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パートナーは双極症【ユキの死】



こんなにも




底なしの




暗く





苦しい痛みが





あることを知らなかった





悲しみも
苦しみも
痛みも





もう嫌というほど
たくさん
たくさん
経験したと思っていた




DVの日々も
鬱病の時間も
離婚への道のりも





比べものにならない





ユキは、
私たちは







他人であって、
他人ではなかった





血の繋がりより
時に強く感じた






とても近くて、
とても遠かった





時に恋人で
時に親子で
時に兄妹で







私たちは
境界線なんて引けなかった
適切な距離感も何もなかった
異常なほどに






ただ、お互いの存在に
強烈に安心した





同時に
強烈な恐怖も抱えた
関係が壊れることに
今までの自分が壊れていくことに









関係性に名前なんて
つけられないまま





家族という枠に
収まるわけもなく





グレーなまま





ユキは逝ってしまった






全て捨ててもいいと思っていた








子どもも
両親も
友人も
仕事も
お金も






生きてほしかった






子を亡くした親はこんな風に
身が切り裂かれる思いなのだろうか





夫に先立たれた妻はこんな風に
悲しみの中に立ちすくむのだろうか






患者を救えなかった医者はこんな風に
後悔や自分の無力さを
抱え続けるのだろうか







兄を失ったらこんな風に
片割れがいなくなった
喪失感に耐えるのだろうか









もう、なんの涙なのかわからない







現実感のない日常






何度も押し寄せてくる波






私の中の絶望





ユキの中にもあった絶望





自分がわからない






自分が全てをめちゃくちゃにしてしまう







大切にしたいものが手から滑り落ちていく







諦めと孤独






生きることへの絶望








誰かのために身を削る






それが間違っていると分かっていても












私たちは、その方法しか知らなかった

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