平井 巧|フードデザイナー

株式会社honshoku代表取締役。一般社団法人フードサルベージ代表理事。広告代理店で…

平井 巧|フードデザイナー

株式会社honshoku代表取締役。一般社団法人フードサルベージ代表理事。広告代理店で企画・制作の面白さを知る。30歳で独立。人と食の関係を問い続けている。43歳に法政大学に編入し、人と食に対して人文地理学のアプローチをスタート。https://www.honshoku.com

マガジン

  • 食品ロスのこと

    食品ロス関連の考察や活動のこと。

  • フードデザインのために

    「このさき、どう食べていこう?」を創造するフードデザインチーム honshoku による新しい食文化や価値観に向けた考察。

  • いまフードスコーレは

    2020年4月にスタートした食の学び舎「フードスコーレ」のこれまでの経過報告です。

最近の記事

とくに食や教育関係のお仕事の方へ。食品ロスに対するアクション、一緒に創りませんか? (かなり本気です)

3月8日(金)の「サルパの日」に、一般社団法人フードサルベージ創立8周年記念イベントを開催してきました。 そこで発表したこれからの食品ロスに対する活動について、あらためてnoteに書きます。 食品ロスを新しく捉えなおす いま食品ロスがとても “狭い問題” になっています。消費者庁の調べでは食品ロスという言葉の認知度は8割を超えているようだけど、その割には問題を本質的に捉えきれてないのが現状だなと思います。食べ物を捨てることは“もったいない” という感情論だけで食品ロス問

    • 10年前、食べ物を捨てたくてしかたなかった。

      いまから10年前、2013年ごろのこと。あの頃の俺は、捨てようと思った食品を手に、台所にあるゴミ箱の前でよくモヤモヤしていた。 持て余している食品が目の前からなくなると、とてもすっきりする。こんなことを書くと語弊があるだろうか。整理整頓が好きなので使わないで置いておいた調味料とかティーパックとか乾物とか、できるだけ早く片付けたくなる。(10年前の話ね) これは、決して食べ物を邪魔者扱いしているわけじゃない。 すべての食べ物に敬意を払っている。その上で、使わないでずっと家

      • 大量生産してモノを売っていくことで稼ぐというセオリーから、離れていく準備

        国民の8割もの人が知っている社会問題の割には、食品ロス問題の捉え方は未だ狭いものになっているよな、と思う。 商品をつくって売り続けることで稼ぎ続けなければならない企業。地球環境にやさしい食べ物を買いたいけど、それは高価であることが多いから買い続けられない消費者。 理想の社会とリアル社会のズレで、「生きづらさ」って生まれているんだろう。これまでの大量生産・大量消費という経済セオリーのままだと、生きづらさを抱えたまま、食品ロス問題に対してもなんとなくやり過ごす日々が続いていく

        • 食と向き合うと、わけがわからなくなる。でもそれでいい。“Don't Think, Feel!”

          これを書いているのは2024年1月6日の土曜日。8日の祝日まで連休の人も多い。僕もその日までは仕事を休んでいるけれど、時間があるこの間に、昨年思ったことや、今年やりたいことを整理しておこうと思う。 僕自身、ここ3、4年は「どうやって食べていくか」という問いと向き合ってきた。日本人は食べることには、たいてい恵まれている。都市部にある飲食店では世界中の料理が提供され、全国各地の食材やおみやげを買うことができる。インターネットで各地からお取り寄せもできる。冷凍食品、コンビニ、自動

        とくに食や教育関係のお仕事の方へ。食品ロスに対するアクション、一緒に創りませんか? (かなり本気です)

        マガジン

        • 食品ロスのこと
          10本
        • フードデザインのために
          11本
        • いまフードスコーレは
          22本

        記事

          家でつくる料理。「これがいい」じゃなくて、「これもいい、これでいい」という感覚。

          料理家の大塚佑子さんが主宰する「アルモンデパーティ」に行ってきた。この日、大塚さんの最強アシスタントに、スープ作家の有賀薫さんも参加するとのことで、久しぶりにおふたりにお会いできるとワクワクしていた。そして、はじめて参加する場にちょっぴりドキドキもしていた。 この記事のカバー画像は、アルモンデパーティの参加中にメモしたもの。終わったあと見返すと、ぜんぶで8ページにも渡っていた。それくらいメモしておきたいことがある豊かな時間だった。 料理のちいさな悩みを思い出す「アルモンデ

          家でつくる料理。「これがいい」じゃなくて、「これもいい、これでいい」という感覚。

          世界食料デー特別企画 サルベージ・パーティ 〜食の課題をたのしく考えるための場づくり〜

          8月23日(水)、honshokuは食の学び舎フードスコーレのプログラムとして、「世界食料デー」の呼びかけ団体である認定NPO「ハンガー・フリー・ワールド(以下HFW)」と サルベージ・パーティ(以下サルパ)を開催しました。 食品ロス問題を中心に、サステナブル領域における食の在り方を社会に提案することや、食卓に小さな喜びを提供するためのコンテンツ開発を推進するhonshokuは、「世界食料デー」のパートナーとしてその想いを形にしていくサポートを行なっています。 今回のサル

          世界食料デー特別企画 サルベージ・パーティ 〜食の課題をたのしく考えるための場づくり〜

          10代の若者のためにできる「食の授業」

          東京大井町にある「品川エトワール女子高等学校」に声をかけてもらって、通年で「食と環境」の授業を行なっている。2年生、3年生が対象で、気づいたら今年で4年目に入り、これまでたくさんの高校生と話をしてきた。 エトワール以外に単発でも、小学校、中学校で同様の授業をしたり、大学で特別講義もやってきたが、将来有望な若い人たちに向けて何かをするのは、やっぱりたのしい。講師業を仕事としてきちんとこなすが、それ以上の気持ちで取り組んでいる自負もある。若い人たちに、自分が提供できるものはとこ

          10代の若者のためにできる「食の授業」

          もう、食を学ぶことが娯楽に近いのかもしれないや。

          世の中に「食を学ぶこと」のおもしろさを伝えたい。 これはフードスコーレをやってきて、つくづく思うこと。 「食を学ぶこと」の何がおもしろいのか。人によってそのおもしろさは違うのだろうけど、俺が本当に「おもしれーなー」って思うのは、知らなかったことに触れたとき。 たとえば、農園部の畑でミニトマトそっくりなじゃがいもの実を見たとき(見たことないひとは、ググって見てみて!)。 かつお節には大きい節と小さい節があって、人間と同じで脂が乗っている節もあれば、痩せている節もあって、

          もう、食を学ぶことが娯楽に近いのかもしれないや。

          小菅村で、食の循環を体感

          すこし前の話になりますが、多摩川源流にある山梨県小菅村へフィールドワークに行ってきました。 「フードスコーレ」で、「Foodloss & Wasteの存在論」と題した、フードロスの在り方を考えるためのゼミがスタート。 「食べものを棄てる」という人の営みに対して「Why?」と向き合うゼミです。食の現場へのフィールドワーク、さまざまなプロフェッショナルとの対話を通して、フードロスの再定義に挑戦していきます。 歴史地理学者の湯澤規子さん、食と農の歴史学者の藤原辰史さんと行った

          小菅村で、食の循環を体感

          サルベージ・パーティ再始動。「フードロスとどう向き合うか?」 を探る実践の場。

          2013年から主宰してきた「サルベージ・パーティ (サルパ)」というクッキング型イベントがあります。じぶんたちで開催するほかに、企業、自治体、小中高や大学と一緒にたくさん開催してきました。 2019年、コロナ渦に入ってからは活動をほぼストップしていましたが、リアルな集いができるようになってきた今、サルパを再始動しようと思います。 わたしは株式会社honshoku 代表として、そして一般社団法人フードサルベージの代表理事として、10年先に繋がる「食べる」と「学ぶ」のデザイン

          サルベージ・パーティ再始動。「フードロスとどう向き合うか?」 を探る実践の場。

          フードロス疲れに、規格と屑と分解の視点が効く。

          『7袋のポテトチップス』(晶文社)などの著者で歴史地理学者の湯澤規子さんと、『分解の哲学』(青土社)などの著者で食と農の歴史学者の藤原辰史さんと「ロスが生まれる世界」をテーマに話しました。 フードロスをきっかけに、こんなにも話題は広げられるし、フードロスに抱く閉塞感を打ち破れるかもしれない。そんな期待が生まれていく当日の様子をお届けしたいと思います。 「フードロス」は重要な問題だけど、向き合うことに気持ちが疲れちゃっている人も多いのかなと。僕が思うのは、フードロスだけを話

          フードロス疲れに、規格と屑と分解の視点が効く。

          伝統を継ぐ醸造蔵から知る、食の未来

          「フードスコーレ」で、愛知県の常滑、武豊、碧南、岡崎へ行ってきます。「愛知醸造ツアー第2弾」として、3月25日、26日の2日間で企画しますので、ご興味ある方はフードスコーレと一緒に旅しましょう。 フードスコーレの企画する旅なので、そこはほかのツアー企画とは視点を変えたものにしたいな、と思っています。 「発酵ってすごい!」 とか「これ、おいしいね」とか、そういう気持ちを旅先で感じるのも良いけれど、それが旅の一番の目的ではありません。 一番の目的は、この国に長く続く醸造蔵が

          伝統を継ぐ醸造蔵から知る、食の未来

          こんにちは、平井 巧です。

          はじめまして。平井 巧(ひらいさとし)です。簡単ですが自己紹介させてください。 私は新卒で、当時原宿にあった広告代理店に入社しました。企画営業としてメーカー、流通、小売業界をクライアントにセールスプロモーション、PR企画を担当していました。30歳になる直前に独立し、「食」を中心にプロデュース、クリエイティブ制作を専門に仕事をしていくことになります。 2016年、企業・行政の「食品ロス問題」にまつわる課題解決を手がけるため、一般社団法人フードサルベージを設立。 2019年

          こんにちは、平井 巧です。

          食べることを通して、社会を見てみる

          「食べるってなに?」を通して、社会を覗きたい。世の中にある見えづらい食のことを描いてみたい。そんなことを考えています。それを「書いて残す」というのは良い手段だなと思ったので、noteに書いていきます。 じぶんは四六時中食べもののことを考えている、といっても言い過ぎじゃないんです。これ本当です。 まず仕事はというと、「株式会社honshoku」(ホンショクと読みます)という食のクリエイティブチームで、食に関する課題解決や、自社コンテンツの運営をしています。 「食の廃棄」に

          食べることを通して、社会を見てみる

          問題なのはフードロスじゃなくて、いつまでも変わらない自分たちなのかもしれない。

          食の学び舎「フードスコーレ」で、「Foodloss&Waste(FLW)」をテーマにしたプログラムをスタートさせようと思っています。(あー、ついに書いてしまった) 仕事や学校でFLW について何かしたい、だけど何をしてよいのかわからない! という方。食に興味があって FLW についても一度ちゃんと探求してみたい方。そして僕と同じように、最近の FLW に対する世間の取り組みに「なんか本質的じゃないよね」とギモンを持っている方。そんな方たちには、とくにぴったりなプログラムにし

          問題なのはフードロスじゃなくて、いつまでも変わらない自分たちなのかもしれない。

          参加者募集! FOOD DIALOGUE 第2回 (Live at 東洋製罐グループホールディングス)

          こんにちは。honshoku(ホンショク)の平井巧です。 10月27日に開催した「FOOD DIALOUGE」ですが、これがもうものすごくたのしかったんです。何がたのしかったって、「このさきの食のあり方」について人がリアルに集まって、隣にいる人の話を聞いて、じぶんの話も誰かに聞いてもらって。ただそれだけのことなんですけど。みんなで「話をする」空気ができているから、和やかで心地がよかったんだと思います。あと、オンライン生活に慣れてきて忘れがちなことを、あの時間に思い出していた

          参加者募集! FOOD DIALOGUE 第2回 (Live at 東洋製罐グループホールディングス)