見出し画像

カルチャー無し時代を生きる僕らの役割

茶道を習いだして1年が経ちます。

奥が深いどころかおそらくこのまま進んでいっても無限に終わりが来ない
「永遠の悪魔」が茶道じゃないかなと思うのです。
季節、暦、時刻、その人の年齢、生い立ち、等、言い出せばキリがないほどの情報をもとに、最高の準備をしておもてなしをする。確かにこれは作法がどうとかそういうレベルを超えた最高の日本の文化だな、と実感しているのです。

が、時代はというと全く逆の動きをしており、TikTokから始まったショート動画×アルゴリズムの組み合わせによってとにかくトレンドの移り変わりが早い。
ワッと人々が集まって、一気に解散。その中心が何だったかなんか誰も気に留めず次の人だかりのもとへ。それが毎日繰り返されているそんな時代だなあと感じます。

最速でトレンドが移り変わっていく今の時代は「カルチャー」が生まれにくい。それが今の時代の特徴。そんな時代は少し寂しく感じますが、僕はそんな時代を見ながら、ある仮説を立てました。
カルチャーなし時代の存在意義。
それは過去の文化を面白がり、現代に再び持ち込み未来へ繋ぐ事。
文明の進化によって不便となり、生活から敬遠されていた先人の知恵や思想を未来と繋げる大事な世代が「今」
なんじゃないかという仮説です。

僕は食品畑にいるので食の分野での気づきがメインになるのですが、
例を挙げれば、発酵食がブームになっていること。
優秀なサプリや高栄養食が巷に溢れているけれども、今健康に敏感な人は
自分で麹を仕込み、発酵させ、食卓に取り入れています。
コスパ。という概念で見ればとてもコスパの悪い時間のかかる行為のように思えますが、
自分で麹を仕込み、発酵を見守りそれを食べる。その行動自体が楽しいのです。

取引のある、酒蔵からは面白いデータを聞きました。
梅酒などを仕込む際のお酒であるホワイトリカーが過去最高の売り上げだったそうです。コロナ禍で家庭の楽しみ方が変化した事もあると思いますが、
梅を買い、氷砂糖を買い、仕込みの瓶を買い、酒を仕込んで、完成を待ち、出来上がったお酒を家族で楽しむ。
そんな昔の日本では当たり前だったゆっくりと流れる時間をcoolと感じ、そういう生活をやってみたい!という人が多いのが現代の特徴であると感じています。果実酒を仕込む際に使うホワイトリカーが過去最高の売り上げだったというファクトは個人的にとても面白かったです。

便利さが行きつくところまで行き、安く、美味しいものはコンビニですぐ手に入る時代だからこそ、逆方向へ大きく揺り戻しが来ているタイミングが今のように感じます。

個人的にもその流れを肌で感じ、
丁寧な仕込みで作るレモンサワーの記事を書いた所過去最高の反響を頂きました。この記事はnoteさんの公式でも取り上げていただきました。

あくまで僕の仮説なので、説得力などあってないようなものだと思うのですが、僕はそういう仮説を立ててそれに沿って実験的な動きをするのが好きなので、大きく違っていたらまた修正するだけです。
そんな仮説から生まれた、今、大切にしたい現代的な食卓をコンセプトにした食材のオンラインストアを昨年末にオープンしました。

https://www.instagram.com/umami_table_jp/


普段出回らない生麹や、減農薬レモン、丁寧に仕込んだカラスミなどを取り急ぎ販売してみたのですが有難いことにとても良い反響をいただいております。
カラスミなどはリリース半日で完売してしまいました。誠にありがとうございます。
coolと感じる感覚が過去の文化や生活に向いているのであれば、それを現代風にアレンジする存在も必須です。
この2023年はそういうチャレンジを念頭におき、過去と未来を繋ぐ現代人の役割を全うしたいと思います。

2023年が終わる頃にまた答え合わせをしてみたいと思います。
今年もどうぞよろしくお願い致します。


この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,936件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?