疲弊したおじさん

近くに来るとは聞いていたから
会えるかもしれないと期待した
たとえそれがバタバタしていて
5分程度の立ち話に終わっても
わざわざ顔だけ見ていくと言い
立ち寄ってくれたというだけで
喜んでいるわたしはきっと相当
ちょろい女なんだろうなと思う

記憶にあるのとはちょっと違う
疲れてやつれたような荒れ具合
アドレナリンがたぎるような目
年齢のわりには若い見た目でも
事前にたびたび聞かされていた
疲弊したおじさんという雰囲気

本当にどうでもいい話をした
ちょうどわたしに続々問題が
出現してしんどかった時期で
でもその話には全くならずに
どうでもいい話ばかりをした

どうでもいいとはちょっと違う
どうでもよくないあなたの問題
いきなり話の流れが行ったから
頭の中に今強くあるんだろうな
とか思いながら聞く側になって

あとから思えば数分の立ち話でも
3年半以上ぶりの再会だったのだ
それほどに会っていなかったとは
これっぽちも感じなかった不思議
見た目は想定外な部分があれども
いつでもこのひとはこのひとだな
なんて当たり前のことを実感した

最近まともな人間と話してない気がして
誰かと過ごす時間が欲しいと言ったとき
あなたは「まともではないねんけど」と
ちょっと訂正してわたしも納得したのは
あなたはいつでもあなただと思うからで

きっとあなたとわたしは男と女よりかは
ひととひとという関係が似合うんだろう
おしゃべりだけで何時間も過ごすような
不思議で手放せないわたしたちのかたち
わたしにとってあなたはいつでもあなた
あなたにとってわたしはいつでもわたし