WEBデザイナーとしての私の独立・起業が「成功できた要因」は分かりませんが、「失敗しなかった要因」なら分かります。5つあります。

私はフリーランスのWEBデザイナーとして独立しました。
結論として、私の独立・起業は成功したと言えると思います。

しかし過去の記事を読んでいただくと分かりますが、私自身は何も希望を持つことなく、やむにやまれず独立したようなものです。
誰からもアドバイスをもらわず、事業計画など一切立てることなく独立しました(「成功者の9割が必ずやっている習慣」みたいなビジネス書も、全く読もうとは思いませんでしたよ笑)。
無計画に、成り行きのまま独立しただけです。

独立初期は本当に辛くて、「いつも期日より早めに振り込んでくれるこのお客さんが、いつもどおり早めに振り込んでくれなかったら事業資金がショートする」みたいな綱渡りが続いていました。
そんな風にギリギリでやっていたものが、気が付けば余裕が生まれ、軌道に乗っていたという感覚です。

独立から5年経った今では、それなりの安定を得て、従業員を雇えるようになり、売り上げも順調に増えています。

そんな自らのこれまでの経営を振り返ってみると、運に助けられた部分も非常に多く、「これが成功できた要因だ」というほど決定的な要素があったとは思えません。

ただ「これがあったから失敗せず、生き延びることができた」と感じるポイントはいくつかあります。
今回はそれを、以下の5つに分けてお話しします。

私の独立・起業が失敗しなかったのは……

1.自分ができることで起業した

まったく新しいビジネスモデルを考え出して、借金をして一か八かで勝負にでたわけではありません。
急に飲食店を始めるなど、これまでの職業人生において未経験の分野に踏み込んだということでもありません。
「ホームページをデザインして制作する」という、自らが会社員時代に身につけていた技能を売り物として独立したのです。
自らがプロとして通用しそうな分野はそれだけでしたので、選択の余地はなかったとも言えます。

2.お客さんをスライドできた

会社を退職と同時に独立をスタートしたのですが、特にお客さんを引っ張っていこうとは考えていませんでした。明文化したわけではありませんが、会社とも取引先は連れていかないという約束をしていました。
そのため現在進行形でやりとりを行なっていたお客さん以外には、特に退職の挨拶をしないまま辞めていきました。
それでも独立後に私の退職を知り、直接連絡をしてきてくれた取引先が複数ありました。
そういったお客さんについては、退職した会社に無理を言って移管のお願いをしました。結果お願いを承諾していただき、複数の顧客を得ることができたのです。
この最初から取引先を確保できたという事実は、本当に大きな助けになりました。
今となっては、「取引先は連れていきません」なんて格好つけずに、もっと辞める時積極的にバンバン引き抜いておけばよかったと後悔していますが笑
これは在籍した会社との仁義の問題もありますが、「お客さんをスライドさせる」ということは、独立時の必須行動だと思います。

3.月額の保守料があった

「ホームページの制作」で独立したので、当然毎月「保守管理料」をいただくことになります。
このリピート収入は、売り上げが安定しない独立初期において非常にありがたいものでありました。事業拡大の原資になるのはもちろんのこと、自らの精神安定のためにも大きな役割を果たしてくれました。

4.埼玉で起業した

私はずっと東京に憧れ、東京に住み、東京で働いてきました。ただ当時の独立は「会社員であることからの緊急避難」的なものでした。そのため、もはや東京で見栄を張りつづけることは考えられず、埼玉の実家に戻らせてもらったのです。
子供部屋だった実家の二階の畳の部屋を事務所にして、私の独立は始まりました。
周りからは「こういう仕事をするには、東京に事務所がないとなめられるよ」というアドバイスも多くされました。
しかし収入が不透明な状態では、とにかく固定費をかけたくないという気持ちが強く、実家でいいやという考えでした。
実際やってみると、「埼玉に事務所がある事業体だから」という理由で、東京での仕事の案件を逃したことはなかったです。
(余談ですが、「埼玉だから」という理由でなめられたことは一度もありませんが、「個人事業主だから」という理由でなめられたことは多々ありました。)
まぁそのように「埼玉でも全然やれる」ということが分かったので、実家を出て法人化した今でも、私の会社は埼玉の所沢にあります。
独立時に見栄を張って無理に東京に事務所を構えていれば、固定費がかさみ、もしかしたら生き残れていなかったかもしれません。事業が軌道に乗った今でも、埼玉にあることで、財務状況はより安定しています。
周りに格好悪いと言われても実家に出戻ったこと、これは本当に正しい判断だったと思います。

5.営業に注力した

仕事をするうえで、自己研鑽は必要なことです。
WEBデザイナーとして独立したのならば、「最新のWEBデザインを勉強する」や、「分かりやすいユーザーインターフェイスについて勉強する」など、「制作」の分野について学ぼうとすることが普通でしょう。

しかし何度も言いますが、私は漫画家を目指して諦めたことで、その反動がありました。デザインやインターフェースを考えることは、どこか漫画を描くことに通じるものがあり、あまり考えたくないことでした。

そこで独立当初から今まで、「制作」方法ではなく、「営業」方法を考えることに注力しました。

「どうすれば解約されずに継続して契約してもらえるだろう?」「どうすれば他のお客さんを紹介してもらえるだろう?」「どうすればWEB以外の印刷物などの注文も同時にもらえるだろう?」「どのような内容のDMを送れば返事をもらえるだろう?」

正直言って、デザイン力を研鑽したところで、それに比例するように仕事が入ってくるということはないでしょう。そこにこだわっても、先細りしてどんどん苦しくなっていったと思います。
「それだけでお客さんを呼べるような、高いデザイン力を身につける」
というのは、ただの幻想でしょう。
そうではなく、どうやって仕事を取るかという営業面こだわったことが、自分の独立が失敗しなかった要因の一つであったと感じています。

以上の5つが、自分の独立が失敗しなかったと思う要因です。
「これがあったから成功した!」というほど、決定的でもポジティブでもありません。
ただこれらのおかげて、うまく「失敗することからは逃れられたな」とは思うのです。

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