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Xデザイン学校大阪校2021 #10 オズの魔法使いと成果発表

今年もとうとう最終回。クライアント企業さんに対してプレゼン発表する日がやってきた。特に発表前1週間は、仕事の合間を縫って資料作りするので大忙しだった。それだけに、発表が終わった後の開放感がとても大きかった。この雰囲気について、チームメンバーと話していたのが、「修論発表前の雰囲気に似ているよな」ということ。メーカーの人たちが集まっているチームならではの表現かもしれないなと思いながら、そんな話もしていたのだった。

ちなみに、このオズの魔法使いは演劇的にサービスを説明するというステップなのだが、この1年はずっとオンラインで講義・グループワークをしてきたので、代わりにパラパラ漫画やムービー撮影したもので発表する形だった。これはこれで、サービスのコンセプトムービー的な感じに仕上がって、面白いと思ったところ。準備はとても大変だが、その分伝わりやすさという面では抜群だと思う。普段の仕事でも商品提案の時に使ったりできそうと思いながら、自分たちや他のチームの発表や表現方法を見ていたのだった。

最後なので、この1年を通した振り返りを。


1.ビジョン・パーパスの大切さ

「ビジョン:どんな未来像を目指すのか」
「パーパス:自分たちの社会での存在意義は何なのか」

プロジェクトを進めるにあたってこの2つをいかに定義し、言語化しておくことがどれだけ重要か、グループワークを通して経験として学んだ。

というのも、今年のXデザイン学校大阪校はフルオンライン。オンラインでのコミュニケーションの特徴として感じていることは、時間を気にせずにいつでも連絡が取りあえるというメリットがある一方で、やはりリアルのようなテンポのいい、密なコミュニケーション、高度な意思疎通の難しさがあると感じている。今回チームリーダーを務めることになったのだが、チームとしての方向性をきちっと言語化して共通認識として共有しておくことがいかに大切なことだったか、振り返って思うところです。(実はチームメンバーとはリアルで顔を合わすことはできないまま終わってしまったので、落ち着いたら皆で打ち上げもかねて食事に行きたいねという話をしている。)

正直、初めの頃はこのビジョン・パーパスがいまいち自分の中でも理解しきれていない部分があって、それぞれの違いもよくわからないままに、探り探りで設定していたところがあって、回を重ねるごとに少し変わったりして、全体の立て付けもおかしくなっていくという経験をした。最初にここをばっちり決めてさえいれば、あとのプロセスも皆が迷うことなく進めたのだろうと思う。

これはプロジェクトだけでなく、会社の経営もそうだし、自分の人生にとっても同じことが言えるんだろうと思う。それくらい、重要であり、基本的な概念だからこそ、世の中でこれだけ注目されている。でもその本来の位置づけを概念化できていて、きっちり言葉で説明できて、ちゃんと設計できる人は、そんなにいないのかもしれない。このことを学べたことはこの1年とても大きなことだと思った。だからこそ、ひとつ目に上げました。

2.自分事化することの大切さ

プロジェクトを進めるにあたって、サービスを考えるにあたって、いかに自分事化することが大切か。自分事化と言っても、自分の困りごとを探すわけではない。何かこうしたいというビジョンを持っていた時に、必ずしもそれが自分の知っている、経験している分野とは限らない。日ごろから、何か疑問に思ったり、こうしたらいいのになと思うことがたくさんあると思うが、わりと自分とは関係ないことも多い。でも、こういったことに取り組むにあたって、実際に自分で試してみる、経験してみて、それを積み重ねていくことで自分事化されていく(これがエスノグラフィ)。ただ、自分のものにするにはそれ相応の時間もかかるし、続けていくことがとても大切。

実際、今回のグループワークを通して紅茶のサービスを提案したのだが、もともと自分はそんなに紅茶を飲む人ではなかった。でも、チームメンバーの話を聴いたり、紅茶のことを調べていくにつれて、その奥の深さに興味を持って、いろんなカップだったり、ポット、茶葉を実際に買ってこの半年くらいずっと飲んで来た。(ちなみに、新しい趣味にもなって今もなお飲み続けている。あと半年分くらいの茶葉在庫が・・・笑)

普段、商品企画とかしていても、実際に自分で試すというのは必ずするようにしている。世の中には、机上の空論だけ、資料だけで企画しちゃう人も多くいるけど、自分は実際の商品を試すし、構造がどうなってるかを知らないと気が済まないたちで、開発に対してもかなりしつこく質問する(開発出身なので、かなりマニアックなところまで聞いちゃうので、もしかしたら面倒がられてしまってるかもしれない笑。でもそれくらいちゃんと理解したいと思ってるし、そうしないと自分の言葉にして話せないとも思っている。)

そして、UXのプロセスのいいところは、何度もプロトタイピングを繰り返すこと。そうすることで見えてなかったことが見えるようになるし、実際にユーザーが試していることを観察することで、より深い自分事化につながっていく。サービスの詳細を組み立てていく上でとても大切なフェーズ。
そういえば、任天堂の宮本さんは、ゲーム開発でもこれを繰り返すのだそう。あるゲームがあったとして、近くにいる事務系のスタッフとかを呼び止めて、プレイしてもらって、ずっと後ろから何も言わずにその様子をじっとみているとか。だからこそ、ゼルダとかとても新しい体験、没頭できる体験を作れるんだなと。体験を作るというのはこういうことなんだと理解した。

ある意味、Xデザイン学校で学び、グループワークを通して経験を積むことも、UXのプロセスやプロジェクトを進めることの自分事化だったのかもしれない。

3.日ごろから何事にも興味を持って引き出しを増やすこと

ただ、いろんな気づきを得たり、ビジョンやパーパスだったりを作るにも、自分の中にその引き出しがないとできない。そのためにも日ごろから、いろんな知識や教養、経験を拾い、蓄積しておくことがとても大切で、この引き出しの多さが良い提案の礎にもなる。どんなに一生懸命でも、知らなかったら良いゴールにはたどり着くことはない。地図もコンパスも持たずに山へ入ったりや大海原に出るようなもので、ゴールにはたどり着けないし、そもそもゴールがどこかもわからない。

今、振り返って言葉にすると、すごく当たり前なことを書いているようなきがするけど、意外とこれを実践できていないことが往々にしてあるんだろうと思った。こういう積み重ねが、良いサービスだったり、深い人間になることにつながっていくのだろうと、改めて言葉として理解した。

自分の経験としてあるのが、昔読んだ本や観たアニメ・映画だったりでも、かつては何とも思わなかったセリフが、今見るとすごく重いセリフに見えたり聞こえたりする。こうやって人は学びを重ねて、新しい世界を見つけるんだなと、再放送していたガンダムを観ているときに思った。(これも過去に見ていたからそう思ったし、今初めて見ただけだとこの違いがわからなかっただろうし、これも一つの気づきだと思う。比較になってるからわかったこと。)

4.物事を体系化して、応用する力。

今は、世の中が激変する時代。企業としてどう生存戦略となるビジネスモデルを構築して生き残っていくか。企業なので、やはりビジネスとして収益を上げて、持続していくという視点も重要になる。そのために重要なことが次の4つだと理解している。

①企業のアセット(正・負両方)をいかに活用するか
②データを収集・利用してユーザーへどう還元するか(DX)
③ビジネスとしてスケールするかどうか
④社会にとってどう良いことなのか?

新規事業を考えるとなると、ついユーザーのことやトレンドに流されて考えがち。でも、なぜその企業がやるのか?、社会にとってどういいのか?、ビジネスとして続けていけるのか?という視点も忘れてはならない。

アセットの活用方法やスケールのさせ方については、まだまだ自分はモノ発想に落ちやすく、今ある形をそのまま横展開しようとしてしまう。そのアセットや仕組みを概念化、体系化して、その考え方を別の分野に応用していくことも活用方法の1つということを学んだ。確かに、考え方であれば、まったく違う分野への転用も可能になる。そうしてビジネスはスケールし、企業のポジションも少しずつずらしていくことで生存戦略になるということ。こういった概念的なことが、まだぼんやりではあるが自分の中に生まれたことはとても大きな出来事だった。(「いかに仕組みで解決するか」ということをわかりやすく書き残したかったが…。まだうまく説明できない自分がいるので、これからも経験を通じて研鑽していかねばと思うところ。)

おわりに

実在の企業からお題をいただいて、実際に企業へ最終提案する生の経験だからこその学びがあると思った。本を読めば知識としては見に付くけれども、やっぱり経験しないと学べない、理解できないこともたくさんある。そう感じた1年でした。

最後に、この1年間ご指導いただいた浅野先生、佐藤先生、そして共に学んだチームの皆さん、同期生の皆様ありがとうございました。引き続き、お互いを高め合い研鑽を積んでいければと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。


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