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ミドルリーダー🚩|信・厳・寛の順番

 こんにちは。中国古典を中心に日々の組織運営、自己成長に役立つ記事を書いています。自分と組織の成長、そしてこのnoteを読んでくださった皆さんのお役に立てるとうれしいです。

 今回は、部下との接し方の「順番」に着目してみます。

孫子の兵法では、「信頼」→「厳しさ」

将とは、智→信→仁→勇→厳 なり。

(意味)
 将軍に求められる五つの要素は「知性→信頼→人徳→勇気→厳格」である。

もう一つ。

 卒未だ親附せざるに而も之を罰すれば即ち服さず

(意味)
 兵士は信頼関係を構築する前に厳罰を下せば、服従しない。(つまり、まず信頼を獲得せよ。)この順番が大事。

 道徳ではなく、あくまで、組織を動かすための力学について述べています。こういった言葉が孫子の兵法には他にもいくつか存在します。


菜根譚は、「厳しさ」 → 「寛大」

恩は宜しく淡よりして濃なるべし。
威は宜しく厳よりして寛なるべし。

(意味)
 恩恵を施すには、はじめあっさりして、後から手厚くするのが良い。
初めに手厚くして後から薄くすれば、ひとはその恩恵を忘れてしまう。
 威厳を示すには初め厳格にして、あとから寛大にするがよい。はじめ緩やかにしておいて厳しくすると、人はその厳しさを恨む。

 まず入り口でビシッと厳しく接する。その後に優しくすると恩を感じる。このテクニックが大事だということです。孫子の兵法とは逆のことを書いているようですね。

どっちが正解?

 正解ってあるんでしょうか?この言葉の違いは、置かれた環境により異なるでしょう。相手(部下)がどんなタイプなのか、戦場なのか、学校生活なのか。

 孫子の兵法は、農民を寄せ集めた軍隊を統率し、一糸乱れず動き、戦に勝たなければならない状況です。言わば素人集団をとりまとめてビシッと動かす。そういう場合は、最初に厳しくすると兵の心が離れます。あくまで冷徹に目的を達するために、孫子の兵法では、まず「信頼だ」と言っているのです。

 また、菜根譚は、そこまでの状況ではありません。例えば学校や平時の会社のようなもの。そこでは、先生や上司がビシッと最初に締める。この人、怖い人なんだと思わせておくと、操縦しやすい。そういうテクなのです。

 よってどちらも環境や部下の状態によってどちらが正解か、が変わるということを覚えておくとよいでしょう。


(参考)菜根譚

(参考)孫子の兵法


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