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【まいぶっく32】最強のうがい~ぼく びょうきじゃないよ

「扉一枚が、別の世界に通じている」というお話は、けっこうあるのではないかと思う。

この間読んだ「ナルニア国物語」は、衣装だんすの扉を開けてナルニアに行ったし、岡田淳さんの「扉のむこうの物語」も、倉庫の中の扉を開けると そこは不思議な街だった。
ドラえもんの「どこでもドア」も・・おっと、どこでもドアが通じているのは、「同じ世界の別な場所」のことが多いかな。

この絵本の不思議な「扉」は家の中。ケンの部屋と茶の間とをつなぐ扉。
ケンが その扉を通って別の世界に行くのではなく、その扉から ケンの部屋に現れるのが「くませんせい」。
家の中の扉は通れないんじゃないか と 心配になるくらい、たてにも横にも大きな身体の「くませんせい」。

あしたは、つりに行く大事な日なのに、ケンはちょっぴり熱があって、ちょっぴり胸が ひゅーひゅー音がして、お母さんに 寝せられてしまいました。

ベッドで寝ているケンのところにやってきたのは、なんと、くまのお医者さん「くませんせい」。
往診の途中だという くませんせいは、「くましき」で ケンの身体もみてくれました。
さて、ケンは つりに行けるでしょうか?


楽しみにしていることがあるのに、風邪をひいてしまうなんて、子どもにとってこんなにがっかりすることもない。

私も小学1年生の時の遠足は、風邪をひいて欠席だった。布団の中でごほごほしながら、「今ごろみんな何してるだろう」って考えていたなあ・・なんてことも思い出してしまう。
水枕をして寝ているケン。そうそう、私もこのゴム製(?)の水枕で寝ていたよ。

自分の部屋で寝ていたケンのところに 突然現れた「くませんせい」。
往診の途中で、「みちを まちがえた」と言うのです。
親切なくませんせいは、ケンのこともみてくれます。


何て言ったって、くませんせいが教えてくれた「くましきうがい」がすてき。

ゴロゴロ ガラガラ ガラッパチ。
ガラゴロ ガラゴロ ゴロッパチ。
クチュクチュ ペッペの クマッパチ。
    (3回つづける)

この絵本を読んだ後、私も「くましきうがい」をやってみた。
ただ、セリフを覚えきれず、「ゴロゴロ ガラガラ」ばかりのうがいになっていたのは、ご愛敬。
心なしか、のどがさっぱりした気がして、「『くましきうがい』は、最強かも」と思ったものだ。


同じ本でも、読んだ時の年齢によって受ける印象はちがうもの。
今回、読み直して、「くましき ねんね」にとっても心ひかれた。

くませんせいが、ケンのふとんをあたたかくする。
いいにおいがして、ぽこぽこ あたたかくなった布団の中で、朝までぐっすり眠るケン。

最近、夜中に何度も目が覚めてしまう私。
「くましき ねんね」で寝たら、ぐっすり朝まで眠れそう。
くませんせい、私のところにも来てくれないかなあ(笑)


ぼく びょうきじゃないよ
 (こどものとも傑作集)
 角野栄子 さく  垂石眞子 え
 1994年 福音館書店



読んでいただき ありがとうございました。