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サルベージ・パーティ再始動。「フードロスとどう向き合うか?」 を探る実践の場。

2013年から主宰してきたサルベージ・パーティ (サルパ)」というクッキング型イベントがあります。じぶんたちで開催するほかに、企業、自治体、小中高や大学と一緒にたくさん開催してきました。

2019年、コロナ渦に入ってからは活動をほぼストップしていましたが、リアルな集いができるようになってきた今、サルパを再始動しようと思います。

わたしは株式会社honshoku 代表として、そして一般社団法人フードサルベージの代表理事として、10年先に繋がる「食べる」と「学ぶ」のデザインを仕事にしています。活動の想いは、こんなことです。

人のこれからの食の価値観や生き方を創造することに貢献したい。「食から生きるを考える」ために、シェア、リンク、フラットでかつ楽しい場をつくりたい。その結果、日常がちょっと幸せになる。

そのために、食と学びのデザインに取り組んできて、サステイナブル領域における食のあり方を提案しています。

今回取り上げる「サルベージ・パーティ」は、その取り組みの中でコツコツと続けてきたコンテンツのひとつです。誰かの幸せに繋がることを願って、サルパのこれからのことを書きたいと思います。少し長いですが、お付き合いください。

はじめに、サルベージ・パーティとは何なのか?

「サルベージ・パーティ」は、2013年にスタートしたクッキング型イベントです。略して「サルパ」と呼んでいます。

食べごろギリギリの野菜、海外土産の調味料、買いすぎた加工品など、“家でもてあましている食材” を持ち寄って、みんなで料理をつくります。具体的には、シェフがその場で考え調理した料理を、みんなでシェアする基本のスタイルのほか、参加者みんなで調理をすることもできます。

イベントは、キッチン設備があればどこでもできます。集まる食材の量や、料理の役割分担のことを考えると、10名くらいで開くのがバランスが良いとは思います。ですが、30名や50名くらいの大人数でワイワイたのしんだり、4名くらいでより密なコミュニケーションを楽しむこともありました。

「フードロス」について、何かしたいけど何をして良いのかわからない。自分ひとりでモヤモヤ考えるだけじゃなく、誰かに話したい / 話を聞いてみたい。これこそがサルパを開く一番の目的です。

「食材の使い方を教えてもらう」や「余った食材をみんなで食べる」というのは、サルパではオマケのようなものです(もちろん、このオマケもたのしいです!)。

サルパで伝えたいこと

家庭で発生する食品ロスは、国内で発生している食品ロス量の約半分を占めます。そこまで多いのだから、家で捨てられる食品が適量までに削減されることは望ましいことだと思います。

だけど、「もったいない」や「こうしなければならない」という強迫によって、「食べ物を捨ててはならない」と孤独に悩む必要はありません。食は自分らしさを表現できる、もっと自由なものであるべきです。だから、家のフードロス問題にはもっと気楽に、たのしく向き合ってほしい!そんな想いで活動しています。

サルパでは、インターネットで調べればわかるような「フードロス」や「食品ロス」についての情報はあまり解説しません。それよりも、料理する楽しさや、おいしい会話を増やすことに時間を割いています。

サルパで体験することは、日常に活かせる。

1.余っている食材に目を向けてみる
その食材、なんで余っていたの? をみんなで話します。買いものや保管の仕方を見直すきっかけにも。

2.持ち寄られた食材をつかって料理する
プロの料理人や、他の参加者からのアドバイスで、食材の新しい使い方を知ることができるかも。そうすると、あるものでつくる料理力が身についてきます。「レシピ」はだれもが再現できる教科書ですが、サルパは教科書から外れる良いチャンス。料理には遊び心も大事です。

3.みんなでいっしょに料理をする

年齢や立場を超えた、食を通しての交流ができます。

これまでのサルパを一部紹介

【サルパのモデル開催 in 富山県】



【サルベージ・パーティ 〜食材の使い方を考えるじかん〜 in 台東区】


【Rethink! Food Loss Colorful Sweets PARTY | JT Rethink PROJECT コラボレーション クッキングイベント】

その他、サルベージ・パーティの拡がり
様々な企業様・団体様のほか、サルベージプロデューサー等によって全国でサルパが開催されています。
◯民間企業
JT/フェリシモ/クックパッド/ジェーシー・コムサ/IMAGICA FTV/東京都生活協同組合連合会/コープ千葉/エステム ほか
◯自治体
東京都/富山県/静岡県/大分市/茨城県神栖市/足立区/台東区 ほか
◯団体・その他
東京農業大学/東京都杉並区教育委員会/杉並区立杉並第八小学校/東京学芸大学附属国際中等教育学校/APU立命館アジア太平洋大学/かぞくのアトリエ/
代官山ティーンズクリエイティブ/NPO法人AKITEN/すぎなみ環境ネットワーク ほか
(敬称略)

サルベージ・パーティ  データ[2019年3月まで]※コロナ渦前まで
頻度 全国各地で月に2、3回ほど開催
規模 平均30名/1回
参加 料金 無料~2,000円ほど
場所 飲食店、公共施設、学校、展示会、オフィス、キッチンスタジオetc.
時間 昼、夜問わず 2~3時間ほど
過去参加者数 のべ15,000名以上

参加者の指向性
・フードロスへの意識が高く、食の向き合い方が本物志向。
・フードロスの知識は少ないが、料理が好きで日常的に行っている。
・情報への感度が高く、自分が選んでよかったものをみんなで共有したい。 

職業・所属
小学生、学生、会社員、公務員、自治体職員、自営業、食品メーカーetc.

参加者の声
・いつも決まったメニューだから、ちがう料理をしてみたい。
・残った野菜の使い方にいつも困っていたけど、活用方法が知れた。
・料理が好きでいろいろな料理教室に参加しましたが、サルパはクリエイティブでおもしろい!
・素材が適材適所でイキイキと生かされている。毎日の食事の見直しを実感しました。

そして、これからのサルパでやりたいこと

冒頭に書いたように、コロナ渦で3年ほど休んでいたサルパを再始動します。ただ、サルパを始めた2013年の頃とは、「フードロス」に対しての見方は変わってきています。

あの頃は「フードロス」の認知度は低く、フードロスの定義や、発生量、発生理由、環境への影響など詳しく解説する必要がありました。いまは「フードロス」の認知度は上がり、ほとんどの人が意味を知っています。一方で、言葉が一人歩きする影響で、「ピーマンの種を捨てるとロスになるの?」とか「フードロスを利用した商品の販売促進だ」というように、モヤモヤしている人も増えてきました。

だから、サルパも今の時代に合わせて役目を変化させようと思います。

テーマを「家のフードロスを少なくするためにはどうすればいいか」に留めることなく、日常の中の食べること、料理すること、ロスすることに目を凝らして、「どうやって食べていくか」にまで問いを拡げていきます。この問いへの答えは、具体的な実践の中にしかありません。その実践の場がサルパでありたいと思っています。

それらを踏まえてサルパは、大きくふたつの方法でやっていきます。

1.食の学び舎「フードスコーレ」による自主開催
2.共感いただいた企業・団体・個人の方たちと開催

自主的に開催もしていきながら、コロナ前と同じように、企業や自治体からのご相談を受けて、個別の目的や条件に合わせたサルパをご提案します。いつでも気軽にお問い合わせください。

問い合わせ先
Mail:info@honshoku.com
株式会社honshoku 宛

捨てられてしまう食材の価値を、サルベージしていく。大事なのは、「ロスは在るもの」という前提を持ちながら、消費者として背負いすぎないこと。自分をすり減らさないこと。小さくてもいいから楽しく続けられることをやること。

そのためのちいさなコミュニティがサルベージ・パーティです。ご興味のある方は、ぜひサルパに遊びに来てください。開催が決まりましたら、その都度「フードスコーレ」のサイトやSNSでご紹介します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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