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昔の読書感想文が、意外と面白かった話

こんにちは。社会福祉士、精神保健福祉士のHinaです。
部屋の片付けをしていたら、昔書いた読書感想文が出てきました。私は昔から読書感想文を書くのが大好きだったのですが、書くたびに母が言ってくれた言葉を思い出しました。
「ひなが書いた感想文を読むと、本が嫌いなお母さんもこの本を読んでみたいって思うんだよね。」
母のそんな言葉を思い出し、ふと「読みたくなる文章ってなんだろう?」と思ったので、記事にしてみました。


◇私の読書感想文


「私は虫が大嫌いだ。」

私が中学生の頃に書いた読書感想文の冒頭は、こんな文章から始まりました。
百田尚樹の「風の中のマリア」という小説を題材にしましたが、その本は蜂目線で蜂の一生を語る小説です。虫を題材にした本を選んでおいて、あえてこの文章から書き始めた、当時の私の頭の中に今更ながら興味が湧きます。

原稿用紙5枚弱に綴った感想文の結びはこう。
「私は鉛筆を置き、そっと目を閉じてみた。窓の外を勇敢に飛び回る蜂の羽音が、清々しくさえ聴こえてきた。」
蜂を含めあらゆる虫が大嫌いだった私が、小説を読んで彼らの生き様に圧倒されたということを表したかったのだと思います。しかしながら、今同じ本を読んで同じような言葉綴りができる自信がありません。

◇つまらない言葉並びに飽きてきた


元々小説やエッセイを読むのが大好きだった私の頭の中は、こんな文章でいっぱいだったのです。それがいつしかHow To本や自己啓発の本ばかりを読むようになり、すっかり一般的な文章作りしかできなくなってしまいました。
元々エッセイや小説じみた文章に引き込まれるような魅力を感じていた私は、毎年夏休みになると読書感想文を提出できることが嬉しくてたまらなかった、少し稀有な子でした。

読みやすい文章や一般的な会話に近い言葉並びは、理解するのに頭を使う必要はありません。ただ言葉を追うだけで、著者の言いたいことやその本から学ぶべきものが明確です。
しかしながら、時にそれでは物足りなく感じることがあります。その人にしかできない言葉の並べ方、なんとかして言い表したい気持ちが滲み出た表現など、その世界観ごと浸りたい気持ちになることがあるのです。

◇溢れ出る「伝えたい」想い


私が読書感想文を書くときは、その本の世界観ごと気に入ったかどうかを基準に本を選んでいました。今でも書店に行くと気になった本をパラパラとめくり、その小説に並んでいる言葉に惹かれたかどうかを基準に購入しています。
私にとって、その本が面白いかどうかというのは、どのような言葉が並んでいるかどうかに左右されるのです。いくら内容が「最近の夕食事情」だったとしても、並んでいる言葉が好きなら魅力的です。
要は、著者がどれだけその内容を伝えたい気持ちを持っているか、が鍵なのです。夕食事情についてどうしても伝えたいことがある人が捻り出す表現言語と、誰かから譲り受けた内容をわかりやすい言葉で言い表した文章は違います。後者にももちろん利点がありますが、私が読みたいのは前者です。前者の文章から伝わってくる、「どうしてもこの気持ちを言い表したいんだ!!」と考え抜かれたであろう言葉並びに惹かれます。
私が書いた読書感想文には、この本の世界観からこんな影響を受けたんだ!という強い思いが溢れ出ていたのだと思います。それが、読書嫌いの母(漫画も読めないほど活字が嫌いです)がその本を読みたくなった(結局読んでいませんが。笑)理由なのではないでしょうか。

◇表現とは捻り出すこと

何か自分の中にモヤっと、または爆発的に膨らんだ気持ちがあったとき、それを自分の言葉で最大限表す過程を省略しない生き方をしたいものです。
人の言葉を借りたり、元々あった言葉に当てはめるのは簡単ですが、自分の感覚を最大限表出させるためにはきっと既存の言葉では不十分なはずです。その感覚は、その瞬間、自分の頭の中でしか味わえないものだからです。
本来、何かを表現するときに必要なのは簡潔にすることではなく、限りなく正確に表そうとする工夫だと思います。伝わり切らないことを前提に、それでもなるべく伝わるように捻り出すことで、最大限の表現ができる。その工程を省略することに慣れたくないなと思います。

自分が昔書いた読書感想文から、そんなことを考えました。後々になって自分が読み返したくなるような文章を捻り出していきたいです。

では、また💐

・百田尚樹さんの風の中のマリア


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