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【講座レポ】これからのリーダーシップは「双方向の力を高める、引き出す」~ひなたMBA「つくる経営」④〜

新しい働き方や多様性の増加などにより、世界のリーダーシップ理論は日々進化しています。これからのリーダーは、人を巻き込み導いていく一方的なスタイルだけでなく、メンバーへの適切な働きかけによりメンバーの力を高め引き出すリーダーシップが必要となります。2023年12月14日に開催したひなたMBA個別スキルプログラム「つくる経営」第4回は、27名の参加者が集まりました。リーダーシップ理論を紐解きながら、自身とメンバーのリーダーシップを高めるスキルについて学びました。

<講座詳細>

■テーマ:リーダーシップを高めるスキル~双方向の力を高める&引き出す~
■講 師:杉江 美樹 氏(株式会社ワークプレイス・ラーニング代表取締役 /
立教大学経営学部ビジネスリーダーシップ・プログラム兼任講師)
■開催日:2023年12月14日(木)10:00~17:00
■会 場:ホテルニューウエルシティ宮崎

<講師プロフィール>

杉江 美樹 氏(株式会社ワークプレイス・ラーニング代表取締役 /
立教大学経営学部ビジネスリーダーシップ・プログラム兼任講師)

「対話から、職場を強く、おもしろく。」をモットーに、主に企業における人材開発・組織開発のアドバイス、研修プログラム開発・実施、調査・研究等を行っている。主なテーマはリーダーシップ開発、キャリア開発、チームワーキング、1on1ミーティング等。
参考:株式会社ワークプレイス・ラーニング
参考:杉江氏note 


リーダーシップとは?

今回の講師は株式会社ワークプレイス・ラーニングの杉江美樹さん。東京を拠点に人材開発・組織開発等でさまざまな企業と関わる専門家です。

まずは講師の自己紹介と、チェックインとしてペアでの対話からスタート。
「つくる経営」シリーズ4回目ともなると、複数回参加している人も数名いらっしゃるせいか、始まったばかりとは思えない声量と笑顔。「すごい!盛り上がってますね」と杉江さんも驚いている様子でした。

「『リーダーシップがある人』とは、どういう人のことでしょう?」
聞き慣れた言葉のはずなのに、そう尋ねられると一言では表現しにくいものです。

そこでスライドを見ながら、「リーダーシップ」から思い描く図式や、リーダーシップがある人が持っていると思う要素・特性をそれぞれピックアップしてみました。
結果は個人によってさまざまだったのですが、実は統一された定義はないそうです。20世紀から本格的にスタートしたリーダーシップ研究は、「特性論」に始まり、近年は「◯◯リーダーシップ論」とさらに細分化された多様な考え方が混在しています。近年の傾向としては、「倫理」や「あり方」がベースとなっているそうです。

最新のものが正しくてそれ以外は間違い、ということではなく、どの定義も今でも通用するものだということ等を、杉江さんがわかりやすい言葉で伝えてくれました。
リーダーシップを学ぶ上での事前情報に触れた後、グループごとにこれまでの内容に対する感想をシェアし合いました。

現代の多様な理論を知る

次に、近年多様化してきているリーダーシップを学びます。メンバーに奉仕することだったり、「自分らしさ」を大切にするタイプもあれば、リーダーとフォロワーがどんどん変わっていく流動的なタイプのリーダーシップも。
「リーダー」に対してそれぞれが感じていたイメージや既存の概念ががらりと変わっていくような、多様なリーダー論に触れることができました。

中でも参加者たちの反応が大きかったのが、「リーダーシップがある人の持つ要素」についての話題。野心的である、寛容である、思いやりがある…など20の言葉から、アメリカで一番多く選ばれたのが「正直である」だったこと。意外だと感じた人が多かったのか、「へえー!」という声が会場に響きました。

リーダーシップは誰もが発揮できる!

スライドで一枚の絵を見ました。ゴールに向かう4人が描かれていて「このなかでリーダーシップを発揮しているのは誰?」と問いかけています。

答えは…「全員にリーダーシップがある」でした。
リーダーシップには、組織が目指す姿に向かうための「目的軸」と、メンバーに与える影響力から見た「影響軸」があり、役職についているかどうかに関わらず、誰もがリーダーシップを発揮することが可能です。また、すでに発揮していることも多いものです。でもそれは、周囲から伝えてあげないとわからないことも多く、組織開発や人材開発において大事なポイント。

午前中の最後は、それぞれが身の回りの「あの人いいな!」と思う人について書き出しました。どんな場面でどんな言動をして、周囲や自身にどんな影響を与えたか。その人は、どんな要素を持っている人だと感じたか。午前中の講義を通して、それぞれのリーダーシップ・ロールモデルが思い描けたのではないでしょうか。

自身のチームでリーダーシップを考える

午後はワークを中心に、会社や組織、チームなど実際に参加者自身が所属する集団で考えます。
「あなたのチームでリーダーシップを発揮するとは?」
がテーマです。

まず、自分のチームのいいところ、好きなところ、嫌なところや残念だなと思うところを思い浮かべて、絵や図に描いて現状を見える化します。

描くのは、チームの関係性やメンバーの状態。考えすぎずに手を動かし続けることがポイントのようです。

ワークを進めるにあたり、杉江さんから丁寧な問いかけも。
「チームメンバーから、あなたはどんな存在にみえているでしょうか。一言でいうとどんなチームに見えますか?どんなタイトルをつけますか?このチームの本当の課題って何でしょう?」

絵に描くことでチームを俯瞰して見ることができるようで、杉江さんの言葉を聞きながら真剣に考える参加者たち。

今度は、「チームの理想」を絵で表現します。
「絵に描いた今のメンバーで、関係性と状態に目を向けて、制約をとっぱらって考えてくださいね」

現状と理想をそれぞれ具体的に絵にすることで、理想に対する今の状態が評価できます。現状から理想に向けて「プラス1点」をするために何が必要か。その一手を考えることで、自分の「リーダーシップ行動」が見えてきました。

リーダーシップ開発に必要なこと

チーム状況の解像度が上がったところで、メンバーのリーダーシップ開発に必要なことを学びました。

「一言で言うと『経験』と『振り返り』しかありません」

と杉江さん。リーダーシップ開発の研究はまだ少なく、「経験」のなかでも「人と関わって成果につなげる」経験が大事で、その経験を振り返り、次の経験に活かすことで成長していきます。つまりは人間自体の成長と同じ、ということ。

また書籍を引用しながら、「経験」は仕事以外、例えば育児の経験もリーダーシップ強化につながるという話もありました。メンバーの経験を一緒に振り返り、フィードバックしてあげることでメンバーの自己認知を高めることができます。「ジョハリの窓」などを参考にしながら、効果的なフィードバックの手法も解説していただきました。

持論のアップデートとアクションプラン作成

リーダーシップのさまざまな理論や考え方を学び、ワークで体験しながらインプット&アウトプットしてきた講座もいよいよ終盤。

講座を通して印象に残ったこと、参加して良かったなと思ったこと、そしてまだ消化できていないもやもやしていることも含め、それぞれシェアしました。

1日を通して学ぶなかで、参加者たちは自分の中のリーダーシップ論が大きく変化したのではないでしょうか。これから自分が取り組むアクションを書き出し、確実にアクションを起こすために「いつまでに」という期限も設けました。

「これからみなさんのリーダーシップの旅が始まります。ぜひ、良き旅を!」

今回の学びを生かしながら、それぞれのチームで、メンバーとともにトライ&エラーを繰り返しながらリーダーシップを育てていくことでしょう。杉江さん、参加者のみなさん、ありがとうございました。

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