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お茶代

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僕が文学サークル「お茶代」の課題として作成した記事および、「お茶代」に関する批評のまとめです。
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#読書感想文

夜を味わう

夜を味わう

※この記事は全文無料でお読みいただけます。

 我々日本人は、近代の眩しさに盲いたが故に、夜を夜とも見なさないようになった。昨年十一月に平等院を訪れたが、その庭園にはいたる所にライトアップ用の照明器具が張り巡らされており、見るに堪えなかった。 技術は闇とともに、そのうちに仄かに香る、「あわい」さえも放逐したのだ。我々はあの先人の遺物、文化の死骸、博物館の展示物を再解釈・再創造することをすっかり諦め

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「文化的小児病」から癒されるために

「文化的小児病」から癒されるために

※この記事は全文無料でお読みいただけます

本文 いわゆるポリティカル・コレクトネスについては、真正面から触れたくない。恨みが恨みを呼ぶ喧々囂々の議論に巻きこまれ、心身を労するのは御免被りたい。
 ポリコレを論じる人々の大多数は、その賛否を問わず、己の「正しさ」を疑っていないように見受けられる。異なる立場の者同士による、合意形成へ至るための「遊び」。これこそが議論であるにも関わらず、である。

 

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プレゼントについて

プレゼントについて

※この記事は文学サークル「お茶代」の課題として作成しました。全文無料でお読みいただけます。

導入 果たして、誰かにプレゼントをあげたことがあっただろうか。小学校時代以来、他者への積極性を失った僕にとって、プレゼントの贈り合いははるか対岸のできごとであった。僕は友人たちの誕生日を知らなかったし、友人たちもまた、僕の誕生日を把握していなかった。

 宮台真司氏の語法にしたがえば、当時の僕は「内発性

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