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あなたの近所で最も多いコンビニは?~東京23区全地区のコンビニ店舗シェアをマップ化~


23区内の大手3社コンビニの店舗数は3,913店舗(2023年11月・12月現在)

東京23区内の大手3社(セブンイレブン・ローソン・ファミリーマート)のコンビニエンスストアの店舗数は、3,913店舗となっている。東京23区の人口が9,794,524人となので(東京都総務局 2023年12月1日現在:https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/jsuikei/js-index.htmより、単純計算で店舗あたりの人口は2,503人となり、約2500人あたりに1店舗大手3社いずれかのコンビニが存在していることとなる。一般的にコンビニの商圏人口は3000人程度と言われているので、コンビニの経営を維持するうえで必要な人数を少なくとも23区内では確保できているといえるのかもしれない。一方で、オフィスの集積する都心部やターミナル駅周辺は、定住人口では計算できない23区外からの来訪者が多くを占めるため、単純にこの数字がコンビニの利用者を表すものとはならない。

23区内で最も店舗数が多いのは王者 セブンイレブン

全国のコンビニ店舗数でトップのセブンイレブンが、大手3社の23区内でもトップの1,682店舗(2023年11月現在、iタウンページの情報より)を店舗を構えているという結果となった。小地域別にみると、最も店舗数が多いのは「千代田区丸の内一丁目」で6店舗。続いて、「千代田区大手町一丁目」「墨田区江東橋三丁目」「新宿区高田馬場四丁目」「港区芝五丁目」が同率で5店舗という結果となった。全体的には、千代田区を中心とする東京駅周辺(大手町・丸の内)や品川駅を中心とした山手線東側のターミナル駅に店舗数の集中した地区が多いことが特徴といえる。
一方で、セブンイレブンの多い区トップ5を見てみると、意外にも都心部や大規模なターミナル駅が存在する区ではないことがわかる。上位を占める区はいずれも、23区外縁部の面積の大きな(人口の多い)区で、比較的住宅街の多い地域といえる。このことより、セブンイレブンが特定の地区に店舗を集中させる出店戦略を採っているというより、面積(人口)比に応じて23区内に満遍なく店舗を展開する方針を採用している可能性があることがここからは読み取れる。

図1 東京23区小地域別のセブンイレブンの店舗数

23区別 セブンイレブンが4店舗以上ある地区数  ※()内は地区数
・千代田区 3
・新宿区 2
・港区、墨田区、豊島区、豊島区、台東区 1

セブンイレブンの多い区トップ5  ※()内は店舗数
1位 世田谷区 116店舗
2位 大田区 105店舗
3位 足立区 102店舗
4位 新宿区、江戸川区 99店舗

王者 セブンイレブンを追随する店舗数2位のファミリーマート

23区内のファミリーマートの店舗数は、1510店舗(2023年12月現在、iタウンページの情報より)と王者セブンイレブンに172店舗差でビハインドとなる形となった。近年のコンビニ業界再編により、サークルKサンクス、ampm、ココストアといった中堅コンビニを吸収合併、その屋号をファミリーマートに変更したことによって、急速にその店舗数を伸ばした印象があるファミリーマート。その結果、地区別のコンビニ数においては、セブンイレブンを凌ぐ7店舗以上を構える地区が存在している。「新宿区西新宿一丁目」に10店舗、「豊島区東池袋一丁目」に8店舗、「豊島区南池袋二丁目」には7店舗のファミリーマートが構えられており、その数的優位を示している。山手線の東側のターミナル駅に店舗が多いセブンイレブンとは対照的に、新宿区・豊島区・渋谷区を中心とする山手線の西側に位置する3大副都心のターミナル駅周辺に店舗数の多い地区が集中しているのが特徴で、5店舗以上が店舗を構える11地区のうち8地区がこの3区に含まれているのは特筆すべき点であろう。
この特徴は、ファミリーマートの多い区トップ5を見ても顕著で、セブンイレブンの多い区トップ5は、23区の外縁部の区で占められていたのに対し、ファミリーマートは3大副都心で、都内3大ターミナル駅を擁する新宿区・豊島区・渋谷区がすべてトップ5にランクインしているほか、複数のオフィス街を擁する港区も2位にランクインしている。このことから、ファミリーマートが日中に人の集まる都心部やターミナル駅周辺に店舗を集中させる出店方針を採用していることが示唆される。

図2 東京23区小地域別のファミリーマートの店舗数

23区別 ファミリーマートが5店舗以上ある地区数  ※()内は地区数
・豊島区 4
・新宿区 3
・大田区・江戸川区・渋谷区・港区 1

ファミリーマートの多い区トップ5  ※()内は店舗数
1位 新宿区 119店舗
2位 港区 118店舗
3位 世田谷区 111店舗
4位 豊島区 87店舗
5位 渋谷区 86店舗

店舗数では2社に水をあけられるも独自のブランド路線を貫くローソン

ナチュラルローソンやローソンストア100、ローソン×スリーエフといった複数のブランドを展開し、それぞれのコンセプトにも個性が際立つ、23区内の店舗数では721店舗(2023年11月現在、iタウンページの情報より)で第3位につけるローソン(全ブランドの総計)。4店舗以上を構える地区は、新宿区「歌舞伎町二丁目」「西新宿一丁目」、江東区「有明三丁目」、港区「虎ノ門二丁目」「南麻布二丁目」となっていた。図3からも新宿区内の濃い色を示す地区が集中していることがわかる。
この特徴は、ローソンの多い区トップ5にも反映されており、上述した新宿区、江東区、港区がすべてランクインしている。セブンイレブンが区の面積(人口)比に応じた出店スタイルで、結果的に住宅街として機能が高い区が店舗数トップ5のほとんどを占め、ファミリーマートはターミナル駅周辺やオフィス街を中心とした日中に人の集まる地域に集中した店舗展開を見せる中、ローソンはその中間ともいえる出店戦略を採っているようにも見受けられた。世田谷区、大田区といった住宅街としての性格が強い区に加え、新宿区、港区といったオフィス・ショッピングエリアとしての性格が大きい区の両方がランクインしていること、さらに江東区というその2つの性格どちらも持つような区がランクインしていることは、ローソンの出店戦略の象徴のようにも思える。2社の中間点ともいえる出店戦略で、両社の合間を縫った満遍ない店舗展開が特徴といえるかもしれない。

図3 東京23区小地域別のローソンの店舗数

23区別 ローソンが4店舗以上ある地区数  ※()内は地区数
・新宿区、港区 2
・江東区 1

ローソンの多い区トップ5  ※()内は店舗数
1位 世田谷区、港区 55店舗
3位 新宿区 54店舗
4位 大田区、江東区 46店舗

あなたの近所で最も多いコンビニは?~地区内で最も多いコンビニはどれかをマップ化~

図4 地区(エリア)内で最も多いコンビニエンスストア(大手3社別)

図4は、地区内で最も多いコンビニエンスストアを大手3社別にマップ化したものである。言い換えると、地区内で最大の店舗シェアを持つコンビニエンスを図式化しており、皆さんのお住まいの地区で最大の店舗数シェアを持つコンビニエンスストアがこれを見ると一目瞭然となる。大手3社では、23区内店舗数第1位のセブンイレブンが711地区で店舗数シェアトップにこちらでも君臨。第2位のファミリーマートが538地区でそれを追随し、ローソンは215地区という結果となった。一方で、セブンイレブンとファミリーマートが店舗シェアで同数となる地区は265地区あり、23区内の店舗数の差で約150店舗ほどに縮まっていることから、店舗数のシェアでは拮抗してきているともいえる。

最大の店舗シェアを持つ地区数(大手3社別)
セブンイレブン 711
ローソン 215
ファミリーマート 538
セブンイレブン/ローソンが同数 101
セブンイレブン/ファミリーマートが同数 265
ローソン/ファミリーマートが同数 79
大手3社すべてが同数(いずれも0店舗の地区も含む) 1283

まとめ

普段何気なく歩いていて、やけに特定のコンビニエンスストアが多いなあと感じる場面があるが、実際に分析してみると、1地区内にファミリーマートが10店舗存在する地区もあり、その感覚的な印象を今回の分析では実際に裏付ける形となった。また、実際に23区内全地区のコンビニ店舗数のシェアを視覚化することで、大手3社別の23区内における出店方針の概観も垣間見えた。大手3社ともに、23区内に満遍なく店舗を構えているとはいえ、面積比(人口比)に比例する形で店舗数も比較的多いセブンイレブン、3大副都心(新宿・池袋・渋谷)のターミナル駅周辺に圧倒的な店舗網を展開するファミリーマート、港区のオフィス街を軸としながらも、2社の合間を縫って満遍なく店舗を展開するローソンという、コンビニのブランド戦略にはとどまらない(もしくはコンビニのブランド戦略に基づいた)新たな大手3社それぞれの特徴がみられたのは興味深い。自分の近所、あるいは職場、はたまた何気なく訪れた街で、ある特定のコンビニが多いなと感じたら、そこがどこかを考えてみるのも面白いかもしれない。

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