バンドを組む残像　#毎週ショートショートnote

「なぁバンドやろうぜ！学祭出たらモテるじゃん」

「バンドぉ？今やるなら歌とダンスだろ」

「バカお前、こういうのは先を読むんだよ。流行は巡るって言うじゃん。バンドブームこれから来るって」

「お前ダンスできないだけだろ？まぁやるのはいいけど。じゃとりあえずバンド名決めようぜ」

「それはもう考えてきた！残像！よくない？どう？」

「何、残像って」

「なんか響きがかっこいいじゃん！」

「いや残像はイタいだろ。中二病かよ」

「あーもう全然まとまんねぇ。先パート決めようぜ。俺、楽器弾けないしボーカルね」

「おいおいボーカルは言い出しっぺの俺だろ！お前らギターとかベースとかやれよ」

「俺ギター！ギターが一番モテるっしょ」

「じゃあ俺もギター。家に兄ちゃんのアコギあるし」

「なんで2人ともギターでしかも1人アコギなんだよ！」

教室の隅で誕生したギター2本とボーカル2人の異色バンド「残像」は、方向性の違いにより小一時間後、残像すら残らない速さで解散した。

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