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頭の中のストーリー

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物語、小説、散文、自由詩
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#生活

コロナとフェルマータ

「ミナ。ミーナ?」 はっとしてミナが顔を上げると、ルカが心配そうに覗き込んでいた。 「あ…

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がんばった日のエール

「がんばったね、えらかったよ」 病院を出て、泣き止まない娘を仕方なく抱き上げる。 あぁ、…

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布団から #シロクマ文芸部

布団から今日も声が聞こえる。 「今日はずいぶん遅かったね」 「ちょっとやらなきゃいけない…

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拝啓、絶望。

あぁ、また来たか。 僕はため息をつく。 最近来ないと思ったら、久しぶりの大波で来やがった。…

ナポリタンルージュな彼女

僕の彼女はちょっと変わっている。 出会ったのは中学生の頃。 僕らは、どこにでもいる仲の良…

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バルコニーのベンチで、これからも。

買い物袋を下げ、最寄り駅の商店街を歩く。 レタスと卵は家とは逆の改札を出たところにあるス…

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【コインランドリー】3. 巡る。  -全3編-

駅前をウロウロする僕はどの店に入ろうか悩んでいた。 なるべく10年後も潰れてなさそうな店を探す。 そんな店の選び方をしたのは初めてだ。 でも店がなくなっていたら僕は40才の僕と出会えないかもしれない。 いろいろ考えた結果、僕はそこそこ繁盛していて尚且チェーン店ではない、老舗風の居酒屋に決めた。 腰より低い真っ白な電飾看板に黒い筆文字で「呑処えん」と書いてあり、それをぐるっと囲うように丸が描かれている。 なんだかぴったりそうじゃないだろうかと思いながら、店の暖簾をくぐる。

【コインランドリー】2. 廻る。  -全3編-

やっぱりそうだ。そうだった。 去っていく青年の後ろ姿を見ながら、僕は身震いした。 かすか…

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【コインランドリー】1. 回る。  -全3編-

今日は4限の講義が急になくなり、僕はいつもより早く大学を出た。 最寄り駅に降り、見慣れた街…

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行方知れずの交差

彼女と肌を合わせたのはこれで4回目だ。 最初は2年前の冬。 もう何十年も前から知っていたけれ…

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代々木公園のベンチで、また一緒に。

妻が出て行って2週間が過ぎた。 小さいメモのような手紙が置かれたダイニングテーブルは、その…

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