上下左右どこからでも着られる服
後藤禎祐さんは僕の尊敬するデザイナーの一人。彼はソニー時代にVAIOやPlayStationのロゴを手掛けた人物だ。
今回上下左右どこからでも着られる服を作ってみたわけだが、きっかけは後藤さんが手掛けたあるロゴだった。
以前、弊社社員を連れて後藤さんのオフィスにお邪魔したときの話。
後藤さんに最近の仕事の話を聞く中で、ギリア株式会社のロゴデザインの話になった。
社名の左についているロゴマークは、「MEME(ミーム)」という同社に関係の深い言葉を、上下左右どの方向から見ても変わらないように設計したという。
面白い。デザインもスマートで美しい。
そのデザインにインスパイアされた弊社の大庭が、
「どこからでも着られる洋服があったら面白いかも」
と口にした。
これまた面白い。これがきっかけで、このロゴのように上下左右どこからでも首と手を通せる服のプロトタイプ制作を進めることになった。
服飾デザイナーの渡辺も加わり、プロトタイプ・検証を重ねてUNIQUARTER WEAR(仮)を制作。先日当社オフィスで後藤さんに着用してもらった。
この話にはサイドストーリーがある。
僕は2021年から中央大学ビジネススクール(CBS)のMBAプログラムでデザインシンキングの授業をしている。
先日受講生達と「メディケア×デザインシンキング」をテーマにワークショップを開催した。
このワークショップのきっかけは先ほどの上下左右どこからでも着られる服だ。
この服は前面と後面はすべてスナップで留められている。それなら医療や介護の現場で利用できるんじゃないか?ということでWSをやってみたのだ。
制作過程のプロトタイプを実際に見て、触って、着てもらいながら意見交換する時間も設けてみた。参加者の多くは医療に携わる人だが、もちろん他業種の人もいて、職・業界を超えた自由な発言が飛び交うWSとなった。参加者の発想の種は素晴らしくて僕自身も勉強になることが多く、非常に有意義な時間だった。
当然のことながら医療現場といっても簡単に一括りには出来ず、各分野業種によっても全然違う。加えて医師、患者、家族などそれぞれの立場によっても求めるものは大きく変わってくる。
僕自身も昨年入院を経験し、まだまだ表面化されてない課題があると感じた。そしてその課題解決、QOLの向上にデザインは欠かせないと確信している。
これは僕がこれからも追いかけたいテーマのひとつだ。
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