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歌詞と星の名前

昨日、またいつ書くかわからない、次はおすすめ本の紹介でも、なんて言っておきながら、衝動的に今日も書きます。

「言葉」にまつわるあれやこれやを書いていくためにはじめたnote。
今回のテーマは「歌詞に出てくる星の名前」にします。おすすめ本はそのうち。。

なぜこのテーマにしたのかというと、理由は単純です。
昨夜、久しぶりにOrangestarのボカロ曲「アスノヨゾラ哨戒班」を、ゆあるさんという方が歌っている動画(アニメーションで歌詞が表示されているもの)を見ていました。
そして歌詞の中に知らない星の名前が出てきたので気になって調べたところ、おもしろかったからです。

仕事に直結するような内容ではないかもしれませんが、個人的な勉強、備忘録を兼ねて書きたいと思います。

上述の「アスノヨゾラ哨戒班」の歌詞に出てきた星の名前は「魁星(かいせい)」といいます。
実際の歌詞は以下。

空へ舞う 世界の彼方 闇を照らす魁星

この「魁星」とはどのような星なのか。
以前は全く気にも留めなかったのに、急に気になりだし調べた次第です。
デジタル大辞泉さんの説明によると、こうです。

北斗七星を柄杓(ひしゃく)になぞらえたとき、水をくむ部分の先端にある第1星。

おそらくこういうこと。

北斗七星は7つの明るい恒星で形成されていて、6つが2等星、1つが3等星のようです。そして6つの2等星の中で最も明るい星が「魁星」。

基本的には7つ揃っているから「あっ、北斗七星だ!」となるわけですが、歌詞ではその中の1つの星に焦点を当てることで、少しのもの哀しさと希望の光というような世界観を見せてくれている気がします。

もちろん前後の詩があって成り立つわけですし、これはあくまでも僕の受け取り方であり、それぞれ感じ方が違って当然だと思いますので考察はやめておきますが、どのようなルートで「魁星」という言葉に行き着いたのか興味深いです。

ただ、この「魁星」というのは和名で、固有名としては「ドゥーベ」というそうです。和名を使うことによって情緒的な雰囲気が歌詞に宿るのだろう、ということを付け加えて「アスノヨゾラ哨戒班」の紹介は終わります。
楽曲は数年前の曲ですが、今でもカバー動画が作られたりTikTokで使用されていたりと人気がありますので、興味があれば聴いてみてください。


次の歌詞はsupercellの名曲、「君の知らない物語」からの一節。

「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」
君は指さす夏の大三角
覚えて空を見る
やっと見つけた織姫様
だけどどこだろう彦星様
これじゃひとりぼっち

歌詞の中に「夏の大三角」とある通り、夏の夜の出来事だとわかります。
デネブ、アルタイル、ベガ、は星座の勉強時に一度は名前を聞いたことがありますよね。はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル、こと座のベガ、いずれも夏を代表する星です。

それとは別に「織姫様」と「彦星様」という言葉も七夕の時期によく耳にします。小さな子どもでも織姫と彦星なら知っているのではないでしょうか。
ご存知の方も多いかもしれませんが、アルタイルは彦星、ベガは織姫のことです。

せっかく教えてもらったのに、織姫であるベガの位置はわかったけど、彦星であるアルタイルを見つけられない。「これじゃひとりぼっち」は、今この瞬間に見上げている夜空に浮かぶ星の話でありながらも、広大な宇宙の星を使った現実の見立てであることが、そのあとに続く歌詞を読めばわかります。

見える織姫と見えない彦星。もしベガとアルタイルを見つけられたとしても、両者の間には何光年の距離があるのだろう。そんなことを想像してしまいます。
この曲を知らない人は是非、歌詞を読みながら聴いてみてください。


最後に大好きなThe Birthdayの「LEMON」より。

革命家はずっと 嘘をついてたよ
発明家はずっと 偽物作ってた
真っ黒な満月は たぶん月の裏側
見えたけど 見えたけど
野良猫と 見上げたよ本当は
あそこに真っ黒な満月が

「月」も立派な星の名前なので取り上げました。
この歌詞は 「真っ黒な満月」 という表現がとても素敵だな、チバユウスケ節が炸裂しているな、というところが大きいです。

皆既日食……ではなさそうですね。
空はどんな色をしていたのでしょうか。野良猫はどんな柄で、どんな声で鳴いていたのでしょうか。気になります。
全てが嘘であり、普段、正しいと信じているものが反転している世界に迷い込んだ気分にさせられます。

曲を通して絶望、怒り、信念、疑念、願い、希望、痛み、前進、そういったものが抽象的な詩とともに表現されているように感じます。
※ 感じ方には個人差があります。

また、The Birthdayには「WALTZ」という曲があり、そこにはこんな詞が出てきます。

銀河のタマゴが産まれる場所をね見つけた
今度さ一緒に行かないか

これもチバさんならでは、といったところでしょうか。The Birthdayの曲の詞は絶妙な言葉選びや言い回しが多く、書きたいからといって書けるものではない、といつも思います。チバさん、流石。


今回は星の名前が歌詞に出てくる曲について書きましたが、裏テーマとして「星の和名」が使われているものにしました。

たとえば「箒星/ほうき星/ホウキ星」を使った歌詞はたくさんありますが、箒星は特定の星を指すわけではなく彗星を表す言葉なので、とても綺麗な言葉で好きですが省きました。

今後、歌詞を読む時に注目したいのは以下の星の和名。それぞれの固有名は聞いたことがありますし、実際に様々な曲のタイトルや歌詞に使われています。
なかなか和名を気にしたことがなかったので、見つけられたら楽しい発見になりそうですね。

【シリウス】
和名:大星(おおぼし)/青星(あおぼし)

【リゲル】
和名:源氏星(げんじぼし)

【ベテルギウス】
和名:平家星(へいけぼし)

【スピカ】
和名:真珠星(しんじゅぼし)

【アルデバラン】
和名:後星(あとぼし)

上記には入れませんでしたが、少し特殊だと思うのが「ポラリス」。
ポラリスとは北極星のことです。それぞれの名前で同じくらい知名度(聞いたことがある、も含めて)がある気がするのですが、「ポラリス=北極星」と結び付けられる人となると、いかがでしょう。どれくらいいるのか知りたい。

「金星」を表す「宵の明星」「明けの明星」という言葉も歌詞に使われていたりしますので、和名や別の表現も含めて星の名前に着目すると、新しい知識が増えたり考えたりする機会も増えて、なおのこと楽しそうですね。

それでは今回はこのあたりで終わりにします。

まさか二日連続で記事を書くとは思いませんでした。
勢いで書いてしまったので、しばらくは休眠状態になるかもしれませんが、またのお越しを心よりお待ちしています。

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