見出し画像

灯台下暗し | 掌編小説


銀色さんのnoteを見つけた
こんな声なんだ、と思った


あれは高校二年の夏

同じ人が私達を好きになってくれて
二人ともすっかりその気になって
彼女になったのは友だちのほうで

それなのに
港町のお店の二階に
週に三回は呼ばれて
彼の仲間たちとも仲良くなって


なぜか彼女だと紹介された

学校では
友だちが彼女なのにね



わたしは放課後の彼女

友だちとは
学校の中では友だち

放課後になったら
学校の彼女を忘れたふりをした




三ヶ月後

友だちは放課後の彼女を知る

わたしが港町の映画館で
泣きながら映画を観ているのを
学校の誰かが見かけたそうだ

私の肩を抱く彼は
幸せそうに微笑んでいたんだって

知らなかった
てっきり彼も困っているのだと


苦しんでいたのは
わたしと学校の彼女だけ

二人を苦しめながら
ニヤけた野郎は
いつも話すことが同じ

学校の彼女にも
お母さんの彼氏のことばっか
話してたんだね

お母さんのことで頭がいっぱいだから
彼女が二人いても
満足できなかったんだ、きっと

それならさ
そう言えば良かったのに

お前ら二人は
二つで一つ以下だって
お母さんが欲しいんだって



わたしと友だちは放課後
自転車で二人乗りして
海へ向かった


台風の海と一緒に歌ったの
銀色さんのサーチライトを

蝋燭の灯りは
何処にも見つからなかったよ


あなたは
今日も誰かの肩を抱きしめて
微笑んでいるのでしょう

それとも
今は
お母さんを抱きしめていますか





『灯台下暗し』の灯台って燭台のことなんだそう。お借りしたお写真のような、海を照らす灯台のことじゃなかったのですね。

この詩というか掌編小説は創作です。
実在する人物がいるわけではありませんので、ご安心ください。

サポートありがとうございます。詩歌、物語を生み出す素に使わせていただきます。