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花粉の原産地で暮らす【檜原村こよみだより・3月】

3月になり、徐々に温かくなってきた檜原村。寒い冬を越え、喜びに満ち溢れた季節……になるかと思いきや、春には寒さとはまた違った強敵が現れます。そう、花粉です。檜原村は面積の約9割が山林、そして山林のうち約6割がスギやヒノキを中心とした人工林だと言われています。つまりは、花粉の原産地なのです!

ある朝出勤しようとすると、先日洗車したばかりのマイカーがなぜかやたらと汚れています。不思議に思いながら職場に向かうと、この汚れの正体は花粉なのだと、同僚が教えてくれました。今までは「花粉=小さくて目には見えないもの」だと思っていたので、とても驚きました。同時に、花粉の季節は安易に洗車するべからず、という教訓を得ました(トホホ)。

黄色と白を混ぜたような色で、ちょっとベトベトしています

風が強い日には、花粉が空中を舞っているのが肉眼で確認できます。山に登ったときも、空気がカラっとして見晴らしの良かった冬とはうって変わって、薄いモヤがかかったように、遠くの景色がぼんやりと霞んでいました。

いつもは一番奥に都心のビル群が見えますが、モヤで全く見えません

一方で、「檜原村の花粉は純度が高いから、都会の花粉よりは症状がマシ」という声もよく聞きます。確かにネットで調べてみると、「都会の空気に多く含まれる排気ガスやPM2.5などが花粉に付着すると、アレルギー症状がよりひどくなる」という記事が散見されました。

とはいえ、いくら純度が高くても花粉は花粉、もちろん症状は出ます。数年前に花粉症を発症した私は、3月に入ってからというもの、目のかゆみと鼻水、くしゃみが止まらなくなりました。山間部に位置する檜原村では、気温が上がっても風はひんやりと冷たく、晴れた日に風を浴びると最高の気分になるのですが、花粉症のために、家でも車でも窓を開けたいのに開けられない!という大きなジレンマを味わっています。

ただし、花粉さえなければ、いや花粉があったとしても、春の檜原村が最高であることは間違いありません!あちこちで可愛らしい黄緑色の新芽が顔を出し、梅や桃も可憐に咲き始め、まるで桃源郷のような美しさなのです。新芽や花々のあまりの可愛さに、山や集落の中を歩きながら、渋谷の女子高生ばりに「かわいい~♡」を連呼する毎日です。

桃源郷を絵に描いたような景色です
コケからも新芽が生えていました。かわいすぎません?

余談ですが、私は今回、花粉症の薬をもらうために初めて檜原村の診療所に行ってきました。

診療所は、小中学生が時間を過ごす児童館や、障がいをお持ちの方がものづくりなどを行う福祉作業所、高齢者向けデイサービスなどが集まった「檜原村やすらぎの里」という集合施設のなかにあります。村内では、医療機関はここ一か所だけ。

とんがりコーンのようなモチーフが印象的な、やすらぎの里入り口

診療を受けたのが平日だったからかもしれませんが、診療所は待ち時間も短く、薬も院内処方(薬局に行く必要なし)で、気軽に利用できて便利だなぁという印象を受けました。しかし入院設備や高度な医療機器の用意は無いため、入院や手術が必要な場合は、お隣のあきる野市の大きな病院に行く方が多いそうです。

3月も終わりを迎え、スギ花粉の飛散は少しずつ落ち着いてきました。これからヒノキ花粉の時期が訪れるようですが、私の花粉症はおそらくスギ花粉のみ(だと信じたい)。花粉の季節が終わったら、冬の間は休止していた原付での通勤を復活させ、檜原村の気持ちのいい風を感じながら元気に出勤したいと思います!

text by 高野優海(檜原村地域おこし協力隊)