その５７「話題の映画　ミッドサマーを元素分解してみると…」の巻

バラエティ番組やエンターテイメント作品を構成する要素を、最小単位＝元素まで突き詰め分類した「バラエティの元素表」（＝ヒットの元素）を使って、話題の映画「ミッドサマー」を元素分解してみます。

では、なるべくネタバレしないように注意しつつ、いきますよー

ズバリ！この映画最大の「テーマ」は…

「お昼」に「不穏な事」が起きる「恐怖」

そもそも公式なキャッチコピーにも

「５人の学生が招かれたのは、白夜に照らされた狂気の祝祭だったー恐怖の歴史を覆す”フェスティバルスリラー”」とあります。

今までの恐怖映画では「不穏な事」が起きるのは決まって「夜」でした。
・ジェイソン師匠＝キャンプ客が寝静まった湖畔　
・エルム街の悪夢＝夢の中　　　　　　　　　　　　　ｅｔｃ

アリ・アスター監督が選んだのは「夜ではなく、あえて昼」

「ヒットの元素」でいうと元素番号２２の「Re」（逆）が使われているわけです。
例えるなら「町中を裸で歩いて、お風呂に入るとき服を着る」ように、この「Re」逆には、普通の事に「狂気」を与える作用があるようです。

それにしても夜じゃなくて、あんな真っ昼間にあんな事が起きようとは…。
えー、このままだとネタバレを誤爆してしまいそうなので、ここからは公式サイトのイントロダクションを元に考察していきます。笑

【ストーリー】には…

家族を不慮の事故で失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人と共にスウェーデンの奥地で開かれる”90年に一度の祝祭”を訪れる。
美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。
しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。
妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。

〜とあります。これを「ヒットの元素」で紐解くと…

家族を不慮の事故で失う
＝そのトラウマを抱え、魂の浄化「Kt」を求める主人公ダニー

美しい花が咲き乱れ、太陽が沈まないその村
＝まるでおとぎ話「Ft」に出てくるような風景で、何かが起きそうな、何が起きても不思議ではない異国「Ex」の中。

優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように見えた
＝独自の掟「Ru」を持った村人たちが、特別なセレモニー「Cr」を行う祝祭「Ft」で。

しかし、次第に不穏な空気が漂い始めダニーの心はかき乱されていく
＝「ただの祭り」だという思い込み「Mu」が揺らいでいく。

妄想、トラウマ、不安、恐怖
＝村に散りばめられた意味ありげなオブジェやタペストリーなどが何かの比喩「Me」として脳裏にちらついてくる。

それは想像を絶する悪夢の始まりだった
＝主人公ダニーを襲う絶望的状況「Pi」。

いやぁ、確かに「不穏！不穏！不穏！」のオンパレード！でした笑

物語のシークエンスもアカデミー作品「パラサイト」でも見られた「ヒットの元素」が期待の敏腕アリ・アスター監督の手によって要所要所に散りばめられています。

Lr(Rocked room密室)　密室で起こる出来事
Hb（Heartbeatドキドキ）恐怖映画なのでドキドキは当たり前
Lk（luck運）不運の重なり。誰かに仕組まれているモノかも知れませんよ…
Ti（Timelimitタイムリミット）祝祭の最後までのハラハラのタイムリミット
Sl（Sellout裏切り）さあ、誰が誰を裏切るのか？
Sc（Scapegoat犠牲）とある「犠牲」が出ちゃう！？
Sw（Switchスイッチ）主人公にある「スイッチ」が入る瞬間も見どころ。

〜などなど。

さあ、この祝祭「Fs」のあと、主人公ダニーの魂は浄化「Kt」されるのでしょうか？

それは映画館でお確かめ下さい！（コロナ対策は自己責任で）

一度見ただけでは気づけない「ヒットの元素」がまだまだありそうな映画です！