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自律神経の働き

自分が心なく発する言葉で体調や幸福感を始めとして運勢までもが左右されてしまいます。その成り立ちは次のようなものです。

言葉が脳のシナプス神経回路を作りそれが運命まで左右する。

『悲しいから泣くのではなく泣くから悲しいのだ』というのはカナダのハンス・セリエ博士の名言です。私達は皆この名言の意味を身体で理解しています。たとえば泣き止まない赤ちゃんや幼い子供をあやす時、『泣かない、なかない。ほら笑ってごらん』という人は多いでしょう。泣くのをこらえて笑顔を作ると泣きたい気持ちが消えて、思わずニッコリしたくなると経験的に知っているのです。

それなのに、どうして自分が使う言葉の事になるとこういう知恵を働かせないのでしょう。知恵を働かせないどころか不平不満をこぼす事をストレス発散の方法と勘違いしている人もかなりいます。不平不満を口に出した途端に不快感が募り、かえってストレスを貯めてしまう事に気づいていないのです。

夫婦喧嘩で思いを爆発させればストレス解消できると誤解している人も多いようです。考えてみると自分もそうでした。相手をやりこめるような言葉をぶつけるとその場はスカッとしたような気分になるからでしょう。しかしそのスカッとした気分は錯覚です。

喧嘩している時なぜあんなに腹立たしかったのか、後で冷静に考えてみると腹立たしかったのは相手のせいではなく自分が言い放った言葉のせいだったと気付きます。言わずに黙っていれば収まりが付いたものを言った途端に我慢できなくなり悔し涙が止まらなかったという事もあるでしょう。

つまり不平不満、愚痴、相手をやり込めるような悪い言葉を口にすると不快感や怒りなどのストレスをかえって増やします。また人の悪口を言う時はなぜか口が滑らかになり、ついつい調子に乗ってしまいがちです。ところが調子よく喋っているうちに次第に気分が不快になり、あたかも自分が悪口を言われているように、重苦しくなった経験があるでしょう。

その理由は自律神経には主語がないからです。『あなたが』『彼が』『彼女が』『誰だれさんが』という自分以外の人の事を語っていても、自律神経は全て自分自身の事として受け止めます。その為に人をけなすと自分をけなしているのと同じ気分になってしまいます。

それだけではありません。例えば『職場や上司に恵まれない』とこぼす人はどこまで行っても仕事運が上向きません。また人の悪口を言ったり、嫉妬したり、他人の不幸を喜んだりしているうちは幸福が訪れるわけがありません。なぜなら悪い言葉を口にする程その言葉通りの神経回路が脳に配線されて、運の悪い事を引き寄せてくるからです。

言葉通りの人生

朝起きた時『よく眠れた、スッキリ爽快だ!』と言っていますか? それとも『よく眠れなかった。疲れが取れない』と言っていますか? どちらの言葉を使うかによりその日の気分や体調がまるで違ってきます。

実際は少々寝不足だったとしても『よく眠れた爽快だ!』と口にしたとたん本当にぐっすり眠れた時と同じように爽快な気分になり気力、体力ともに充実してくるでしょう。その反対に実際は十分に眠って気力・体力ともに回復しているにも関わらず、いつもの口癖で『よく眠れなかった。疲れが取れない』と口にしてしまえば、何だか疲れがどっとぶり返すような感じに襲われて、心身共に冴えない状態になってしまうでしょう。

よく眠れて爽快だと言いましょう

口にした通りの気分や体調になるのは脳の中心部から脊髄にかけてひとつながりに続く長い神経、生物学的には『自律神経』と呼ばれるものの働きによります。

自律神経は人間が生きていく上で欠かせない心臓の鼓動や脈拍、血圧、呼吸、消化吸収、発汗による体温の調整などの諸々の機能を司っています。

自律神経系は生命としての営みの中枢であり、全身の健康状態をくまなくコントロールしている司令塔です。それは一分の隙も無く精巧に作られた神経システムですが、面白い事に口から出た言葉に対してとても敏感に反応し、無条件に従ってしまうというちょっと無防備な所があるのが特徴です。

しかし、そうした特徴もまた自律神経の精巧さを裏付けるものです。自律神経は自分の口から出た言葉を漏れなく捉えて、意味を読み取り確実に身体に変化を起こしていきます。それによって、もちろん運命も左右されます。

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