、さらにライトを向けてみる。今までにないような価値を探ることは、本質的にこの繰り返しです。

そんなシーンをイメージした時、不安で怯えながら着実なヒントを見つけようとする人と、インディージョーンズのように新しいわからなさにワクワクしながらも、奢ることなく着実に歩みを進めていける人、どちらの方がイノベーティブなアイデアが思いつけそうでしょうか。答えは明確だと思います。(わからなさに無謀に立ち向かってしまう人も大体いますが、それもうまくいかないので注意が必要です笑)


あなたは、まだ出会ったことのないわからなさを楽しめる人でしょうか?あるいは新しいわからなさと出会うための術を持っているでしょうか?

わからなさを見つけていくための、サーチライトになってもらえたら良いな、そんな想いがこの書籍の背景にあります。

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さて次回は、3本目としてイノベーティブなアイデアの評価という観点で、本に込めた想いを紹介していきたいと思います。ぜひお楽しみに!


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Hirokazu Oda (Dan)

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ありがとうございます!引き続き頑張って書きます!
Hirokazu Oda (Dan)
株式会社MIMIGURI マネージャー, デザインリサーチャー / 千葉工業大学大学院 博士後期課程修了 博士(工学) / 市立稲毛高校卒 意味を中心に据えたデザインの考え方や方法論について、研究と実践を行なっています。