【講座レポ】成功する組織づくりのために。違いを認め共創を生み出すコミュニケーション術〜ひなたMBA「つなぐマネジメント」③〜
組織の中で、また友人や家族関係においても、いい関係や結果を生むためにはどのようなコミュニケーションが求められるのでしょうか。今回は、チームビルディングやシステムコーチングの専門家である長友まさ美さんを講師にお招きして、コミュニケーション術について学びました。
相手はもちろん、自分自身の感情や心の奥にある願いにも耳を傾ける…案外、大事なことのようです。
<講座詳細>
■テーマ:違いを認め、共創を生み出すコミュニケーション術
〜わたしとあなた、から「私たち」へ〜
■開催日:2023年12月12日(火)10:00〜17:00
■会 場:ホテルニューウエルシティ宮崎(雲海)
■講 師:長友まさ美 氏(サンワード・ラボ株式会社)
<講師プロフィール>
長友 まさ美 氏(サンワード・ラボ株式会社 代表取締役)
企業の人事部門での勤務を経て、2010年に独立。日本全国で企業研修、組織開発、チームビルディング、システムコーチングを行う。人やチーム、地域の可能性を最大限に引き出し、共創を生み出すことで社会問題の解決を行うことに関心をもち、各種サービスの開発に取り組む。2023年、「公共の力をともに革新しよう」を掲げ、&PUBLIC株式会社を創業。
個人向け:エグゼクティブコーチング、夫婦向けコーチング
企業向け:人材育成研修、組織開発、チームビルディング、システムコーチング、社外CLO(Chief Learning Officer)
参考:& PUBLIC記事 「孤独なリーダーを減らしたいーー“ひとり”の想いを、“わたしたち”の想いへ」
チェックインからスタート
講師・長友まさ美さんのあたたかい声と笑顔あふれる自己紹介の後、まずは会場のみなさんでチェックイン。グループ内で今の正直な気持ち等をシェアし合います。
「会議の前などにもチェックインすると話しやすくなりますよ」と長友さん。
こうやって同じ場にいても、頭や心は別のことが気になっていることも。チェックインすることで、心と頭も集中して取り組める状態になることがチェックインの狙いです。
大事なのは「感情を話す」こと。報告、連絡では作ることができない関係性が築けるのだそうです。
組織の状態について考える
たとえ仕事でも、自分の感情を置き去りにして闇雲にやった行動は、結果に結びつきにくいもの。「なんのためにやらなきゃいけないの?」そんなやらされ感だと関係性がギスギスしてしまい、いいものは生まれてこないでしょう。
どうしたら、個人が生き生きとしながら組織としても成功を生む循環をつくれるのでしょうか。
メンバーの関係や思考、行動の質を高め、結果を出すための循環をつくるのに必要なことは?
企業研修や組織開発で様々な会社と関わりながら、長友さんが感じたこと学んだことをシェアしていただきながら、組織の文化を「土づくり」にたとえて参加者も考えてみました。
Q.「あなたが思う『組織のふかふかな土壌』の姿は?」
「あいさつが自然に飛び交う」
「言いたいことが言える」
「感謝の言葉が聞こえる」
「いろんな挑戦ができる」…
家族、パートナーであっても人には「違い」があります。「違い」を知り、その背景を感じることで、感謝や尊重の心が生まれます。
『感情』は自分や相手を知る上でとても大切だということを、長友さんは丁寧に伝えてくれました。
そして、今回の核となる『共感コミュニケーション』の学びへと移っていきます。
「共感コミュニケーション」を学ぶ
『共感コミュニケーション(NVC:Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)』は、1970年代にアメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化され、提唱されました。自分と相手の、心の奥底にある大切なものを共に大切にしながらつながりを育み、平和をつくるコミュニケーションです。
参考:NVC Japan ホームページ
共感コミュニケーションでは、感情は「ニーズ(必要としていること)」の羅針盤と言われます。感情を言葉にした時、そのニーズが満たされているのか、満たされていないのかがわかります。
ニーズが満たされているときは、
ありがたい、うれしい、感心する、感動する、自信、充実感…
ニーズが満たされていないときは、
行き詰まる、いらいら、怒っている、打ちのめされる、悲しい…
等々、多様な感情がうまれます。
自分自身の感情が動いたときの状況を思い出しながら、そこに一体どんな願いがあったのかを探究するワークを行いました。
話す人は、状況や雰囲気を思い出しながら。そして聞く人は相手の感情に寄り添いながら。簡単ではありませんが、お互いに心を寄せながら丁寧に聴き合います。
ワークが進むと、初対面にもかかわらず、次第に深いつながりが生まれているような雰囲気が生まれていました。
ワークに取り組んでみて、
「話す人の背景や人間性が伝わってきて、聞いているだけでもうれしくなる」
といった感想が聞かれました。
自分が大事にしている価値観に改めて気づき、表情が明るくなる姿が印象的でした。
「ついつい相手のニーズを満たすことばかりやりがちだけど、自分自身のニーズも同じくらい大事にしながら、相手と一緒につくっていきましょう」
このように、午前中は、感情から本当の願いに気づき、リクエストをしていくNVCを中心に実践を通して学びました。
共感を生み出すフレームワーク
午後の部は、関係性を取り扱う「システムコーチング」を礎にして個人からチームへと視点を広げました。ペアや3人組、またグループを組み、ワークを中心にコミュニケーション術を体験しました。
イメージを捉えるのが難しい内容に関して、参加者が講師を呼び止めて質問する姿も。わからない部分も置き去りにしない学びの姿勢に、長友さんも丁寧な説明で応えていました。
そして最後は、テーブルごとに1つのチームをつくり「願いから現実を創り出す」ことに挑戦。参加者の生テーマを持ち込みながら、仲間と共に現実への一歩を見つけ出します。
最高の未来が実現した時、どんな雰囲気?
そのときのチームの姿は?
「『思いつく限り出してみてくださいね。どんなアイデアも否定せず、いいね!と歓迎しましょう」
所属も立場もさまざまな参加者たちがチームを組み、頭も体も使ってイメージを共有しました。
「3人集まればチームになり、一人ではできないことも可能になります。みなさんの会社でもぜひやってみてください」
それぞれ本講座で感じたことや学び・発見のシェアをしてチェックアウト。たくさんのワークに真剣に取り組み、頭も体も使いながら、組織が成功するためのコミュニケーション術を学び合う1日となりました。
参加者の一人に受講後の感想を伺うと、
「『相手のニーズを理解する』とは、頭ではなく『心で聴く』ことが必要なんだと改めて気づきました」
と話してくれました。
参加者のみなさん、講師の長友さん、ありがとうございました!
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