Folk Wisdom

九州は福岡在住。音楽、芸能、酒、キッチン・工具ツール、ゲーム、自作PCなどが好きな暇人…

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九州は福岡在住。音楽、芸能、酒、キッチン・工具ツール、ゲーム、自作PCなどが好きな暇人が運営しています。「地」が頭についた、地に足のついた地域産品(地酒、地焼酎、地醤油など)に脈打つ【Folk Wisdom/民衆の知恵】を探っていきたいと願っています。※リンクはご自由に。

マガジン

  • 【東京島酒 『嶋自慢』の飲俗學】

    東京都の離島、伊豆諸島に含まれる「新島(にいじま)」。農林水産省の『地理的表示(GI)』の指定を受けた”東京島酒”をこの島で造っている株式会社宮原「新島酒蒸留所」のドキュメント。 2024年2月20日にNHK-BS4Kで初回放送された『新日本風土記』「東京島酒、もう一杯」で取りあげられた代表銘柄のひとつ『七福嶋自慢』やその他の銘柄を軸に、島と蔵の歴史などについて可能な限り掘り下げていきます。

  • 大分+長崎+佐賀  蔵元アーカイブズ 2002〜2023

    2002年から03年にかけて訪ねた大分、長崎、佐賀の蔵元のレポートに加え、2021年と2023年2回訪問した長崎県壱岐市の『ISLAND BREWERY』を追加。鹿児島や宮崎だけではない、九州他県の生産者を訪ねてお話を伺ったものです。

  • 落穂拾遺集

    20年前から、自分で集めたり、有志の方からご教示いただいたり、または直接、お店さんやメーカー様から頂戴した、焼酎やその他の食に関する資料・情報をサイト『九州焼酎探検隊』や他のページでアップしておりました。それを見やすいように可能な限りひとつにまとめました。どなたか、多少なりとも興味を持っていただけたならありがたいと思います。

  • 或る「福岡の醤油蔵」伝

    福岡県は全国的にも醤油醸造の蔵元数が多いエリアと言われています。また九州全体、特に南九州がそうですが、福岡県も甘口の醬油が好まれる嗜好の地域差を持っています。そんな福岡県内の醤油蔵を探訪し、蔵の歴史や製法、作り手の想いを聞き書きするシリーズです。

  • 米を喰え! <パックごはんをトレジャーハントする>

    国民一人当りの米消費量が右肩下がりに減少している中で、「パックごはん」の消費量は右肩上がりに上昇。ついに2021年には過去最高の約10億食を突破したのです。年々消費量が増えるにつれて、アイテムも各社各様の「パックごはん」が登場する中、可能な限り喰って”利き米”しようというのがこの企画。 基本的な食べ方は某通販サイトのレビューで見かけた「パックのレシピ通りにレンジでチンし、さらに蓋側を下にして1分蒸らす」という方法。ただただ飯を噛んで唾液で糖化するのみ。 ただし評価については個人の味覚嗜好の違いがあるため、鵜呑みにされませんように。

最近の記事

  • 固定された記事

【東京島酒 『嶋自慢』の飲俗學<1>】 プロローグ:『新日本風土記』で、もう一杯。

■NHK『新日本風土記』に登場した、株式会社宮原の『七福嶋自慢』。 普段はほとんどと言って良いほどTVを観ないのだけど。 知り合いである「株式会社宮原」の社長宮原 淳氏と新島酒蒸留所の代表銘柄のひとつ『七福嶋自慢』がNHKのTV番組に登場すると聞いて、チェックすることにした。 番組タイトルは『新日本風土記』、題して「東京島酒、もう一杯」。 いわゆる”島酒”が造られている伊豆諸島のうち、八丈島と青ヶ島、そして宮原氏が家業を営む新島の3島に取材クルーが入って制作されたド

    • 【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<10>】 〜友あり〜 世界初?!『嶋自慢の麦麹使用 焼酎麹発酵サラミ』誕生! 

      本シリーズ制作中にまたまたBreaking Newsが飛び込んできた。発酵と熟成に『嶋自慢』の麦麹を使用したサラミが2024年4月29日に正式発売を迎えるというのである。 製造元は、東京都町田市にあるドイツハムとソーセージの製造販売にたずさわる『クロイツェル』さん。ラベルに記された商品名は『嶋自慢の麦麹使用 焼酎麹発酵サラミ』だ。 実は同店のオーナーである吉岡学氏と宮原社長は、東京農業大学時代に農学部醸造学科で同窓かつ親友というご縁があって、今回のコラボレーションによるサ

      • 【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<9>】 ネックに下がったサイコロふたつ 『落陽』

        2018年に発売開始となった島外限定版芋焼酎。麦麹の使用が伝統となっている東京島酒の中で、この『落陽』は黄麹の採用に加えて”米麹”で仕込まれた点で異彩を放つ存在だ。 『七福嶋自慢』が原料を含めたTradな造りへの回帰ならば、この『落陽』は”新島・酒”でありながらも”新・島酒”としての次なるFieldを目指した、宮原社長の意欲作と言っていい。 黄麹と麹米が醸す味わいは、爽やかさを保ちながらもコクのある芳醇な味わいが特徴。なぜかボトルネックにぶら下がった”サイコロふたつ”が『

        • 【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<8>】 あゝ青春...祝成人の芋焼酎 『七福嶋自慢』

          2024年2月放送のNHK-BS『新日本風土記』「東京島酒、もう一杯」で取りあげられた新島酒蒸留所の代表銘柄のひとつ。 稀少な「七福薯(あめりか芋)」を復活させて完成した新島ならではの1本で、『地理的表示(GI)』に依る「東京島酒」対象アイテム。主原料「七福薯」の個性である、ふくよかな甘さが持ち味だ。 「都立新島高等学校」では3年生になると体験学習として「七福薯」の栽培に取り組み、生徒たちが収穫した芋を原料に本品が仕込まれる。卒業から2年後、成人式の際、帰島した卒業生たち

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        【東京島酒 『嶋自慢』の飲俗學<1>】 プロローグ:『新日本風土記』で、もう一杯。

        • 【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<10>】 〜友あり〜 世界初?!『嶋自慢の麦麹使用 焼酎麹発酵サラミ』誕生! 

        • 【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<9>】 ネックに下がったサイコロふたつ 『落陽』

        • 【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<8>】 あゝ青春...祝成人の芋焼酎 『七福嶋自慢』

        マガジン

        • 【東京島酒 『嶋自慢』の飲俗學】
          10本
        • 大分+長崎+佐賀  蔵元アーカイブズ 2002〜2023
          15本
        • 落穂拾遺集
          19本
        • 或る「福岡の醤油蔵」伝
          20本
        • 米を喰え! <パックごはんをトレジャーハントする>
          22本
        • 全日本笹山さんを酔い潰そうじゃない会協会(笹酔会)
          5本

        記事

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<7>】 続・株式会社宮原のRootsを探れ! 『宮原組 四代目襲名』

          ■なんとも気になっていた、Rootsの根の深さ。 この回は本来であれば銘柄紹介の稿なのだが、どーーにも気になることがあったので突っ込むことにした。 <4>「株式会社宮原のRootsを探れ!」の回に記載した下記の箇所が喉に突き刺さった骨が如く、飯が喉を通らなかったのだあ。 宮原社長の祖父・勇氏が自身の経歴に「1924(大正13)年4月 酒類製造並に販売の家業に従事」と綴っていることで、宮原家が企業合同以前から酒類製造に携わっていたことが判るし、そうなると宮原社長が四代目

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<7>】 続・株式会社宮原のRootsを探れ! 『宮原組 四代目襲名』

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<6>】 醪、元気です。製造工程をTraceする。

          ■離島がゆえの製造施設の配置、動線の苦労。 新島の俯瞰画像をご覧いただくと解るとおり、島には平地が少なくその多くは山や丘となっている。 『新島村史』によれば、新島は島そのものが隆起した火山で、歴史上の最新の噴火で本島の南部(画像の島右側)が形成され、中北部の陸地(画像中央から左)と地続きになったそうだ。地続き部分が平地となって島民の集住地となり、空港なども設けられた。新島酒蒸留所もその市街地の一角に建っている。 ここで、本シリーズ<4>『株式会社宮原のRootsを探れ

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<6>】 醪、元気です。製造工程をTraceする。

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<5>】 ぷらいべえと-Portrait of 新島酒蒸留所

          過去から現在へと舞い戻って。 創業から100周年を迎える株式会社宮原/新島酒蒸留所、その”今”を支えるふたりについてご紹介したい。 ■宮原 淳(あつし) Profile ■櫻井浩司 Profile 現在、宮原社長の下で杜氏を目指して修行中なのが、櫻井浩司さんだ。浩司さんは”麹”さん、蔵人にぴったりの名前ではないか。 2009年、彼は甲子園を目指す夏の第91回東東京大会に新島高等学校野球部の一員として出場した。2回戦で強豪「日大豊山」と対戦、結果はなんと33:0で5

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<5>】 ぷらいべえと-Portrait of 新島酒蒸留所

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<4>】 有人島で...もうすぐ100年。株式会社宮原のRootsを探れ!

          ■創業1926年、株式会社宮原のRootsを紐解いてみる。 再来年の2026年、株式会社宮原は創業から100年の節目を迎える。そんなタイミングもあって『嶋自慢』、そのルーツを改めて深掘りしてみた。 まず。株式会社宮原の沿革について、東京七島酒造組合の公式サイトにはこう書かれている。 この記述を出発点にして、各種資料をひっくり返しつつ時間を遡りながら検証を行ってみた。 参照した資料は、主として『国立国会図書館デジタルコレクション』の収蔵データをベースにしている。このサ

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<4>】 有人島で...もうすぐ100年。株式会社宮原のRootsを探れ!

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<3>】 東京島酒が地理的表示(GI)に指定さる!

          前回<2>の末尾に、「次回は蔵元である株式会社宮原と新島酒蒸留所の”Once upon a time”を紐解いてみる。」と書いたのだが……. トピックスが飛び込んできた。 ■本稿制作中に吉報届く! 伊豆諸島の島酒が地理的表示に指定。 2024(令和6)年3月 13日、国税庁長官より、「東京島酒」が地理的表示(GI)に指定されたことが発表された。まさに吉報である。 焼酎そのものがGI指定になるのは、2005(平成17)年以来18年ぶり。日本では「壱岐焼酎」「球磨焼酎」「

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<3>】 東京島酒が地理的表示(GI)に指定さる!

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<2>】 気分だけは”旅の宿”、新島架空探訪記。

          ■島に征く道は果てしなく遠い。だのに、行った気持ちで島語り。 かく言う私は、いまだ新島に渡ったことがない。だから、偉そうに言えない。何事も現場主義の私なのだ。 でもね、である。 なにせ、私の在所から直線距離826㎞、電車と飛行機、フェリーで移動する時間だけでも13時間以上は掛かるかという長駆、GGでは体力が保たない。それよりもなによりも、行こうにも銭が無いのだな。うぬ。 ということでそこんとこ、気分だけは”旅の宿”、ああ風流だなんてひとつ短歌でもひねって嶋自慢記念日

          【東京島酒『嶋自慢』の飲俗學<2>】 気分だけは”旅の宿”、新島架空探訪記。

          再訪:「玄界灘の荒波に浮かぶ、離島のクラフトビール『ISLAND BREWERY』」

          ■2年後の2023年7月、また壱岐に渡る・・・。 2021年7月、開業早々だった壱岐市勝本町にあるビール醸造所『ISLAND BREWERY』にお邪魔した。オーナーである原田知征氏と再会したが、それからちょうど2年が経った。 最近のこと、風の便りに「地元産の高級バナナを使ったヴァイツェンが好評」との噂を聞いた。バナナ系ドリンク大好きな私としては矢も楯もたまらず、なんとか玄界灘を渡りたいと思っていた。 渡航の2ヶ月ほど前のこと。横浜に住む焼酎関係の知人が博多山笠開催に合

          再訪:「玄界灘の荒波に浮かぶ、離島のクラフトビール『ISLAND BREWERY』」

          平成酒販侠客伝 『酒のこばやし』

          ■男伊達の酒販店 タイトルの「侠客」という言葉。これはなにも『酒のこばやし』さんが、“ヤ○ザな酒屋”と言いたいのではない。逆だ。 現代では法外な値段で希少焼酎を売りつけ、本格焼酎党の弱きをくじく輩が横行しておる。こういう輩こそ、真の“ヤ○ザな酒屋”であろう。 侠客とは「強きをくじき、弱きを助け、仁義を守り、そのためには身を捨てて惜しまぬことを標榜した仁侠の徒」という意味である。『酒のこばやし』さんは、希少な焼酎を適正価格で消費者のもとへ届けることで、本格焼酎党に多大な貢

          平成酒販侠客伝 『酒のこばやし』

          或る「早良の醤油蔵」伝 ヤマタカ醬油(7) -Soylar System年代記,さらなる序章へ-

          1.工場直売店『星多るの里』にて、ヤマタカ太陽系のBig Bangを目の当たりにする。 髙田社長と髙田専務にお話を伺った後、工場直売店『星多るの里』に立ち寄ってみた。面談前は時間がなく、食堂だけしか見ていなかった。じっくりと直売店の内部を再見する。 それにしても、まさに”ヤマタカ太陽系Big Bang”と言うべき、惑星を中心として衛星群の圧倒的な豊富さに驚く。新しいアイテムが色々と増加しているようだ。 次代を担う髙田専務の前向きな気持ちが、棚に広がるアイテムの数々に重な

          或る「早良の醤油蔵」伝 ヤマタカ醬油(7) -Soylar System年代記,さらなる序章へ-

          或る「早良の醤油蔵」伝 ヤマタカ醬油(6) -民俗と革新が交差する食の世界で、新たな展開へ!-

          1.なにはともあれ、ヤマタカ食堂の『地鶏すき定食』を喰う。 実は蔵事務所への訪問前に、歩いて1分程度の近さにある『ヤマタカ食堂』で昼飯をいただいた。せっかくなので、久しぶりに食堂に立ち寄ってみたのだ。 もちろんお目当ては、『地鶏すき定食』である。 本メニューは、東入部の隣町は内野にある、知る人ぞ知る肉の名店「ひよ鳥精肉店」の地鶏肉を使ったすきやきで、『木星』で仕上げられている。 あの博多華丸大吉もテレビの取材で食堂を訪問して、私もその放送を見た。たしか、華丸のお爺さん

          或る「早良の醤油蔵」伝 ヤマタカ醬油(6) -民俗と革新が交差する食の世界で、新たな展開へ!-

          或る「早良の醤油蔵」伝 ヤマタカ醬油(5) -21世紀のBig Bangとヤマタカ太陽系の謎を探索する!-

          1.過去20年に渡る、ヤマタカ太陽系宇宙の爆発的拡大を探る 伊万里市の酒販店で一升瓶を見かけた20年前の件と関連するのだが。福岡市内というか、2000年以前に私が住んでいた福岡市南部域のスーパーなどでヤマタカ醤油を見かけることはほとんど無かったと思う。 また、生粋の早良人である家内の話だと、21世紀に入った当初でも区内北側ではヤマタカの商品はあまり見かけなかったという。ミレニアム前で家内の実家で使っていたのは西新の「松十醬油」だった。 しかし、現在では早良区を中心に市内

          或る「早良の醤油蔵」伝 ヤマタカ醬油(5) -21世紀のBig Bangとヤマタカ太陽系の謎を探索する!-

          或る「早良の醤油蔵」伝 ヤマタカ醬油(4) -その醬油太陽系、誕生の深層を探る-

          (文中敬称略) 1.”ヤマタカ太陽系”、Big Bang発起年の確定。 ちょうど水汲み場から事務所に向かう際に、髙田市郎社長が顔を出された。ヤマタカ醤油の五代目当主である。 国道に面した新母屋内にある事務所で早速お話を伺うことにした。まずは、【各資料で記載が違う創業年の確認】から。 私:「創業年が資料によって記載が異なります。たとえば明治33年(1900)とあったり。正確な創業年はいつでしょうか。 社長:「その明治33年というのはたぶん『早良郡志』からだったと思います

          或る「早良の醤油蔵」伝 ヤマタカ醬油(4) -その醬油太陽系、誕生の深層を探る-