【講座レポ】スタートアップから学ぼう。新規事業づくりに挑戦!〜ひなたMBA「つくる経営」③〜
社会の変化が著しく、予測が難しい昨今。経営が安定した会社であっても、時代の変化に応じた戦略や新規事業への視点も求められます。
ひなたMBAは11月30日、「スタートアップの手法から学ぶ事業拡大」と題して、ベンチャーキャピタリストの津野省吾さんによる講座を開催しました。スタートアップとは?といった基本的な学びから、最後はスタートアップ的な事業創出に挑戦!21名の参加者たちと講師の活発なやりとりが場を盛り上げた回となりました。
<講座詳細>
■テーマ:スタートアップの手法から学ぶ事業拡大
■講 師:津野 省吾 氏(株式会社ドーガン・ベータ ファンドマネージャー)
■開催日:2023年11月30日(木)10:00~17:00
■会 場:ホテルニューウエルシティ宮崎(アンジェラス)
■講師紹介
「スタートアップ」とは?言語化してみよう!
今回の講座の目的はスタートアップをつくることではなく、スタートアップを学ぶことで、社内で新規事業をつくる際に役立つスキルを身につけること。
まずは「スタートアップ」とは一体なんだろう? ということで、グループ内で「スタートアップ」のイメージを言語化することから始まりました。
講師の津野省吾さんは、株式会社ドーガン・ベータというベンチャーキャピタル(VC)で実際にスタートアップ支援に従事しています。宮崎市出身で、現在は宮崎・福岡・東京を行き来しながら活動中です。
津野さんの説明によると、スタートアップとは「革新的な事業に取り組み、短期間で急激な成長を目指す企業(組織)」であり、「法人の生態系の一種であり、起業の選択肢の一つ」とのこと。
同じような言葉で「ベンチャー」も耳にしますが、こちらは「革新的な事業に取り組む企業(組織)」。ベンチャーやスモールビジネスの中でも、とりわけ「短期間」で「急激な」成長を目指す企業がスタートアップと呼ばれています。成功すると、一気に注目を集める華やかさがあります。
頭角を現すスタートアップはごくわずか!
そうは言っても、一般的に創設期からしばらくは収入が見込めないので、いかに資金調達やサポートを得るかが課題です。
そんなスタートアップの成長曲線は「Jカーブ」と呼ばれ、最初は急下降。借入や投資を受けて事業開発に取り組むデスバレー(死の谷)と呼ばれる時期を乗り越えた後に、ようやく成長フェーズが待っています。
しかし、「ここを乗り越える企業は1000のうち3つくらいですね」と津野さん。
非常に厳しい数字に参加者は思わず息を呑みます。
ベンチャーキャピタルとは?
ドーガン・ベータのような「ベンチャーキャピタル」という業種は、あまり耳馴染みがないという人も。
「ベンチャーキャピタル(VC)とは、成長が期待されるスタートアップに対してエクイティ(株式)投資の形で資金提供をする会社です。投資後は資金面だけでなく経営に深くコミットしてアドバイスをしたり、投資先の企業価値を高めるサポートを行っています」(津野さん)
スタートアップの成長支援は持続可能な社会づくりへの貢献につながります。VCは投資家から資金を集めてファンドを作り、投資・回収といったファンドの管理運営をします。その中で、市場規模や企業の将来性を見極めながら投資先探しに動いているのが、津野さんたちベンチャーキャピタリストです。
誰もが知っている、GoogleやAmazon、メルカリなどもスタートアップの一つ。
そして宮崎でもまさに今挑戦中のスタートアップが誕生しています。
会場から質問が次々に
「実は宮崎ってスタートアップの資金調達環境にはめぐまれているんですよ」と津野さん。
宮崎は2つの地銀がそれぞれ系列VCを持っていて、県主催によるスタートアップアクセラレーター「hinata STARs」もスタートしています。
融資や投資の対象となるビジネスモデルとは? その判断基準とは?
元・金融機関出身という経歴をもつ津野さんだからこそ語れるリアルな比較と具体的な情報提供に、参加者のみなさんはいつの間にか引き込まれている様子。
「投資家と出会うには?」
「リカバリーはどうやって行うのか?」
午前中の講義を受けて、会場からは時間をオーバーするほどたくさんの質問が飛び交っていました。
新規事業をつくってみよう!
午後は、実際にスタートアップがどういう思考で事業をつくっているかを体験するワークショップ。
「実現できるできないは考えずに、とにかくアイデアを広げてみましょう」という津野さんの言葉を合図に、グループで取り組みました。
ペイン(課題)は何か?
何を活用してどんなビジネスモデルをつくるのか?
キャッシュポイントは?
津野さんが示す手順に沿って、手を動かし言葉にしていきます。
「課題だけじゃなくて、アイデアからの事業計画もアリですよ」
経営に関わる立場の方が多い、今回の参加者のみなさん。自身の事業のなかで、また社会で起こっている課題やアイデアをどんどん付箋に書いていきます。
そして、実際に上がってきた新規事業アイデアはコチラ。
「津波からみんなが逃げることを諦めない方法」
「ママ世代や50代女性のスキル活用で人材不足を解決」
「建設業の週休2日制をかなえるIoT技術の開発」
「ヤバい客で人材を失わないためのお客様査定ビジネス」
「橋の維持管理費を抑えるインフラメンテのゲーム化」
等々、様々な視点とアイデアで事業アイデアが生まれていました。
「みなさんすごいですね。課題の見つけ方やソリューションも今っぽいです。チームを作って起業しませんか?笑」
と、発表内容に興味津々の津野さん。
「スタートアップじゃなくても生かせる手法です。ぜひ、みなさんの会社でも生かしてくださいね」
最後までたくさんの質問を受けながら、そんなメッセージで講座は締め括られました。スタートアップの手法で宮崎の企業がますます元気になるとうれしいですね。
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