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hinawahina
2021年11月16日 23:09
由美はお店を出ると、足早に駅へ向かった。急いでいる訳ではないのに、足が勝手に動いてしまう。鼓動がすれ違う人にも聞こえそうなほど高鳴っている。 爽子の旬を見る目を……そして旬の指先が爽子の頬に……あぁ厭らしさなど微塵もない。ふたりには日常のひとコマなんだね。 でも、でも眩しくていたたまれなかった。愛し合っているって凄いんだ。わたしのまだ知らない世界。わたしに訪れてくれるのか?
2021年11月14日 15:55
「由美はさ、あいつの何が今も心に突き刺さっている?」「何がって……全部」「全部?別れたこと自体も?」「今は……その時言われた言葉だよ」「言葉ねぇ。その言葉ってどんな意味があったのかな?あいつの勝手な言い分としか思いえないんだよね。私たち勉強したって言ったでしょ?あれ真面目な話しなんだよ。ふたりで本、雑誌を読みまくり、調べまくり〜映画だって見たよ〜あらゆる方面から研究したんだ」由美は思わ
2021年11月14日 15:04
「その前にさぁ、由美は今までのわたしの話しを聞いてどう思った?」「わたしにとってふたりは、少し眩しい存在なんだよね。全てを判り合っている感じがさ。そりゃ全ては大袈裟だとは思うけど、そう思えちゃうの」「うーん分かり合っているかぁ?実は分かり合う事を楽しんでいるのかな。わたしね、旬と出逢えて幸せだと思う。大切なものにどう向き合うかちゃんと考える人だから。わたしより真面目なんだよ。言いづらい事
2021年11月9日 12:36
由美は言葉を選びながら、「ふたりは何年付き合っているんだっけ」「もう五年になるね~ まぁ色々ありますよ、ってかさぁ。 核心つきなよ、わたしたちの仲なんだから」爽子は由美の空になったグラスにお酒を作りながら言った。「じゃぁ質問。爽子は旬君が初めての人って言ってたよね。旬君の方は?」「ひとり、ふたりは経験あるって言ってたかな? わたしだって旬の前にキスぐらいした人はいたけどね。でもねぇ、恋
2021年11月8日 16:59
はるが料理を運んで来た。「入りますね」「はーい待ってました!」爽子は襖を開けて、料理を受け取りながら、「唐揚げ! おでん! 肉じゃが! ピーマンとナスの味噌炒め! ブロッコリーのお浸し! 生姜のかき揚げ! 凄い凄い! はるさん判ってらっしゃる~〆は生姜としめじの炊き込みご飯お願いしまーす。」「了解。飲み物はどうする? 同じもので良かったら、これ差し入れ」差し出されたお盆には、焼酎のボ
2021年11月6日 17:51
爽子はカウンター越しに注文すると、少し声のトーンを落とし、「昨日由美何かありましたか?今はだいぶん目の腫れ引いてるんだけど、朝は酷かったんですよ。今から話してくれるとは言ってるけど、何か知っていたら教えてもらえると有り難いです」はるは、昨夜の事をかい摘んで話した。「大和の奴、駄目だなぁ、あいつは……でっ、かさぶたが剥がれたんだ」一瞬爽の言葉が気にはな為ったが、ふたりで話すなら心配ない
2021年11月3日 17:44
由美は寒くて寒くて目が覚めた。どのくらいそこに居たのだろうか。 のろのろと立ち上がり、服を脱ぐぎ、熱いシャワーを頭から浴びた。身体中をこれでもかこれでもかと洗い始めた。止めたくても止まらない。皮膚を剥ぎ取る事ができたら、あの感触は消えるだろうか。いや、いっそ秋之の記憶が消えてしまえば…… 前に映画で見た、消したい記憶だけ消せる記憶屋。「消せるものなら消して……お願い!」そう呟
2021年11月1日 22:07
池袋に到着し電車を降りた二人は、人波をやり過ごすようにホームの端に寄った。「河田君は何口? 私は東口」「僕は西口なんです。あっ!でも送らせてくだい」 由美は車内での息苦しさが蘇えり、「大丈夫だから、このくらいの時間は何でもないし。じゃぁここで。お疲れ様! 大学の方頑張って!」由美は軽く手を振りながら、どんどん階段をを降りて行った。 大和は一瞬呆気にとられたが、すぐに由美を追いかけた。