マガジンのカバー画像

アートの思考過程

86
現代美術活動の中で考えるたこと。
運営しているクリエイター

2018年10月の記事一覧

コンセプト

コンセプト

コンセプトの話です。

前から気になっていたことがありまして、現代美術はコンセプトが大切だと言われます。実際そうなんですが、自分はなかなか自作のコンセプトを上手く説明できない。「浮世絵を西洋風に、陰影を使って描くのがコンセプトです」とか言っても、それは表現の話でコンセプトを説明しているわけではないですよね。

で、一言で言えるキャッチーなコンセプトを考えようと思いました。今回そう思った直接

もっとみる
『崇高の美学』

『崇高の美学』

桑島秀樹著『崇高の美学』(講談社選書メチエ/2008年刊)を読みました。なぜ突然、この本を手にしたかというと、単純に『崇高』というタイトルのシリーズを作ろうと思ったからです。僕の崇高に対するイメージは、言葉を超えた高みのようなものだったり、抽象表現主義と近かったりするのですが、この本は18世紀以降の崇高の概念の変遷を丁寧に書いたもので、僕の貧困な崇高感を一変させてくれました。

ただし、この本

もっとみる
『デカルト入門』

『デカルト入門』

小林道夫著『デカルト入門』(ちくま新書刊/2006)を読みました。正直に白状すると後半は流し読みです。そもそも、全てを理解するのは無理な話で「コギト・エルゴ・スム(私は考える、ゆえに私はある)」だけやないで、というのを知った感じです。世界を、それまでのアリストテレス的なものから近代的なものに、ガラッと変えたのがデカルトでしょうか。

ところで、最近は近代的なものと、どう距離を取るか、それが自分

もっとみる
小倉拓也さん×福尾匠さん

小倉拓也さん×福尾匠さん

グランフロント大阪で行われた『カオスに抗する闘い』&『眼がスクリーンになるとき』発売記念、小倉拓也さん×福尾匠さんトークイベントに参加しました。

両著作ともにドゥルーズに関するものです。お二人が大学時代からドゥルーズの読書会でご一緒だったということもあり、和やかな雰囲気でトークが始まり、話が深まるにつれて、考え方の違いが徐々に見え始め、最後は笑顔でボディーブローを打ち合う見事な、参加者を飽き

もっとみる
10月ですね。

10月ですね。

10月ですね。12月の個展に向けた準備は、まだ終わっていません。CASをご存知の方はわかると思いますが、事務所内にある壁面がまだ手付かずです。アイデアはいろいろ出るのですが、何にするか決めかねているところです。まあ、こういうのは初めに思いついたものが、だいたい良いんですけどねぇ。

9月の制作は、P30号が3点でした。いずれも『日本の近代の扉を開けた人々』のシリーズで、アメリカのペリーは8月に

もっとみる
『中世哲学への招待』

『中世哲学への招待』

八木雄二著『中世哲学への招待』(平凡社新書2000年刊)を読みました。今、代表的な哲学者の入門書をソクラテスから時系列で読んでいるのですが、中世が少なすぎると思って、押さえで読んだ本です。ところがどっこい、スゴく重要な気づきがありました。ただし、コマ切れ時間に読みすぎて、全ての内容がしっかり頭に残ったわけではありません。この遅読はなんとかならないものか…。

さて、まず考え違いをしていたのは、

もっとみる