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息子の就職活動で教えてもらったこと

2021年4月、息子は夢に向かってスタートを切った。

2020年
コロナ禍での就職活動。

自分のやりたいこと
自分の働きたい職場

家から通える場所
一人暮らし

すべてを息子の判断に任せた

会場
オンライン
企業説明会
就職試験

初めは東京や近県の会社
そのうち県内の会社

ありがたいことに
いくつもの会社から内定をもらっているようだった

それでも就職活動を終了させる気配がない

どこに決めるんだろう…
このままでは断る会社に迷惑をかけてしまうのでは…

しばらくして
息子から鉄道会社に内定をもらったと報告があった

子どものころから電車が大好きだった

住んでいる町には鉄道が敷かれていない

だけど、遊びは電車中心

隣町の
電車の見える公園
遮断機のカンカンカンカンが聞こえると
遊具を放り投げ
全速力で線路わきまで走った

隣のその隣町の
河川の土手の上
橋梁を走る電車を一日中眺めてた

家から車で1時間
お気に入りの駅
一日中、往来する電車を眺めてた

電車に乗ると一番前
運転席のすぐ後ろに立ち
運転手さんを
進行方向に延びる線路を
ずっと見ていた。
やっと覗けるかどうかの幼いころから
どんなに長い時間でも。

もちろん
小学校から成人式のアルバムまでずっと
夢は「電車の運転手になること」


(やっぱり、そうきたか)

本当だったら
諸手を挙げて喜んであげるところ

コロナ禍で公共交通機関の利用者は激減
毎日のように
鉄道会社の経営赤字が話題にされていた

「新しい日常」はリモートワークを新常態とし
鉄道会社の経営は
コロナ後もV字回復は見込めないと
専門家だけでなく
一般の私たちもなんとなく感じていた日々。

もう一度よく考えた方がいい

本人も少し考えてみると言った

数日たっても報告はなかった

もうこれ以上はーと思ったある日
本人から話があると言われた

「やっぱり、鉄道会社に就職する」
その仕事がなくなってしまうんだったら
余計、その仕事をしたい

これが息子の答えだった

私は、どこを見て話をしていたんだろう…
何十年もの先のこと
それも必ずそうなるかどうかも分からないことを憂いて
手を出さない
一歩を踏み出さない
100%の安全、安心、自信がないと
怖気づいて引き下がる

何を中心にして、生きてる?
こんな生き方、面白い?

30年超も働いてきたのに
これから働き出す息子に
働くこと、ひいては生き方の原点を教えてもらった

私の就職活動のときに
息子と出会って、このことを教えてもらっていたら(笑)
私の人生はキラキラしていたに違いない


運転手への異動を拝命し
この夏から研修が始まる

(もう自動運転の試運転が始まっているよね)

そんな言葉は必要ない


いよいよ息子が
本当の一番前の席に座る日が来る

#子どもに教えられたこと


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