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語り得ぬものをなかったことにしたくない - 秘密結社「喫煙所」(第20通目)

この記事は、素直さと向き合おうとしているふたりが、答えのないことを問い続けていく文通マガジン『秘密結社「喫煙所」』の第20通目です。お互いの記事を読んで、文通のように言葉を紡いでいきます。

秘密結社「喫煙所」

タオさんへ

漫画の登場人物やスポーツ選手とかが言ったりする、「世界一になりたい」っていう感覚は、まるで抱いたことがなくて、「なんだかよくわからんけど頑張りや〜」って気分になる。だから、「突き抜けること」を含めて、改めて捉え直してみるのは、すごくおもしろかった。俺も急かしたのに遅くてごめん笑

前にnoteに描いたことがあるんだけど、"突き抜ける"という言葉に対して、"競争して勝つ"っていうイメージがあって、あまりピンとこないというか、競争欲がないわたしには無縁な言葉だなって捉えてた。

突き抜けるってなんだろう?- 秘密結社「喫煙所」(第19通目)

確かに、「競争」というものを紐解いていくと、「とにかく人と比べた"結果"だけを盲信的に見る」というニュアンスが含まれている気がしていて、そういうことには全く魅力を感じない。

競争の良い面や仕方ない側面の話もあるけど、そうであったとしても、やはり人と比較することからは、基本的に降りていようと俺は思っている。そこから差してくるものを信じているかんじ。だから、競争は「それでもどうしても」という一部の人だけやったらいいんじゃない、みたいな。

"世界一になること"にも競争のイメージがあったんだけど、「感情の全部を音で表現できる」っていう抽象的な定義の仕方もあるのか!と思ったんだよね。ゴールはなくて、いくらでも突き詰められる。人と比べる必要もないものだなと思った。

突き抜けるってなんだろう?- 秘密結社「喫煙所」(第19通目)

タオさんが言うように、競争や比較をしなくとも、何かを突き詰めたり、深めていったりすることは、共存できるものなんだと思う。というか、何かに没頭してみて、振り返ったら以前の自分では生まれ得なかったものが、立ち現れてきたりして、それがいわゆる"突き抜ける"ってことかもしれない。

ただ、競争もだけど、没頭も怖いところがあって、夢中でやっているうちはいいんだけど、段々と満足できなくなってきて、素直さをなかったことにしてまで技術を追い求めたり、他者への排除が抑えられなかったり、見たくなかった自身の暴力性との付き合いが始まるような気がしている。

好きなものはたくさんあるけど、時には没頭ゾーンに入りながら、基本的には「淡々と」「地道に」という距離感でやっていくのが、自分には合っていそうだなと思ったりした。

それを聞いたときにBLUE GIANTの言葉とリンクして、突き抜けるっていうのは競争することじゃなくて、自分の世界観や感情を表現できることかもしれないって、自分の中で腑に落ちた。人と上下を競うわけでもなく、比べるわけでもなく、自分のスタンスを貫いている人が突き抜けるんだなって。

突き抜けるってなんだろう?- 秘密結社「喫煙所」(第19通目)

"自分の世界観や感情を表現できること"という捉え方、なんか素敵でいいね。今思い付いたけど、理想を持つことが結構好きで、というか性分でもあると思っていて、それは「突き抜けたい」という感覚に近しいところがあるのかもしれない。

そういえば、先週ぐらいに書いた雑記に、「自分の世界を作りあげたい。その気持ちはとっておいてもいいんだろう」という一文があって、どんな文脈だったか記憶にないんだけど、自分を知らしめたいとかでも、納得できるぐらいの水準を保ちたいとかでもなく、今地道にやっている、撮ったり書いたり話したり読んだりが、混ざり合って、自分なりの世界を手づくりすることに繋がったらいいなとは思っていて。

腑に落ちないことが、あまりにも世界に多すぎるから、折り合いをつけつつも、どこかで「自分(たち)で手づくりしていかなくては」と思っているんだろうね。タオさんがよく「素直さ」という言葉を出すから、知らずに影響を受けているみたいで、きっと自分の世界観や感情を表現するには、素直さを経ていくんだろうなとも思う。

そういった「突き抜けたい」は、競争や比較でも、閉じることでも、自分だけのことでも、とはいえ安易に人のためとかでもなく、ただ、語り得ぬものをなかったことにしたくないみたいな気持ちでもあるんじゃないかな。

・・・

気に入った写真は日によって変わるから選ぶのムズい

発見の共有って楽しいね。BLUE GIANTを観てきたけど、遅れた上に満席で、途中カルピスを飲み過ぎてトイレに行こうにも行けず、全然内容が入ってこなかったことを告白しておきます。曲は最高だった。ジャズいいよ。

【今回の問い】

【前回の問いと返事】

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