あらすじ紹介③
『正直者の吐いた世界で最も美しい嘘』
げっちょろべ
余命宣告を受けた正直者の男は、自身の死後遺される家族、特に認知症の妻に向けた遺書に何を書けばよいか悩む日々を送っていた。
ある朝、調子の良い妻が、朝食を作り始める。
久しく食すことのなかった妻の料理を食べながら、緩やかな時間を過ごす二人。そこには在りし日の幸せな夫婦の姿があった。
朝食を終え、妻が男に恐らく最後となるだろう、ひどく難しい願いを告げる。
「私が忘れてしまっても、その時にお父さんがいなくなってしまっていても、大丈夫なようにしてくださいますか?」
「約束するよ」
「……申し訳ございません。お願いしますね」
余命通りに息を引き取った男が、妻に残したものとは──これは世界で最も美しい嘘と愛の物語。
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