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租税教室④:子供たちに日本財政をどう伝える?

 ドーン!! 難しいお題ですね・・・。もちろん私の専門外。でも我々大人が後世に伝えていくべき課題だと思います。例えば自分の場合、税金に携わるときでも、税と財政は切り離せない関係と言われています。特に租税教室等で子供達と向き合う場合、日本財政のお話は避けて通れないテーマです。そこで、当記事の前半では背景、後半では租税教室の実況中継形式で紹介していきます。

なぜ、日本財政を語るのか?(背景)

 私の仕事上、経理や税金そして経営と、目の前のミクロ経済の問題で手一杯。”財政に果たす税金の役割”と言ったマクロ経済の問題はむしろ疎い方かもしれません。しかし、東京税理士会の租税教室のカリキュラム上『税金と財政』は必須のテーマで、教える側の税理士にとって、どのように伝えるか難しいテーマだと理解しています。実際の租税教室の現場でも近年、以下の質問が上がってくるようになっていると噂では聞いています。

”物価変動率に気をつけていれば、財政赤字は問題ないと考えますが?”

 質問内容的に少なくても中学生以上だと思いますが、もし自分が教壇に立っているとき、このような質問が飛んでくると想像しただけで、自信を無くしますね・・・。とにかく特定の主張に偏ることも無く、また批判するとも無く回答するように備えています。

”財政赤字については様々な意見があるので、私達の社会が直面する事として、興味をもって自ら考えていきましょう!”

 以下、後半で『税金と財政』の租税教室での実況中継をお伝えしていきますが、その前に、定年のおっちゃんねる”じーじさんが記事にして頂いていますので、ご紹介します。特に日本の国をバランスシートで紹介して頂いており、興味深い記事となっています。前編・後編の2部構成です。

租税教室:『税金と財政』実況中継

 租税教室の内容の一部『税金と財政』を実況中継風にご紹介します。対象は小学生高学年~中学生ですが、この年代のお子様がいらっしゃる方には、読み聞かせ頂けると嬉しいです。記事中のイラストは日本税理士会連合会のHPから引用・一部改廃のうえ使用させて頂いています。また租税教室の以下の関連記事も併せてご覧頂ければ嬉しいです。

・・・では実況中継、始めていきましょう!

”はい、これまでの勉強で、公平に税金を集めるためにも数多くの種類と税金が必要だという事が分かりましたね。今度は集められた国の税金の使い道、つまり「歳出」を見ていきましょう。”

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”歳出の中でも大きな割合を占める社会保障:35兆円。内訳として、医療費の負担や年金を支払うための年金医療介護給付:27兆円、子育てを支援するための少子化対策:2兆円、お年寄り・障害者等の生活を助けるための生活扶助等社会福祉:4兆円、等あります。少子高齢化が進めば、これら負担がもっと増えることが見込まれます。”

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”また(小中学生の)皆さん義務教育に係る歳出は「文教及び科学振興」に含まれます。教育にもたくさんの税金が使われているんですよね。でも一体これら歳出は誰が決めているのでしょうか?次は、税金はどのように決められるか見ていきましょう。”

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”ここまで、税金には約50もの種類があることや、国民から税金を公平に集める仕組みを勉強しました。実は、それらはすべて「税法」という法律によって決められています。皆さんが既に勉強した日本国憲法でも以下のように定められています。”

第30条:国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

第84条:あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

”税金の全てを決める「税法」。その法律は、国会で国会議員の多数決によって決められます。国会議員は選挙で選ばれた国民の代表です。国民の代表である国会議員が税金のルールである「税法」を決めた、ということは、つまり税金は国民が決めたルールということになります。”

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”つぎに歳入について見ていきましょう。税金ではない収入がありますよね。公債金収入:44兆円。これは国が5年、10年などの期限を定めて発行した「国債」という証券を企業や国民などに買ってもらって得た収入です。しかし、これは期限が来ると買い戻すことになる、いわば国の借金です。”

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”ですから、償還期限の来た国債に利子を付けて国が買い戻さなければなりません。そこで、国債を買い戻すために更に国債を発行するという悪循環が続き、残高が増えてきたのです。”(そこで日本のバランスシート、定年のおっちゃんねる”じーじさんの記事”【じーじは見た!】 前編:誰か分かり易く日本の財政を解説してよ⁉”につながります。)

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”日本では国債の発行は原則として禁じられていますが、公共事業などの財源に充てる場合の「建設公債」に限って認められています。しかし、歳入が不足していてもタイミング良く行わなければならない経済政策や事業があります。そこで特例法を定めて、財源を確保するための国債(特例公債)が発行されるようになりました。それは石油ショック後の税収不足を補うために1975年から発行が始まり、それ以降、赤字国債は発行され続けています。”

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”租税教室、如何だったでしょうか?今回の授業で税を身近に感じて頂き、更には皆さんが将来、「そう言えば、租税教室の時に税理士が色々お話してくれたよな」と思い出してくれればうれしいです。今日の授業はこれまで。お疲れさまでした。”

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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