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【風呂酒日和19-1】 金春湯(こんぱるゆ)

【風呂酒日和(フロサケびより)とは】
どこかで銭湯を見つけると、つい寄り道したくなる。
銭湯から出ると、つい一杯飲みたくなる。
そんな私がふらりと立ち寄った、心と体とお腹を満たす、銭湯と居酒屋をまとめたマガジン。


木場駅からほど近い、はずだった。
またしても私はさまよっている。
新しい場所を歩くのは嫌いではないのだが、いつまでたっても方向音痴は治らない。

やっと見つけた入口はビルのエントランスのようだった。
細い縦長の小さな公園の向かいに、ぽつりと街灯が一つ。
よく見ると「ゆ」の文字の暖簾。
あった。やっと出会えた。
これは私には難易度が高いエントランスだ。銭湯っていうかビルだ。
目の前を3回も通り過ぎた方向音痴っぷりにため息をつく。


中に入ると、テレビとソファが置かれたロビー。
受付でタオルセットを借りた。
手ぬぐいとちょっと大きめのタオルがついて入浴料込で500円。
とても良心的なタオルプライスだ。
財布を覗くと10円玉が入ってなかったので、ついでに「ドライヤー使いたいので両替してもらえますか?」と聞く。
コインタイマーに入れる用の10円玉。2〜3枚は入場する前に持っておかないとお風呂上がりにおろおろしたり、脱衣所の壁にある番台につながる謎の小窓から「すいませぇん...」とおずおず声を上げるハメになる。

「あぁドライヤーのコイン入れ、壊れてるので、使われるようであればここでもらいます。」

「あ、そうなんですね。じゃあ今一緒に払えばいいですか?」

「まぁ、どちらでも。使ってから帰りでも大丈夫ですよ。ドライヤーはそのまま置いてあるので、使って下さい。」

お客さんを信用する自己申告制である。
払い忘れてしまいそうな私は先に入浴料と共に520円を払い、タオルセットをもらって脱衣室へ向かった。


う、うすぐらい...。
とってもとっても、薄暗い。
煌々と明るい脱衣室もなかなか恥ずかしい気持ちにもなるし、落ち着くと言えば落ち着くが、無音の空間も相まってちょっと、怖い。
でも古いながらも清潔感はあり、薄暗くても汚らしい感じはしない。

これはもしかして、トイレは和式...?と不安になりながら入ると、洋式で安心する。なんならトイレカバーやマットは、なんだかフランフランなどを好きな人がチョイスしたような柄で、洋式な上に洋風な雰囲気だ。
奥さんの趣味だろうかなんて勝手に想像してみたりする。

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