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『ブランドを作る』難しく苦しい点・作ること

こんにちは。ひろいです。
先日の話に続いて苦しい点3部作の『作ること』、つまり生産することでの辛さを書いておこうと思います。毎度書きますが、ブランドを立ち上げることは難しくありません。それ以降に利益を上げ続けて それ一本で生きていくことが難しいのであってネガティブな表題ではありますが、内容は決してネガティブではありません。

先に書き留めておきたいことがあります。私自身の思う
「ブランドを作る」 ということは手段です。ここは履き違えるとややこしくなります。目的としてブランドを立ち上げるタイプの人には向いていない内容なので読む価値のないnoteになります。

「手段」であり「目的」ではない

目的としてブランドを作ることは、買い手に伝わる「何か」がありません。これは異論もあると思うし反論も認めますが所謂「インフルエンサーブランド」。これには手段が抜け落ちてると感じるわけです。
知名度がありファンがいるのでそれなりに売れてしまうので、企業も変に利用している部分があります。こういったブランドの立ち上げを行うと当然ながら服を手段として表現してクリエイトしている方々から批判を受けますし、一般の人でも気づきます。「ナンダコノドコニデモアルヨウナモノハ」というように。ヘタをするとその人の今後に悪い影響を及ぼすことがあるとも思っておいてください。
※以前セレクトショップのオリジナル商品が蔓延したことと似てますね
勿論、信念やコンセプトをもってモノづくりを知った上でのブランドを作り上げてる人もいるとは思いますがごく一部でしょう。「看板」としてインフルエンサーを利用して、お金を「目的」に作られたものは個人的にブランドとは思っていません。誰とは言いませんけど。


さて脱線がすぎますので本題に。今回は作ることに焦点をあてて、その中での苦悩を経験した側として。生産者・販売側どちらの視点もふまえて、難しく苦し部分を書きます。
これから書く事を知っていることで心の準備ができますので、いざそうなっても踏ん張ってもらう予習のようなものになれば幸いです。

『作ること・生産の苦悩』

A.お金の流れ
B.企画の継続
C.生産現場との現実の壁

まずブランドとして商品を作っていくことは、いままでは街に出たりネットでクリックすれば手に入った服が、ここまでの時間やコストを要するものなのかの驚きから始まります。勿論ある程度経験を持っている人であれば想像もできますがショップの店員をしていたり、買い付けしていたり、その範囲では全く見えていない世界が広がっています。そこのギャップに早々にブランドなんてやってられないと思い辞める人も多くおられます。(一部の店員さんやバイヤーさんには詳しい人も勿論いますよ)
代表的なものとして上にあげたABCを順に説明します。

A.お金の流れ

まずブランドとして服を作るには、先立って必要なものが多くあります。パターン・製品サンプル・それに使う資材・縫製に関わる加工費用など。
商品が出来上がるまでに最低限今書いたことのお金が先に必要になります。
ほかにも広告を打つことや、撮影を行う。受注会や展示会などを開くなら場所代も必要です。在庫を持つならもっと必要です。
自分自身のブランドでも1デザイン作り出して販売できるまでにざっと10万円はかかっています。決して莫大な金額ではありませんが安いものでもありません。
実際これら企画したものが販売されて買っていただけたとしても、その代金が自分の手元に収入として戻るまでには早くて1週間(1枚ずつ作っては販売するような方法で現金払いいただくなど)長い時は数ヶ月に及びます。
その間にも順繰り新しく何かを作り出すのであれば、次々と出て行くお金が増えては入るお金が追いつかなくなってしまうことにもなりかねません。

たとえどれだけいいアイディアがあって販売を急ぎたくても
自分の懐事情との相談はしっかりと行い、計画的に商品を世に送り出していきましょう。工場等に依頼を出したままの破産や倒産はこのお金の流れに無頓着だったり計画性のない方がよく起こします。一度お金の事でやらかすと信用は取り戻せなくなると思ってください。無い袖は振れないのです。

B.企画の継続

企画はブランドの骨であり脳です。アイディアを出し続けないと現状維持すらできなくなります。特に衣類は季節に合わせての商品展開も考えないといけません(デザインや素材など)。一人でやっていく方は特にこの部分で苦しむ方も多いです。常に斬新で世に無いものを…ほかとは違うものを…自分らしいものを…こういったことを常々デザイナーと呼ばれる人は考えています。
アイディアが生まれなくなったときはブランドの成長も止まることになりますので、いくら一人で立ち上げたとは言っても、知人・友人・現場の人・同業者さん・お客さんなど人と話せる機会や、リフレッシュする時間を0にはしないように心がけてください。煮詰まっている状態で引きこもって心や身体を壊してしまっては何にもなりません。
常々ブランドは「定番」と言われるものをもつと強いと言われます。
ここといえばあれでしょ?
と周りに思ってもらえるものが出来たら少し楽になりますし、そういうものを考え出すのは楽ではないですが出来た際は一つ大きな成長となっていると思います。自分自信もまだまだですがこの定番を作ることが一つ大きな壁になると思います。

C.生産現場との現実の壁

これもブランドが軌道に乗るまでは相当に苦しむポイントです。
※かといって早々軌道になんかすぐ乗りません

簡単に言うと
工場・現場【まとまった数と適正な工賃を求める】
新ブランド【できる限り少量で安く作りたい】
のバトルです。

工場という場所はそれなりにまとまった数量を一気に作るために人員や機材・ノウハウを確保していますので、個人がブランドを立ち上げた際の生産数なんかでは工場側はなかなかに気持ちよく生産をしてくれません。いや、出来ません。なぜなら基本的に利益になることは無いからです。その人の熱意への投資か1名や3名までの小さな現場での対応が基本となっているはずです。
本来工場は5枚や10枚くらいの生産は(日本の工場では)サンプル費用になるものです。(たとえばシャツ1枚に10000円の縫製工賃を支払って、売値が30,000円くらいの無名のブランドのソレを買ってくれる人がどれだけいますか…という話です。)
勿論それで商品の売値を考えるととんでもない高額品になるか、売っても売ってもなにも残らないボランティア活動になりますので、そこは現場さんとの密なやり取りが必要になります。
先の資金の問題にも関わりますが、一般的な繁忙期での生産を極力避け、すこし現場の落ち着いている状況を見て生産対応していくことを初期段階ではオススメします。そこでぎりぎり生産現場さんも損はしない、協力してくれる限界ラインの交渉をしていくことが最初は殆どです。

自分に出来うる限りの支払い・上代設定をして販売を促進する努力を見てもらうことや、常々経過を話したりして状況・情報の共有をしていくことで人間関係で関係を維持していくことしか最初は出来ません。決して「客だぞ」と天狗にならないこと。一つのブランドが工場を抱え込めるような物量を出すのは不可能に近く、ましてスタート時のブランドなんかでは絶対に無理です。
また現場側も所詮売れないだろうと決めつけて頭ごなしに断らないで欲しいと思います。もちろん全部に対応してたら潰れてしまうのですが、熱意や相性の合うブランドであれば投資だと思って対応して欲しく思います。 

たとえば一人で縫製をしているような縫製士さんに多少高額でも頼んで生産を続けることも一つの考え方ですが、そういった方は使える機材に制約があることがほとんどであることも忘れないように。

特殊なミシンや機材・技術はなかなかに小資本の場所にはありません。(手作業や工芸は別ですが)あとあとの生産背景も考えて多少数がついた時に生産できる能力のある現場さんとしっかり取り組むことが大切です。自身の目標である数字を常に意識していれば、希望する現場さんの規模や能力も自ずと見えてくると思います。


さて今回はこのあたりにしておきます。今回書いたのは大枠の一部です。お金に関してももっと掘り下げるべき内容もありますし、企画・生産現場のことにしても。
ただ何を始めるにせよ新しいことをやろうとする時に、最初から楽です・稼げます・苦労なんかしません なんてことは有り得ません。
苦労はしますが、一度流れを構築できてブランドとして認知されれば、一時だけでなく先々まで存在が残せる可能性のある 夢のある世界でもあります。
辛いことも多いですが、この内容が誰かにとっての予習のようなものにでもなれば幸いです。
ではまた。


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