見出し画像

【じーじは見た!】 前編:IPCC WG3が示した不都合な事実⁉

心はZ世代! 身体は還暦過ぎた昭和人! Z世代応援団のじーじです⁉

じーじはこれまで気候変動関連の記事をいくつか投稿してきましたが、今回は、2022年4月5日に発表されたIPCC(気候変動問題の政府間パネル)WG3(第3ワーキンググループ)が示した緩和策評価(CO2削減策評価)のレポートを紹介します⁉

じーじは、昨年のCOP26(第26回気候変動枠組み条約締約国会議)に至るまでの過程としてIPCC WG1レポートやNDC(Nationally Determined Contribution:国のCO2削減目標)のこと👇、NDCの基になった日本の第6次エネルギー基本計画、更にはCOP26👇で何が決まったのかを紹介してきました。

気候変動問題は「選挙に行く、行かない」論争に出てくる「私一人が選挙に行こうが行こまいが政治は何も変わりはしない」という無力感同様に「気候変動問題といった地球規模の問題を私が知ったところで何ができる訳でもない」と当事者意識が欠如しやすいテーマでもあります。

だけど、じーじは一人ひとりが興味をもって知ることはとても大切だと思うので、今回も懲りもせずに小難しいWG3の話をすることにしますね⁉

✅WG3の政策決定者向けレポートの要点が示されたグラフからいくつか見ていきましょう⁉

環境省が発表した(4月5日)翌日の新聞くらいは記者が張りきって記事にするのでWG3のレポートに絡めて「パリ協定の目標達成が非常に厳しい」といった記事を目にした方も多かったと思います。

それから一月も経つと、もはや話題になることもありません。
この淡白さは、大本営発表を記事にするか、批判だけして深堀りしない(できない?)今のマスコミの特徴です。

パリ協定とは、世界中の国が2100年時点の気温上昇を産業革命前から2℃未満に抑えることに取り組み、あわよくば1.5℃未満になるように各国が目標を上方修正していこうねという国連での気候変動枠組み条約締約国会議での取り決めです。

その取り決めの基礎情報を提供しているのがIPCCです。
定期的な報告書は過去5回を数え、今秋の第6回報告書(AR6)に向けて3つのワーキンググループが政策決定者向けにレポートを発表しました。今は、WG1~WG3の報告を受けて最後の報告書がまとめられています。

WG1:地球温暖化の自然科学的根拠を示すグループ
WG2:温暖化への適応策(激甚災害への備え)を評価するグループ
WG3:温暖化への緩和策(CO2排出削減)を評価するグループ

WG3の政策決定者向けレポートの主要な論点を説明するのには下記のグラフが使われています。このいくつかをみていきましょう。

政策決定者向けレポートに使われたグラフ

✅どんな経路でCO2排出量は減っていくのか?

温室効果ガス(GHG)の排出量経路予測

左のa【Global GHG emissions<温室効果ガス排出量>】のグラフで赤色で示されているのが、2020年までの各国政府の努力を継続した場合の予測です。※GHGと言っても聞きなれないでしょうから、CO2と書きますね。

赤色線の予測は、みんな温暖化は止めたいけど、世界には皇帝になりたい国のトップがいたり、経済発展をこれから迎える新興国の問題があって、なかなか世界のトップが一致協力して気候変動対策に立ち向かうことができないので最も現実的な予測です。

グレーのグラフが各国政府が提出したNDCを2030年まで実行して、その後1.5℃に抑える目標に向かって2050年まで急激に排出を削減することを想定した経路です。これが現時点での理想的な経路なのかな?

緑がいわゆる2℃シナリオと言われる2100年時点の気温上昇を2℃未満にする場合の排出量推移を表わした経路で、パリ協定とは、各国が少なくともこの経路に乗るように排出を減らしていこうというものです。

青色がパリ協定の努力目標している1.5℃シナリオです。2100年時点に気温上昇を1.5℃未満に抑えたいのなら、このペースで排出量が減っていくように政策決定者は考えてくださいと訴えています。

b【2030年】のグラフは、aのグラフの2030年時点を切り出して、白抜き部分で今の各国政府提出のNDCを評価しています。

その評価によれば、2030年にはグレーのグラフに近い排出量予測がされています。つまり緑や青色のようには2030年まで排出量が減っていくわけではなく、このままでは2030年以降に劇的な排出量削減が実現することを期待するしかないですよという警告をしています。

✅気温上昇予測はどうなっているのか?

CO2排出量予測と連動した気温上昇予測

WG3のレポートではC1~C8までの気温上昇予測のグラフを示しています。産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えられるのがC1~C4のシナリオでC5~C8は2℃以上の気温上昇が予測されています。

WG1が示した経路図に基づくものが右側のグラフにSSPで始まる経路番号が付いたものです。それが5つとその他3つの経路が示されています。

C1:SSP1-1.9 いわゆる1.5℃シナリオ(現状の理想形)
C2:IMPネガティブ いわゆるNDCの上積み期待形
C3:SSP1-2.6 いわゆる2℃シナリオ(パリ協定)
C4:ぎりぎり2℃未満にできる経路
C5:2℃を超えてしまう経路
C6:SSP2ー4.5
C7:SSP3ー7.0
C8:SSP5ー8.5 いわゆる4℃シナリオ(現状維持を続けた場合)

2100年までのレインジで見たCO2排出経路
2019年の排出量と各径路の排出量推移

前半はこんなところにしておきましょう。
科学者が作るレポートなので私たち素人が読み解くのは大変ですが、皆さんもあまり楽観的なことばかり発言する政治家の発言や陰謀説が喜ばれるSNS投稿ではなく科学者の言うことに耳を傾けてみましょう。

医師会の専門委員会のように既得権益保護の立場で政策提言するのではなく、政治家に客観的な情報提供をしているIPCC(WG3)のレポートですので、データをどう読むかを一緒に考えていきましょうね。

つづきを読む


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

よろしかったら「スキ」🤍ポッチンをお願いします😊😊

コメントなんかいただけたら、飛び上がって喜んじゃいます😂😂

▼売上や利益だけを見ていたのでは企業価値が分からない時代になりました👇

▼Z世代応援団のじーじをよろしくお願いします。


この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?