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[映画レビュー]ケイコ 目を澄ませて〜静寂の中 無限の夢と向き合うボクサー〜

ろう者をテーマにした作品。鑑賞が遅れたので日本アカデミー賞も発表されており、最優秀主演女優賞を岸井ゆきのが受賞したことも知っていた。ので、期待値は高いわけで。

岸井ゆきのがケイコ過ぎてまるでドキュメンタリーみたいだった。

荒川近郊という下町の、どこか哀愁漂う雰囲気がよく表れている。古びていて薄暗いジムの感じも良い。

また、途中で出てくるケイコと弟の会話(手話)のシーン。まるでサイレント映画のように、映像と映像の間に暗転が入りそこに先のシーンの手話の訳が映る。一度手話を見せる。そしてその訳を見せる。この編集?演出が特に素晴らしいと思った。
字幕が下にあるとどうしても見てしまう。だがそうしてしまうと役者の表情や手話が見えない。だからこの手法によって、落ち着いて2人の手話を見ることができるわけだ。こんな表現方法があるとは驚いた。

音にすごく焦点を当てた研ぎ澄まされていた映画だったし、色々な聞こえる音からケイコの音のない世界を想像するようだった。
音楽がほとんど流れず街の生活音だけのエンドロールは圧巻だった。

渋谷のユーロスペースで鑑賞したが、やっぱりミニシアターで観る映画もたまにはいいなと思った。テレビなどでは全然宣伝されてないけど、とても良い作品が沢山公開されている。もうちょっと映画館に足を運びたい。

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