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例えば、夢と現を往返する白皙の幼子がいるとして ~ 最終話 少女のその後 ~

 その後の手術の経過は順調で少女はすっかり元気になっていました。

 母親は医師に臓器提供者の話を聞きましたが、詳しく教えてもらえることはできなかった。

 それから時は流れ…幼かった少女は一人の素敵な女性に成長していた。
 彼女は素敵な男性に巡りあうことができ、彼からプロポーズされ涙を流します。

 そのとき、両親の挨拶にいった彼氏は父親から開口一番こう聞かれます。
 「あなたは娘を守るために何をつくるのか。こわすのかつくるのか、そして一体何をそうするのか。あなたのドグマを私に教えてほしい」

 しばらく沈黙が続いたあと、彼はゆっくりと口を開きました。
 父親はその答えを聞くとゆっくりと頭をさげ、こう言います。
 「娘をよろしく頼む」

 その頃…とき同じくして仏壇に手を会わす一人の男性がいました。
 その視線の先には眠ったままの一人の少年の写真がありました。
 「あの少女は元気でいるんだろうか…」

 そのとき、外から吹いた一筋の風で風鈴がチリンとなりました。

 父親は少し驚き仏壇の写真をみると、少年は笑っているように見えました。
 父親は窓に近づくと遠い空を見上げながら呟きました。
 「そうか、元気でやっているんだな…」

  終わり

#レイチェル #例えば夢と現を往返する白皙の幼子がいるとして


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